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2006.06.17
水と光のパフォーマンス〜パリ郊外の地元のイベント
フランス:パリ |
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数日前から滞在している地元の市庁舎前に「水と光のパフォーマンス 6月17、18、19日」という看板が出始めた。イベントがあるらしい。
15日になると、市庁舎から市の劇場までの水が流れる歩道の所々に噴水が置かれ始め、イベントへの準備が進んでいるようだった。
17日の今日、1日の作業を終えてゆっくりしていた所で思い出した。「今日からイベントが始まっているんじゃない?」
そこで、夜10時、まだ夕暮れ時の町に散策にでかけた。
市の劇場の前には盛り土が4箇所作られ、それぞれ砂の彫刻の作業が進んでいた。
ここから市庁舎までの歩道には、キャンドルが灯されている。
しばらく歩いて劇場を振り返ると、緑色のライトに照らされた劇場が、幻想的に暮れ行く空に映っていた。
唯一の出店はこの一軒。簡単な飲み物とスナックを販売していた。
日本だったら屋台がたくさん出そうなものだが、そんなのは1つもなく、これ1つだけだった。
市庁舎の前の噴水には、ロウソクが並べられていた。
ただそれだけなんだけれど、そもそも市庁舎がとても可愛らしい建物なので、とても素敵になってしまう。
周辺の住民は、この周りで夕涼みしながら、語り合ったりしている。
すると、背後から演奏の音。
振り返ると、タンバリン、丸い玉が2つついた打楽器、チェロ、のこぎりの楽器の四重奏が始まっていた。
マイクを使うわけでもなく、大道芸風に演奏しているのだが、気楽な雰囲気ながら各々のミュージシャンが高い技能を持った人たちだということがわかる。こんな人たちは、一体どこから来たのだろうか。
まるで遊んでいるように、表情たっぷりに顔を見合わせながら演奏する彼らの周りで、周辺の住民は古くからの友人の演奏会を聞くような、和やかな顔で聞いている。演奏者と視聴者の距離がとても近い、それでいてレベルの高い音楽が聴ける。大人の雰囲気が漂っていた。
数曲演奏した所で、申し合わせたように、背後から大きな音が鳴り響いた。先ほどから見かけていた、自転車に装飾を施した時計台のような車が、シャボン玉を吹きながらやってきたのだ。
市庁舎の噴水の前に自転車を停めると、3人のパフォーマーが出てきてパフォーマンスを始めた。シャボン玉をふわふわと出していたかと思うと、今度は照明灯を点滅させて、はしごに登って動く時計台の上で花火を打ち上げる。というパフォーマンスだった。
プロの俳優さん達が演じているのだろうと思う。こうしたパフォーマンスも、ともすると子供っぽくなりがちなのに、大人も楽しめるファンタジーの世界になっている。
夢のような世界を繰り広げるサーカス、シルク・ド・ソレイユというグループをご存知だろうか。私は見たことがないが、コンセプトはあれに似ているのではないか。
子供達は無邪気にシャボン玉に飛びついて喜んでいるが、そうした風景や背景の市庁舎が相まって、大人たちには本当に幻想的な詩を映像化しているように感じられるのだ。うーむ、レベルが高い。
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バンドの後ろの噴水は実はこんな変なオブジェ。 |
こうしてシャボン玉のパフォーマンスが終わり、人々が三々五々散り始めた。私たちも元来た道を戻り始めた。すると、今度はスチームドラムとドラムとタンバリンと太鼓の四重奏バンドが始まっていた。
スチームドラムがメインだと思われるが、私は、それよりも編み上げ髪の黒人兄さんのドラムに目が行った。この人のレベルが物凄く高いのだ。天性のリズム感に磨きがかかっているという雰囲気で、ぐいぐいとひきつけられていくリズム感。後ろのロウソクの光の中で聴いていると、バリ島かどこかの高級リゾートホテルで夕食後に散策しているような気分になってきた。
周りの人もだんだんノリノリになってくるのは、さすがラテンの国。しまいには踊り始めてしまった。
気がつくともう11時半になろうとしていた。あっという間に時間が過ぎてしまった。お祭りというよりは、アートイベントという感じ。子供も大人も楽しめて、とても洒落ている。ここの市の企画で毎年行われているのだそうだが、感性が豊かでハイセンスな人が企画しているのだろう。企業色もなく、やくざなお店もなく、とても品が良い。こんな町に住んで良かったと思えるイベントなのだ。
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