夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.04.16 
ワイナリー見学の計画、そして1つめHaut-Medocへ

フランス:ボルドー

 ボルドーといったらワイン。5日間の滞在とはいえ、昨日は宿探しと情報収集で終わってしまったし、5日目はもう出発なので、中3日しかない。

 昨日、ツーリスト・インフォメーションで情報を得て、その3日をどのように過ごすのかを決めた。

 ツーリスト・インフォメーションはトラムB線とC線の終点がぶつかるQuinconcesという駅の近くにあり、ボルドー市内の地図(日本語版あり)、もっと広い範囲でワイナリーまで含む地図、各種ツアー情報などが入手できて、皆英語もばんばん話せて、非常に素晴らしい所だった。

 ただし、インフォのある町の中心部は駅からトラムかバスで20分くらいかかる。ただし、我々が宿泊したボルドー唯一のホステルはこの中心部から離れており、むしろ駅から近い。従って、あらかじめ宿を確保して、チェックインして荷物を置いてからインフォに行くと無駄がないと考え、駅から宿に電話して部屋を取り、まず宿に入って荷物を置いてから、トラムでインフォに向かった。(因みに、ホステル並みの値段の安宿もあるが、キッチン付きにこだわると、現状ここしかないようだ。)

●まずは計画から
 ワイナリーを巡るといっても様々な方法がある。
 @自分達の車で好きなように周る(ヨーロピアンスタイル)
 Aタクシーを半日か1日借り切って好きなように周る
 Bボルドー観光局主催のツアーに参加する
 C公共の交通機関を使って徒歩で周る

 バジェットから見るとC、B、@、Aの順に高くなる。

 タクシーを借り切るサービスは、詳しい値段は忘れたが非常に高かった。@は全くお酒が飲めない、あるいは飲まないと覚悟してくれたドライバーがお友達にいる場合はいいが、そうでないと1人が楽しめないか、全員が酔っ払い運転の恐怖にさらされる。@もAも星の数ほどあるワイナリーから自分で選択しなければならないし、そのワイナリーが一般に公開されているかどうかを調べる必要もある。しかし、どこまでも続くワイン畑を自由にドライブして、気が向いたらフラーっとワイナリーに立ち寄ってみるという、自由さはとても贅沢。いつかやってみたいなぁ。

 と、思いつつ、今回は安易だがリーズナブルに楽しめるBとCにする。

 ボルドー観光局のツアーといっても、色々ある。一番人気なのが4月から11月まで、土日も含めて毎日行われているワイナリー巡りのツアー。午後1時15分にツーリスト・インフォメーションに集合して、大型バスでワイナリーを2つ、3つ巡って午後6時半に戻ってくるツアーで、一人EUR28。行き先は曜日ごとに異なり、全部楽しみたいなら7回参加する必要がある。

 他には、シャトー10個を1日で周るランチ付きのツアーが3つ。こちらはEUR75-80という価格。そして、メドックに限定した3つのシャトー周遊ランチ付きEUR70、ガロンヌ川沿いを散策するピクニックツアー、ボルドーワインとチーズのテイスティング講座、ボルドーワインテイスティング講座、世界遺産ツアーなどが用意されていた。

 4月15日にボルドーに到着して、インフォで毎日行われているワイナリー巡りEUR28のツアーに参加希望を申し出たところ、15日、16日の定員50名はすでに一杯で、17日(月)からなら空きがあると言われた。そこで月曜日と火曜日の行き先を検討し、火曜日のツアーに申し込みを入れた。

 じゃぁ、残りの2日はどうするのか。ここでもう1つツアーを入れてもよかったのだが、同じようなことをするんじゃぁ芸がない。ということで、公共の交通機関でどのくらい周れるのかを試してみることにした。

 で、その情報もインフォメーションで聞くと、公共の交通機関で行きやすいワイナリーの場所と、その行き方を教えてくれた。ただし、公共の交通機関でどこかのワイナリーに行きたいといっても、「どっかいい所ないですかねぇ」という質問は、ここではやめた方がいい。

 そういう質問をしている観光客が隣にいて「どこかいい所と言われても、好みの味によって行きたい先は異なると思います」という説明から始まって、どの地域が好みなのか、白・赤・ロゼのどれを楽しみたいのか、赤なら軽い、重い、酸味は、渋みは・・・と色々と聞かれることになるからだ。

 「ボルドーワインって世界的に有名だし、ちょっと行ってみるか」ってなノリで来ている観光客にとって、こんなに矢継ぎ早にワインのことを聞かれても、「今までそんなこと考えたことない」と目を白黒させて答えに行き詰まり、後ろで待っている他の観光客から冷たい視線が飛んでくるという羽目に陥るのである。

 公共の交通機関を使ってどこかに行きたいならば、「どの地域の何色のワインを知ってみたい」という所まで希望を言うとすんなりと情報が出てくる。折角ボルドーに訪れるのなら、事前にボルドーの異なるワインを数種類試して、好みの地域を絞り込んでからここに来ると、より楽しめるだろう。

 私達の場合は、かつて日本で数ヶ月に渡って、ボルドー赤ワイン飲み比べを行ったことがあり、自分達の好みはオー・メドックの赤ワインだと知っていたので、「オー・メドックのワイナリーで公共の交通機関で行ける所は?」という質問で問題なく回答を得ることができた。到着翌日の16日は日曜日、17日は月曜日だけれど祝日。ということで、開いているワイナリーがかなり限られてしまい、16日はオー・メドックに行けるが、17日はジロンド河左岸のポリアックという所を訪ねることになった。

●1つめのワイナリーを訪問
 インフォメーションでは、乗るべきバスの番号とバスのタイムスケジュール、降りるバス停の名前と訪ねるシャトーの名前をくれた。行った先の詳細地図はない。

 バスは日曜日には4往復。午後1番のバスは本当にくるのか不安だったが、何と定刻通り14時に来て出発。30分で目的の停留所Caychac Bourgに到着した。

 日曜日のその村は閑散として、道を聞こうにも人っ子一人いない。バス停の周りにレストランや商店が少しだけあるが、全部閉まっていて、もう周りはブドウ畑になっている。

 どうしようかと思っていたら、村の案内図があった。我々がたどり着いたのは、ボルドーから北のBlanquefortという村。日曜日も開いているというSaint-Ahonというシャトーが地図の中に見つかってホッとした。

 シャトーはバスが来た方向に戻って、一つ目のT字路を左折してしばらく歩くと左手に見えてくるようだった。

 ブドウ畑の真ん中に通る片道一車線の舗装道路を歩いて行くと、、無事に「シャトーはこちら」という看板が見つかった。何とものどかな所である。が、シャトーというだけあって、家というには大きな館のある敷地だった。

 敷地に入っていくと、邸宅の手前左手に建物があり、中から人が顔をのぞかせた。最初の青年はフランス語訛りで「English? English?」と英語が必要かを2回尋ねて、私達が「イエス」と答えと、奥に向かって「英語のお客さんが来たよー」(と言っていると思われる)と叫んだ。

 すぐにフランス人の女性がやってきて、英語でワイナリーの解説が始まった。そんなに大きなワイナリーではないので、醸造所と貯蔵庫の見学はすぐに終わってしまった。ものの15分くらいだったと思う。あらあら、こんなに早く終わっちゃって、後はどうしようかしら?と思っていたら、「ささ、お楽しみの試飲です。でもその前に・・・」と試飲会場の手前の空間に案内された。

 そこには、このシャトー所有の絵画が飾られてある所で、描かれているのは今世紀の音楽の大スターたち。

 私達も知っている人といえば、ルイ・アームストロング、レイ・チャールズなどの大御所がイラスト風に描かれているのだった。

 この宝物のポイントは、描かれているスターの生き生きとした表情もさることながら、全ての絵画に描かれている人の直筆サインが入っている所。もう亡くなった大物もいて、「これから価値が高まっていくばかりなのです」と解説の女性も得意げだった。

 古いたたずまいのシャトーなのに、新しい時代のお宝、なかなか面白い。

 そして、この間から階段数段をあがった所に、試飲のテーブルがあり、ワインとおつまみが用意されていた。おお、いよいよワインだ。

 と思ったのだが、まず、この部屋の壁に飾られている代々のシャトーの持ち主のお話を伺う。

 と、丁度話が始まった所に、穏やかな顔をしたいかにもお育ちの良い男性が入ってきて、「ようこそ、我がシャトーへ。私が現オーナーです。」とおっしゃるではないか。ほほー、オーナーとこんなに気軽に会えておしゃべりできるなんて。オーナーは、ここのワインの特徴や最近のワイン市場の話などをよどみなく話し、話はこのシャトーの歴史に及んだ。

 このシャトーはフランス貴族の持ち物だったが、フランス革命で破壊されてからは様々な人の手に渡り、一時はあの哲学者で政治思想化のモンテスキューがオーナーだった時代もあったのだそうだ。ボルドー近郊生まれのモンテスキューは、シャトーを所有する趣味があり、数多く所有されたうちの一つなのだそうだ。はぁ、モンテスキューまで出ますか。

 で、現所有者はここでオーナーになって8代目ということで、奥様が直属の家系で、お話されている旦那様はお婿様ということになる。奥様の家系には、ルイ14世の下で財務総監などを務めていたコルベール氏がいるという話だった。コルベール氏の取った重商主義政策がコルベルティスムと呼ばれるくらい偉いご先祖様だったという説明を聞いた。「あのコルベール、ご存知ですよね?」と言われて、「いいぇ、知らないのですが」というのは、話の腰をバッキリ折るようでとても言いづらかったのだが、ここで嘘を付いても仕方ない。

 現オーナーは、「教養のない人達だ」と思ったかもしれないが、そんな素振りはおくびにも見せず、話を続けた。

 いやはや、モンテスキューだ、ルイ14世だ、コルベールだと歴史上の人物が家の昔話に出てくるあたり、さすがボルドーのワイナリーなのである。

 面白いお話をうかがった後、オーナー自ら、グラスにワインをそそいで振舞ってくれた。とてもたっぷりと。今度は試飲しながら、主にワインの話をしてくれた。

 同じ畑の同じ品種の葡萄から作ったワインでも、その年の気候によって、まるで違うワインかのような出来栄えになり、それが難しい所でもあり、自然からもたらされた大いなる楽しみでもあるのだそうだ。

 私達は2001年、2002年、2003年のワインを試飲させてもらったが、とても味が違う(醸造年数の違いもあるが)ことがよくわかった。2001年の赤は2003年にマコンMaconワインコンクールで金賞を受賞したという。記念にこれを1本購入して帰ることにした。Maconワインコンクールとは、ブルゴーニュで、1954年から毎年開かれている世界的なワインコンクールだそうだ。

 最後に記念にオーナー夫妻と撮影させてもらった。


 今回のワイナリー訪問は今までと一味違った体験だった。ワインそのものを楽しむというよりは、作り手の顔を見て、ワインや歴史を聞きながら、そういう物を背負ったワインを楽しむ体験。私達はワインの知識も英語もつたないが、それでもヨーロッパ人がワイナリーめぐりを楽しむ理由の一つを肌で感じることができた。

 今日1日で1つのシャトーしか見られなかった。ガイドブックなどでは「効率よく周るためには」と書いてあるし、私達もすぐに「効率」ということを考えがちである。しかし、時間をかけて来て、ゆっくり滞在したからこそ得られる体験もある。宿に帰ってから、さっそく栓を抜いてワインを楽しんだ。今日1日の締めくくりにふさわしい、贅沢な時間がホステルで流れていった。




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