|
|
|
|
2006.07.09
シェーンブルン宮殿見学
オーストリア:ウィーン |
|
昨晩コンサートを楽しんだシェーンブルン宮殿。舞踏会が行われていたのはどんな部屋だったのだろうと、宮殿内の見学にでかけることにした。
2日限りのコンサート会場は、撤去作業に入っていて、昨日の華やかさは見る影もなかった。
シェーンブルン宮殿のチケットは、
・宮殿の22室を巡るチケット EUR8.9
・宮殿の44室を巡るチケット EUR11.5(ガイド付きはEUR14)
・コンビチケット(Classic Pass) EUR14.9(発行日のみ有効)
・コンビチケット(Gold Pass) EUR36(1年間有効)
・コンビチケット(Sisi Ticket) EUR19.9(1年間有効)
・子供プログラム EUR4.5 →子供が宮廷の生活を体験できる。
となっていた。
コンビチケットのGold は全施設を網羅していて、動物園や砂漠館なんていうのにも入場できるそうだ。Sisiこと王妃エリーザベトに関する展示物に特化したコンビチケットは、宮殿44室と、王宮近くにある宮廷家具調度品コレクションと王宮のシシィ関連の見学ができるようになっている。
コンビチケット(Classic Pass)は宮殿44室と庭園とグロリエッテ(凱旋門のような大きな門)への入場と迷路庭園とアプフェルシュトルーデルの実演見学試食付きという、1日ここで遊びたいなぁと人にはうってつけのチケットに思われたのでこれを購入。
こうした、興味の対象によって色々なチケットが用意されているのは、なかなか気がきいていていいなぁ。
正面玄関から入ると正面に宮殿があり、その裏手が広大な庭園。庭園の一番奥、丘を上がった所にグロリエッテがある。宮殿見学して、お弁当食べて、グロリエッテまで行って、他の庭園見て、最後にアプフェルシュトルーデルで〆る。という計画で行ってみることにした。
宮殿の入り口ではオーディオガイドの機器を貸し出してくれるところがあった。何とこれが無料。素晴らしい。ガイドがあると楽しいんだよねー、宮殿見学って。
宮殿の窓からは、これから向かう庭園とその先のグロリエッテが見える。グロリエッテに雲がかかってしまったのが残念だが、晴天だったらもっと素晴らしい眺めだろう。
ガイドを聞きながら進むうちに、目的の舞踏の間にやってきた。
そうそう、昨日スクリーンで見たのと一緒。実際に肉眼で見ると、またその豪華さが際立って見えた。
もちろんここは幼少のマリー・アントワネットも訪れており、彼女の肖像がも何点かあるのだが、マリー・アントワネットやその母のマリア・テレジアよりも、フランツ・ヨーゼフ皇帝1世とそのお妃のエリーザベトに関する展示物がより多かった。
映画にもなっているエリーザベトに関しては、これまであまり知らなかったので、この宮殿に見学にきて初めて興味を抱いた。
オーディオガイドの説明から理解したのは、執務に熱心だった夫フランツ・ヨーゼフはエリーザベトを深く愛していたようだが、その愛はあまり報われず、エリーザベトは堅苦しい宮廷生活と監視的な姑を嫌って旅行しまくり。美容には熱心で、体操したりお化粧するための特別な部屋が宮殿内では展示されていた。というエリザベート像。これだけ聞くと、何と身勝手な女性なんだろうと思われる。
しかし他の文献を見ていくと、16歳という若さで嫁に来たこと、姑の監視に近い状態での宮廷教育生活などが彼女をうつ状態にし、おまけに旅行中に2歳の実子を亡くし、それを姑になじられるという事件もあり、美容への道だけが彼女の精神安定剤となっていったということも言われている。なるほど。彼女があのドイツのノイシュバンシュタイン城を作ったルードヴィヒ2世の姪っ子だということも、この精神不安定だったという話を更に納得する要素になる。
こうした人生に、絶世の美女だったという要素が加わると映画になる。美人だとしても幸福とは限らないということを見て、世の中のフツーの女性は「本当に可愛そうねぇ」と言いながらも、溜飲を下げる。あるいは自分の人生が分相応であったことに感謝する。それが映画エリーザベトの効用なのだろうか。映画、ちょっと見たくなってきた。
宮殿の見学を終えて外に出ると、初夏といってもかなり強い日差しがふりそそぐ庭園に出る。木陰でお弁当を食べて、グロリエッテを目指した。目線のやや高い宮殿内から見るよりも、ここから見るグロリエッテは遠くに見える。
ブラブラと庭園を歩いて行く。パリの庭園に比べると、植えられている植物の丈が低いが、色とりどりの植物や花で庭に絵を描いているのが面白い。
グロリエッテの丘に登る手前にある噴水は、大きな階段状になっていて、噴水の裏手に回りこんで水越しに宮殿を見ることができる。
ここでは誰もがこの噴水のスダレの前で写真を撮りたがり、なかなか時間がかかった。今日のような暑い日は、とくにこういう写真が取りたくなるものである。
ここから裏手の丘を登ればグロリエッテだ。斜面というのは、遠くから見ているほどには辛くないというのは南米で学んだ。ジグザグとゆるやかに進むと、すぐにグロリエッテに到着。
凱旋門を思わせるこの建築物の前には池があり、写り込みによりより威厳があるように感じられる。
グロリエッテの中央部分はカフェになっていて、お茶を飲みながら、庭園とその先の宮殿が楽しめるようになっていた。
坂を上がってきたこともあり、また景色もよいので、ついここでお茶をしたくなる。とても良いロケーションだった。しかーし、我々はこの後アプフェルシュトルーデルの実演アンド試食が待っている。ここで砂糖の入ったコーヒーなど断じて飲んではいけないのだ、と自らを戒め、次の目的地に向かうことにした。
そうそう、私たちのチケットはグロリエッテの上にも行けるので行って見た。
どんなに素晴らしいパノラマ展望が広がっているのだろうとワクワクして上がってくる人は、グロリエッテの中央、そうパノラマ写真を撮るには最高の場所に、大きく門の装飾の鷲やら馬やらが立ちふさがっている事実に愕然とする。
そっかー、これがあったのか。上がってくる人、上がってくる人、みんな同じ感想の表情になっちゃうのを見てから下に降りてきた。上からは遠い建物が良く見えるのはいいが、庭園と宮殿の景色の印象はグロリエッテの下から見るのとあまり変わらない。ここに上がるのは微妙だ。
時刻は13時。アプフェルシュトルーデルの実演は毎時行われており、最終は16時から。15時か16時に間に合うように、迷路庭園と皇太子の庭園を見に行く。
グロリエッテを背にして左手の坂を下りきった左手にあるのが迷路庭園。正直、この暑さの中、樹木の迷路に迷いこみたい気分では全くなかったが、コンビチケットで入れる所には入っておこう。迷路庭園は、樹木で作った迷路が2つ、子供のための遊具が置いてある広場が1つある所。本格的な迷路はしんどいのでパスして、丈の低い樹木で仕切られた迷路はちょっと面白そうなので入ってみることにした。
面白いしかけの一つは、迷路の入り口にある。池に置かれた踏み石に足を乗せると、横から水がピューッと出てくる。早速夫が挑戦。「おー、この角度に足を当てると、継続的に水が出てくるぞ。お、ここからずれると駄目なんだなぁ、そしてこの角度にすると、おおお、何て気持ち良いんだ。あ、ちょっとでもずれると水が止まっちゃうんだよねぇ」と大興奮。
よく見ると、大人達は誰も参加しておらず、周りは子供だらけ。しかも、夫のように長時間楽しむ人もいなくて、皆順番待ちしているので、ちょっと足に水がかかったら他の子に譲ってあげたりしている。この中で一番子供なのはあなただっちゅうの。
しかも、ここは入り口ではなく出口だった。さんざん遊んでから、それに気づいた。入り口から入って行くと、ふいごを動かすと離れた所の噴水から水を出すしかけや、足元のパネルが木琴になっていて、飛び跳ねると音が出るしかけなどがある。
迷路庭園は、想像していたのよりもずっと楽しい所だった。ヨーロピアンの大人は子供を遊ばせるためのものと割り切って、自ら楽しむことはしないが、子供の心を持った大人なら楽しめる。
おっとここでかなり時間が過ぎてしまった。皇太子の庭園は後回しにして、15時からのアプフェルシュトルーデル実演に先に行くことにした。
宮殿を通り抜けて、右手伝いに正面玄関に戻る途中にカフェがある。コンビチケットを見せると、地下の実演会場に行くように指示された。入り口で手のひら大のアプフェルシュトルーデルを渡されて、中に入ると、右手奥が正面になっていて、大きな調理台を取り囲むように、テーブルと椅子が用意されていた。
アプフェルシュトルーデルは、思ったよりも随分やわらかい物だった。
カリッとしたパイのようなのは表面だけ。中の生地はモチモチとしていて、甘酸っぱいリンゴのフィリングと一緒になってなんともおいしい。
中の具は、こうした甘いものだけでなく、野菜を入れてお食事にすることもできるようだ。
15時になると立ち見も出るくらいの大盛況の中、インカムをつけた若い男性がドイツ語と英語でアプフェルシュトルーデルの作り方を実演してくれた。
小麦粉と水で練った生地は、最初は大理石の台の上で薄く伸ばすが、ある程度まで伸ばしたら、ピザ生地のように手にとって、空中で広げていく。これが妙技。最後には、生地の向こう側にパンフレットを置いて、その文字が読めるのを見せてくれた。あっぱれ、あっぱれ。
これを台に戻して、この上にフィリングを海苔巻きと同じ要領で置いて、生地を置いた布を引っ張って巻いていく。最後にできた太巻きを、オーブンで焼いてできあがりなのだ。
アプフェルシュトルーデルっていう名前の、リンゴパンみたいなの食べさせられたような記憶があるけど、全然違う。アップルパイとも違う。これ、おいしいねぇ。
休憩にもなったし、最後の皇太子庭園に行きましょう。再び宮殿を通り抜けて庭園に出たら左手へ。宮殿の左手に広がる小さな庭園だが、周りを木の葉のトンネルが取り囲み、トンネルに開けられた窓から庭園を鑑賞できるようになっている。
半周して宮殿と反対側に行くと物見の塔があり、その上から庭園全体を見渡すことができた。
こうして全てを堪能して帰ろうと出口に向かったのが午後4時。シェーンブルン宮殿は1日遊べる所だった。
コンビネーションチケットの価値については、やっぱりお得。1日遊ぶなら買って損はないと思う。
|
|
|
|