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2006.07.23
ウィーン近郊のバーデンBadenで温泉につかろう!
オーストリア:バーデン |
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ウィーンから24km南に離れた町バーデンは、温泉とカジノで有名な保養地。国鉄だと30分程度、路面電車だと1時間程度で行くことができる。
JCBプラザで入手した資料によると、見所は@旧市街、Aベートーヴェンハウス、Bクアパーク、Cカジノ、DレーマーテルメRoemertherme 以上となっている。地図をみるとこじんまりとした町のようだ。
この旅が始まってから、温泉と聞くと日本人の血が騒ぐ。今回もバーデンの情報を聞くや、「行くかどうか」ではなく「いつ行くのか」というモードに入っていた。見所もそんなに多くないし、温泉目当てで行ってみよう。
国鉄だと30分といっても、国鉄のある駅まで行く時間、乗り換え時間、バーデンの国鉄駅から中心部に行く時間を考えると、ウィーンからバーデンBaden行きの路面電車に乗って1本で中心地の広場まで行ける方が楽だと思い、路面電車に乗ることにした。
我々は1ヶ月定期券を買っているので、ウィーン市内だったらどこにでも行ける。しかし、バーデンは郊外になるので、これにEUR3の追加料金チケットを買わなければならない。
カールスプラッツKarlsplatzに停車する路面電車。通常の路面電車に
対して、これはシュネルバーンSchnellBahn(速い電車)と呼ばれる。
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家の最寄の駅には切符販売の機械さえないので、Baden行きの出発点、カールスプラッツKarlsplatzというオペラ座の前にある停留所まで行って切符を買うことにした。
路面電車の運ちゃんに聞いたら、電車の窓から上半身をぐいと突き出し、目の前にある自動販売機を指差しながら買い方を教えてくれた。ふむふむ、まず左側の列の一番上VKを押して、それから右側の列の2番目の2という数字を押す。すると一番上の料金表示の所に「3.00」と表示されるので、コインをEUR3分入れるとチケットが出てくる。路面電車に乗ったら、これを日付を刻印する機械に差し入れて、チンと音をさせたら正しい乗客になれる。
ウィーン市内は路面電車と同じく、細々した停留所に停まっていくのでかなりゆっくり感じられるが、バーデンまであと5駅くらいになると、急に停留所(というより、この辺りに来ると駅の体裁になるのだが)間が長くなり、スピードもアップ。車窓の風景も、伸びやかな草原に変わってくるのだった。窓から入ってくる風が草の夏の草の香りを運んできて、気持ちいい。
ここからバーデンに入ると又市街地の趣だが、入ったと思ったらもう終点のヨーゼフプラッツJosehsplatzだった。
降りた所の右手に「ベートーヴェンハウス」という標識が見られたので、最初にそこに行ってみることにした。
ベートーヴェンが交響曲第九番を作曲した家と言われているのだが、入ってみると、奥からピアノの音が聞こえてくるものの受付には人影がなく、見学者も誰もいないようだった。「こんにちはー、グリュースゴット」と声をかけると、ピタッとピアノの音がやんで、奥から若い女性が出てきた。入場料のEUR3を支払って中を見学。
入り口からすぐ入った部屋には、ベートーヴェンが弾いていたというピアノが展示されていた。
え?もしかして、さっきのピアノの音?お嬢さん、もしかして、このベートーヴェンが使っていたという、展示物のピアノを弾いちゃぁいませんでしたか?と聞くと、「音楽の勉強といっても、子供に音楽教育を施す、どちらかというと教育学の方を勉強してるんです」とか言っちゃって。こらーーっ!展示物弾いちゃって、いーけないーんだぁー。と佐藤玉緒風に言ってみても通じないだろうし、彼女も「やばー」っていう顔で見えない冷や汗が頬を伝っているし、ここはひとつ大人ぶって「そぉなんですかぁ」と答えておいた。
ベートーヴェンの家なのに、一室はモーツァルトの展示もあった。何といっても今年はモーツァルト生誕250周年の年。ここもモーツァルト風に押されているようだった。しかし、そのお陰でベートーヴェンとモーツァルトの直筆の楽譜を見比べることができた。ベートーヴェンは激しく殴り書きのような楽譜。モーツァルトは丸っこいきちんとした音符が並んでいる楽譜。重厚な音楽の前者と軽やかに疾走する音楽の後者の音楽のキャラクターが、楽譜の書き方にもあわられているように感じた。
ベートーヴェンの直筆 |
モーツァルトの直筆 |
ベートーヴェンの家を出て、インフォメーションのあるBrusattiplatzに向かうも、今日は日曜日でお休み。ということで、今日のメインイベントである近くにあるレーマーテルメに行ってしまうことにした。
色とりどりの花が咲く花壇を手前に置いて、レーマーテルメはガラス張りの近代的な建物だった。
ここのベンチでお昼ご飯を食べていると、次から次へと団体観光客が訪れる。
しかし、みんなテルメの写真を撮って、入り口前で引き返している。こんな暑い日は、入り口からガラス越しに透けて見える水色のプールにざぶんと入りたいだろうなぁ。我々も夏の暑い日にアルゼンチンのコルドバの日帰りツアーに参加して、気持ちの良さそうな川やら湖やらに散々連れて行かれたが、時間がないので写真を撮っておしまい。あの時のことを思い出した。今日は、あの日の雪辱戦だ。
中に入ると左手にフロントがあり、そこで料金を支払って左手置くのロッカールームに向かう。
料金は2時間EUR10から、3時間、4時間、1日という料金体系。2時間チケットを購入して、出る時に超過料金を支払うことも可能だった。我々はとりあえず2時間EUR10.10(US$12.78)を購入。今日は休日なのでちょっと高いが、平日ならばEUR8.5だそうだ。料金を支払うと、時間情報をインプットした時計のようなリストバンドを渡してくれる。これを、入り口のバーの横にある機械に掲げると、バーのロックが解除されて入れるようになっている。何と近代的。
ドイツ同様、オーストリアも相当キレイ好きな国のようで、どこもかしこもビシャーっと掃除が行き届いて美しい。特にこうした水物の施設では、これらの国の素晴らしさを強く感じる。
ロッカーは男女一緒。ロッカールームの端に更衣室が並んでいるので、プライバシーが保たれるから、男女一緒でもいいでしょ。という考え方。合理的だなぁ。これなら男女比によってどちらかが混みあってしまうことを考えなくていいし、清掃員だって掃除しやすいし、ロッカーも家族で1つでいいから便利だ。ロッカーはEUR2コインを入れるのだが、開ける度にコインが返却されるのも感じがいい。
日曜日の昼間、あまりロッカールームには人がいないにもかかわらず、あたりをずーっと掃除している若い女性がいた。夫が着替え終えて更衣室から出た途端、更衣室をのぞいて水気はないか、汚れはないかをチェックしていた。凄い、掃除の使命感に燃えている。これはもう職業の域を超えて、国民の習性となっているのかと感じる程だった。
さて、水着に着替えて、ざっとシャワーを浴びてから外に出ると、目の前にはガラス張りで囲われたプールがあった。
入ってみると水は温かくなく普通のプールのようだった。真ん中で区切られていて、手前は腰掛ける所があったり、時間によって、ジャグジーになったりするしかけのあるプールで、奥は水深1m65cmの水泳用プールで、こちらではガンガン泳いでいる人がいた。
プールから突き出した逆J字型のノズルから
突然の放水。わーっはっはっはと水に打たれて
大騒ぎしているのは我々だけだった。 |
かと思うと、今度はプールの真ん中から
巨大なジャグジー。ボコボコと地獄の釜茹での
ような大きな泡が吹き出す。 |
さんざんプールで楽しんでから、今度はガラス張りの建物から出て屋外にある2つの小さなプールに入ってみた。
ああ、こっちが温泉。1つは温度34度〜36度と表示されていて、入ると薄っすら硫黄の匂いがする。もう一つは、ここよりも温く硫黄の匂いもあまりなかったので、温泉ではないのかもしれない。
2つのプールの周りには芝生が張り巡らされて、パラソルの下のビーチベッドでゆったりと横たわっている人多数。ロッカーがすいていて、プールも割りとすいていたので、あまり人がいないのかと思ったら、皆ここにいたのだった。
大きなバスタオルやバスローブを持ってきている人が大半で、ここで1日ゆっくり過ごしているようだった。地元の人が多いのかなぁと思っていたが、アメリカ人英語やロシア語なども聞こえてきて、余裕のある日程を組んでいる旅行者も来ているようだった。
屋外のプールも、一定の時間になると、水管からドドドドドーッと放水される時がある。ふと見ると、髪の量に問題がありそうな男性ばかりが揃って滝に頭を当てている。治療?なのか?
かなりの水量なので、試してみたい人は耳栓を持参することをお勧めする。
こうして、色々なプールを楽しんで1時間半。もう十分と感じてあがることにした。ここでも驚いたのは、みんなプールからあがったらシャワーを浴びて、きっちりタオルで拭いてからロッカーに向かっていること。ロッカールームは掃除されているから美しいということもあるが、使う人たちが水浸しにしないので美しさが保たれているのだということもあったのだ。見習いたい習慣ですねぇ。
さっぱりとした気分で、最初に入って来た入り口に戻る。ここで再び時計を機械にかざすと、超過時間を自動計算してくれる。もしかしたら、プールのレストランの飲食も全部ここでお会計ということになっているのかもしれない。小さくて、ちょっとひなびているという表現もできる町だが、こうした施設がきっちりとしている所が素晴らしい。
時刻は午後1時半。まだ見ていなかった町見学に戻ろう。レーマーテーメルからブラブラと歩いて10分も行かない所にカジノの立派な建物がある。
この建物の横がクアパークと呼ばれる公園になっていて、2軒のカフェ、噴水、花壇があり、裏山の丘に登るとバーデンが一望できる展望台があるというので、登ってみた。たいして高い丘ではない。砂利のしかれたこの小道はベートーヴェンベック(ベートーヴェンの小道)という名前がついている。第九の構想を練りながら、ベートーヴェンも同じ道を通ったのかもしれないなぁと思いながら丘に向かった。
丘への上り口の階段の上にある花壇 |
丘への途中には至る所にベンチが用意されている |
展望台を下から見上げたところ。 |
上からの景色は・・・。まぁ、こんなもんでしょう。 |
下に降りてきて、カフェでビール。いやー、風呂上りの一杯はとてもおいしい。200mlという一番小さいビールでEUR1.9は悪くない量と値段だ。
ここからシュネルバーンの出発点ヨーゼフ・プラッツへは旧市街を通って丁度いい散歩道。本当にバーデンは手軽なサイズの町だ。今日は日曜日なので大半の店が閉まっていたが、平日ならばもう少し店も開いて賑やかかもしれない。
温泉いいわぁ。夏に温泉はどうかと思っていたが、夏ばて気味だった体がしゃっきりした気分。もう一回くらい行きたいなぁ。
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