夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.08.10 
ホイリゲとベートーヴェンの散歩道そして夫婦喧嘩

オーストリア:ウィーン

 8月に入ってから、曇りと雨模様が続き、「もう夏は終わっちゃったのぉ?」と嘆く日々が続いていた。

 しかし、昨日あたりから天気がちょっと回復。普段、平日はFXの練習にあてているので、昼間の外出は週末と決めていたが、今週末にはまた天気が悪くなりそう。残り少ない夏の晴天に、家にいるのはもったいないので、ウィーン市内でまだ出かけていない観光名所を訪ねることにした。

 ウィーン北部にはウィーンの森が広がっているが、そのちょっと手前のグリンツィングGrinzingとその西にあるハイリゲン・シュタットHeiligen satdtは、ウィーン郊外に9つあるホイリゲ地域の1つ。ホイリゲとは、ワインの新酒を指す言葉であり、そうした新酒を出す庶民的な居酒屋もホイリゲと呼ばれている。グリンツィングは観光客が団体で押しかけるようなツーリスティックなホイリゲが軒を連ねているそうで、初心者としては、グリンツィングで賑やかそうな店に入れば、結構楽しめるらしい。

 ハイリゲン・シュタットはホイリゲ以外にもベートーヴェンが遺書を書いた家があり、現在ベートーヴェン・ハウスとして博物館になっていたり、彼が交響曲の着想を得たとされる散歩道があったりする。

 この地域の見所と場所を地図上で確かめ、見所を見ながら散策して、夜になったらホイリゲで喉を潤す、という今日の散歩コースを決定。これ、なかなか良かったので、お勧めです。

コースは、37番の終点から反時計回りに散策して38番の終点グリンツィングに行く散策。

・オペラ座前から路面電車1か2かDに乗って北方面のShottengtorまで。
・ショッテントアーShottentorから路面電車37番で北方面終点下車。
・ハイリゲン・シュタット公園Heiligen satdt Parkでベートーヴェンの記念像を見る。
・プロブスカッセProbusgasseにあるベートーヴェンの遺書の家見学。
・プファール広場Pfarrplazにあるマイヤー・アム・プラッツというホイリゲを外から見る。(既に飲みたい人は、ここで飲んでもよし)
・ベートーヴェンが交響曲「英雄(エロイカ)」を着想したエロイカガッセEroicagasseを北上して、
・ベートーヴェンの小道Beethovengangを左折
・ベートーヴェンの小道を終わりまで進んだら
・道の名前が変わってヴィルドグルガッセWildgrugasseとなる
・ヴィルドグルガッセを更に進み
・グリンツィガーシュタイクGrinzinger steigで左折
・グリンツィガーシュタイクをとにかくまっすぐに行くと、大通りに出る。
・その辺りから左右にホイリゲが立ち並ぶエリアとなる。特に右手に多い。

 とまぁ、こんな感じ。散策は所要時間2時間〜3時間も見れば十分。更に時間がある場合は、カーレンベルクという丘までバスで行って帰ってくるというイベントもはさみこめる。カーレンベルク(38Aのバスで行ける)には、ブドウ畑、ドナウ川、ウィーン市街地が一望できる展望台と休憩できるカフェもあるようだ。

 私たちの散策コースを写真で紹介したい。
○出発点、オペラ座で天気確認!
 久しぶりに晴れたオペラ座界隈。

 まずは晴天をバックにオペラ座の写真を撮影。「天気よーし」と指差し確認して、路面電車1か2かDに乗り込んだ。

 ショッテントアーまでは、左手に美術史博物館、自然史博物館が並ぶマリア・テレジア広場、お次はパルテノン神殿かと思うような美しい列柱が立ち並ぶゴージャスな国会議事堂、そして教会のように真ん中に塔がある市庁舎と、観光名所が目白押し。市庁舎の次の停留所がショッテントアーだ。

 ショッテントアーで下車して、目の前の階段から地下に降りると、37番の路面電車の乗り場にたどり着く。

○ハイリゲン・シュタット到着
 路面電車37番の終点はクルクルっと周りながら4つくらいの停留所をこなすので、心配することなく、クルクルっと周って終点で下車すればいい。

 下車した所から見て左手は、路面電車のクルクルが始まる道と坂を下りていく道の2本にわかれている。この坂道を降りていくと、グリンツィガー・シュトラッセGrinziger strasseという大きな道。

 もし、カーレンベルクに行きたいのなら、グリンツィガー・シュトラッセで左向きに行く38Aのバスで行けるが、今日の私たちは、坂をおりきった右手にあるハイリゲンシュタット公園に行く。

○ハイリゲンシュタット公園Heiligen stadt Park
 ベートーヴェンの記念像があるって、どこだろう?と、教会の裏手から遊歩道を歩いて行くと、あった、あった、いや、いたいた。

 ベートーヴェン様の彫像が立っている。

 で?で、これだけです。ここは。ああ、公園が気持ちいいなぁ、ベートーヴェンもこんな所を散歩して作曲をしたんだなぁと、感じるところ。

○ベートーヴェンの遺書の家(Beethoven Haus)

坂道を下りてくると右手に
この教会が見える。
 で、さっきの坂道を下りてきた所まで戻る。左手に教会を見て、右手の道アルムブルスターガッセArmburustergasseに入る。

 1ブロックめ左手がプロブスガッセ。この辺りには、「Beethoven Haus」という標識が矢印とともに立っているのでわかりやすい。

 プロブスガッセに入って3分も歩いていると、右手にベートーヴェンの遺書の家がある。


 プロブスガッセは静かな裏道チックな通りなので、他のものに紛れてベートーヴェン・ハウスを見逃す可能性は少ないとは思うが、それにしても、かなり控えめな看板なので、「ここ・・・?」とちょっと不安になるところ。





 それでも勇気を持って中に入ると、中庭の奥に階段があり、「ベートーヴェン・ハウス」の看板が出ており、ここがまさしく目的地であることを確認。

 博物館になっているといっても、非常に小規模で、見学する部屋は2室しかない。

 しかし、、彼の直筆の遺書(コピーだが)を見て、ここで実際に暮らしたベートーヴェンが見たであろう中庭を眺めながらまた、同じ時期に作曲した曲を視聴できる。

 苦悩に満ちた遺書をしたためながらも作曲した音楽が、穏やかで生命力に満ちた作品なのに驚く、という体験ができる。

 小さな博物感ながら、臨場感を味わえるという点ではEUR2は支払う価値のある所だと思う。



○ここでホイリゲってのもあり。
 ベートーヴェン・ハウスのあるプロブスガッセにも2軒のホイリゲがある。

 日本でも新酒ができると、酒屋さんの店の軒先に杉玉をぶらさげるが、あれと同じように、こちらのホイリゲも今年の新酒が出来上がると、店の軒先に松の枝をぶら下げると聞いていた。しかし、今はまだ新酒の時期じゃない。あれ?新酒の時期じゃなくても、ぶら下がっているのは何故?でもま、松の枝がぶら下がっていて、電灯に明かりがついていると営業しているという意味だそうだ。

 この2軒は、道端からのぞいてみるとしっとりとした雰囲気の中庭が良い感じのホイリゲだった。ここも良さそう。

○で、もう一つの有名ホイリゲ
 で、プロブスガッセの終わりがプファールプラッツ。目の前に教会があり、教会の左側が、ここにもベートーヴェンが住んでいたことがあるというホイリゲ「マイヤー・アム・プファールプラッツMayer am PfarrPlatz」。こちらの方が観光としては有名なせいか、先ほどの2軒よりも人は多かった。

○エロイカガッセ
 マイヤー・アム・プファールプラッツの前を左折すると、道は何となく左手にカーブしていく。この道がエロイカガッセ。

 黄色やピンクの壁の2階建ての家が並んでいて、落ち着いたいい雰囲気の通りだった。

 ウィーンの中心部にいると、近代的な建物が入り込んだり、商業的な店が立ち並んでいるので、そんな感じは受けないのだが、ここは時が止まったような、静かなたたずまいで、日本人がイメージしているウィーンという街のイメージは、案外こういう所にあるのかもしれないと思った。

○エロイカガッセから先の風景
 エロイカガッセはやがて下り坂になる。下り始めの所の目の先には斜面一面のブドウ畑が見えてくる。このまままっすぐに進むと、目的のベートーヴェンの小道にあたるのだが、そこは通り過ぎて、もっとブドウ畑に近づいてブドウの熟れ具合を見学することにした。

 畑になると、急な斜面。

 前方には地元の人らしいご夫婦が仲良くお散歩しているのか、ずんずんと斜面を登っていった。

 先ほど紹介したカーレンベルクの丘までバスで行って、このブドウ畑を1時間ほど散策しながら下りてくることもできるらしい。下山家としては、それも気持ち良さそうだなぁ。

 ブドウはまだ硬い実ながらも、きれいに粒が揃って成熟の時を待っていた。これが熟れてくると、ホイリゲにも本物の新酒が出回るのだろう。

○ちょっと戻ってベートーヴェンの散歩道
 畑見学を切り上げて、もと来た道をベートーヴェンの散歩道まで戻る。小川の横たわる所から右手に入ると、ベートーヴェンが田園を着想したという散歩道。小川沿いの木陰が気持ちのいい道だった。


○グリンツィガー・シュタイクGrinziger steigへ
 ベートーヴェンの散歩道をずんずんと進むと、やがて車の通る通りにぶつかる。この道を渡ると、同じ道が名前をWildgurbgasseと名前を変えて続いているので、更に進む。こちらの道に入ると、住宅も多くなり、雪が多いこの地域ならではの、屋根の傾斜がきつい家などが見えてくる。

 やがて、左手に人一人が通れるくらいの細い階段があり、グリンツィガー・シュタイクGrinziger steigという表示がある。この階段を登ってまーっすぐに行くとグリンツィングに到着するはずだ。

 階段を登りきった所で振り返ってみると、またブドウ畑が見えて気持ちいいねぇ。

○そしてグリンツィング
 やがて道は大きな道路にぶつかり、どうやらグリンツィングに到着。右手に進むと、松の枝が下がった店がいくつも見つかり、ここが観光客で賑わうホイリゲ地域らしい。単にレストランの所もあり、それぞれの店先の雰囲気が楽しくて、通りを流して歩いた。

○最後に夫婦喧嘩、勃発!
 「さーて、歩き回って丁度喉も渇いたし、お腹も空いてきた。予定通り、予定通り。どのお店にしようかなぁ」。通りを歩きながら私は、期待に胸を膨らませて張り切って歩いていた。

 一方の夫は「何軒見ても、店なんて同じじゃねぇか。一体どこまで歩くつもりなんだよぉ。けっ、たかがソーセージにERU7とは許せねぇ!」と怒りを募らせながら歩いていた。

 で、一通り店を見回って出たお互いの結論が、
私「ソーセージと、フライドポテト、で、ワイン一杯って感じかな?」
夫「こんなツーリスティックな所に3000円も散財するなんてアホちゃうか?帰ろうよ」

 くー、私はこの散策コースを計画していた時から、この最後の瞬間を楽しみにしていたのに、この男はそれを頭から踏みにじろうとしているのだ!お互いにカーッとして、道端で罵倒しあった、いや話し合った結果、結局つまみなしで夫はビールだけ、私はワインだけ一杯ずつ飲んで帰ろうってことになった。

 店は、あまり団体観光客が入っていないしみじみした所。

 店先にワイン一杯EUR2と書かれていたので、私がこの店に決めたのだ。

 店員さんが来たので「メニューは?」と聞くと、「まず飲み物から注文してゆっくりいきましょうよ」と言われた。私はワイン、夫はビール。しかし、表の看板にビールの値段は書かれていなかった。夫は、「ビールが超高いぼったくり値段だったらどーするんだ!聞いて来いよ!」と凄んでくる。凄んではいるが、自分で聞いてくる勇気はないのだ。

 私が店員さんに聞きに行くと、店員さんには「まぁまぁゆっくり座って」とたしなめられる始末。私も、夫と店員の間にはさまって「何でこんな思いをしなきゃいけないのよー、キー!」と怒り沸点。

 気持ちのいい散策の最後にホイリゲで喉を潤す、という計画は無残にも崩れ、場末の酒場のオヤジのように無言で飲み始めた。けっ、面白くない、ぜんっぜん面白くない。楽しんで飲んでこそのお酒なのに。

 ようやく口を開いて、「あのさぁ、レストランのコストパフォーマンスの基準って何だと思ってるの?」と聞いてみた。すると、夫は「家では真似のできない味、創意工夫のある調理で、しかも低価格なこと」と答える。そこには、ぶどうのつるで装飾した東屋とか、夏の夕暮れ時の人々の笑い声とか、オーストリア名物の一つホイリゲで食文化を体験するという価値などは入っていない。そうだったのだ。彼にとってレストランとは料理そのものであり、店の装飾、サービス、雰囲気はコストパフォーマンスにカウントされないのだった。くー、結婚生活12年と数ヶ月。新たなる発見だった。こりゃだめだ。でもねぇ、失敗もあってこそ、色々と知ることができると私は思うんだけど。

 それから夫は旅に出てから試した数々の外食失敗談を並べ、「飯のまずい先進国では絶対に外食したくない」と締めくくった。拍手。「素晴らしい、ロジカルだ、理路整然としている。しかし、そこには情緒が感じられない」と言うと、「金を使えば情緒があるってことになるのか」とまた再燃。あーあ、今日はもう修復不可能かもしれない。

 と、民族音楽の演奏が始まった。こういう音楽エンターテーメントは二人とも大好きなので、ここでようやく、和解ムード。「店の奥のおつまみ、のぞいてきたら?」って遅いんですけど、もう。

 とにかく、久しぶりに沸点が高い喧嘩の原因が、食べ物って所が、後から考えて大笑いだった。

 皆さん、ホイリゲでのつまみは結構割高です。フライドポテトとソーセージとワイン2杯で3000円くらいしちゃうので、ご夫婦でよく話し合ってから計画を立てましょう。そうしないと、ワイン一杯で超不機嫌な二日酔いを体験する羽目になります。あ、我が家だけか、こんな夫婦。

※「この喧嘩、スケッチに書いちゃうからねー」と夫には了解を得てあります。 by 貞淑な妻


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