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2006.08.11
地底湖のゼーグロッテSeegrotte
オーストリア:ウィーン |
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天気の良い日のウィーンから日帰りで行ってみたい所が、あと2箇所。
1つはドナウ川の渓谷の景色が楽しめるヴァッハウ渓谷のドナウ川クルーズと、もう一つは地底湖のゼーグロッテだった。
インターネットで調べ始めたのが、すでに午前9時。今からお弁当の材料を買ってきて、サンドイッチ作ったら、家を出るのは10時半になってしまう。調べてみるとドナウ川クルーズには丸1日当てたほうが良さそうだということで、今日は半日で行ってこられる地底湖に決定!
ウィーンにある地底湖については、最初に宿泊したキムチハウスで知った。キムチハウスの壁には、かつて地底湖へ自力でいった宿泊者が手書きで作成した行き方マップが貼ってあったのだ。また、JCBプラザに行くと、地底湖と修道院を巡るツアーというのを宣伝していて、そんなに面白い所なのかしら?と興味を持ち始めたのだった。
ツアーでは、午後出発で、所要時間4時間。ウィーンの森を通って、リヒテンシュタイン城、ゼーグロッテ、ハイリゲンクロイツの修道院と庭園、マイヤーリンク礼拝堂、ヘレーネンタール渓谷を見るのが定番らしく、コーヒーとケーキがついて、8800円也。
これを公共の交通機関を使ってゼーグロッテだけに行ってみようというのが、今日の計画だ。
インターネットの情報によると・・・
・西駅West BahnhofからU3でLand stasse下車
・Schnellbahnに乗り換えて、Moedling(oeの部分はoのウムラウト)下車
・Moedlingから364あるいは365のバスで地底湖近くの停留所で下車
※西駅からU3に乗って行くLand Strasseという駅は実は路面電車ではWien Mitteという駅になる。
※Wien Mitteから出るSchnellbahnは南方向に進み、南駅Sudbahnhof、Sudtiroler
Platz駅を通る。
上に書いた米印の部分を把握していなかった私たちは、「とにかく西駅に行けばいいのねぇ〜ん」と家から30分ほどかけて西駅に到着。
偶然にも日本人のバイオリニスト友人達にバッタリ遭遇し、再会を喜び合った。「で、今日はどちらへ?」と聞かれて地底湖に行くことを説明すると、西駅からではなく、南駅から出るのではないかと言われて間違いに気づいたのだった。結局、U3に乗ってシュネルバーンに乗り換えて、家から10分くらいの南駅に行くのに1時間くらいもロスしてしまったのだった。因みに、バイオリニストさんたちは、友人4人と「カルテットやろー」と話が盛り上がって、「これからカルテット弾きに行くんです」と言っていた。楽器ができるのっていいねぇ、楽しそうだなぁ。
さて、シュネルバーンに乗り換える時、1日券や定期券を持っている人は追加料金だけを支払えばいい。しかし、その追加料金分のチケットを自動販売機でどうやって買えばいいのかがわからなかった。自動販売機はちゃんと英語表示になるにもかかわらず!
メードリングの綴りはoの上にチョンチョンが付く
oのウムラウト。 |
私たちの場合は、行きは新聞売りの兄さんがちゃちゃっと自動販売機を操作して買ってくれたのだが、帰りはわからなくて窓口で購入した。窓口で購入できれば安全だと思われる。因みに、ウィーン市内有効のチケットを持っている場合、メードリングMoedlingまでは一人EUR1.5の追加料金だった。
ウィーン南西部にあるバーデンという街に行った時もシュネルバーンに乗ったが車体はあまり路面電車と変わりなかった。しかし、今回のメードリング行きの列車は、車幅が広く、座席もゆったりとしていて、遠出の気分が満喫できる。
乗車して15分くらいで、Wien-Meidlingという似通った駅名に停車するのでご注意。ここではない。私たちは一旦下車してしまったが、メードリング行きの電車なのに全員が降りないのはおかしい、と車掌さんに尋ねて、あわてて乗りなおしたのだった。
メードリングはもっと先。南駅からでも50分くらい乗っているだろう。
メードリングに到着すると、足の悪いおばあさんが近寄ってきて、「外に出るのなら、階段とエレベーターがあって、階段はこっち方面、エレベーターはあっち方面ですからね」と教えてくれた。さっきマイドリングで間違って降りた私たちを見ていたのかもしれない。
おばあさんは足が悪いのに階段、私たちは運動不足の健康体だけどエレベーターに乗り込んだ。
さーて、次はバス、バス。バス停は一つしかない駅の出口を出たら目の前。目的のバス364と365は左手の3番乗り場から出るようだった。時刻表を確認していると、先ほどの足の悪いおばあさんが「大丈夫?どこに行きたいのかしら?」と聞いてきてくれた。地底湖に行きたいと言うと「、私もよくわからないんだけど、そういう時はね、駅の人に聞くのが一番なのよ、さ、駅に戻りましょう」と戻り始めた。この親切なおばあさんに誰が逆らうことができようか。我々はゆっくりと駅に戻り始めた。
駅の窓口でおばあさんは、テキパキと質問を投げかけてくれた。何番のバスに乗るのか、そのバスは何番乗り場から出るのか、何分おきにバスは出るのか、地底湖までの所要時間は何分かかるのか。駅員さんも、あちこちから資料を引っ張り出してきて、てんてこ舞いで調べてくれた。
おばあさんは、駅員さんのドイツ語を、更にドイツ語で伝えてくれる。同じこと言ってるんだけど、何だかVIP気分で、面白くなってきた。全ての情報を聞き終えて、おばあさんは満足げに、「それでは、楽しい休日を過ごしてね」と去っていった。いやー、親切、親切。ウィーンもまぁまぁ皆親切だけど、ちょっと郊外に来ただけで、ますますその度合いが濃くなった。メードリング、好印象である。
結局、3番乗り場から364あるいは365のバスに乗るという情報に間違いはなかった。運転手さんにゼーグロッテに行きたいと伝えると、「バス代は一人EUR1.5、停留所に着いたら教えてあげる」とこちらも親切。
5分も走ると、ごつごつとした岩肌の見える岩壁が両側に見えてきて、それっぽい雰囲気になってきた。
バスの運転手さんが「ゼーグロッテ」と叫んで停まった停留所で下車。進行方向に進んで行くと、「ゼーグロッテ」と書かれた標識と左に曲がる道があるので、そこを進んでいくと、徒歩3分くらいで到着。
はいはい、日本にもこういうちょっと地味な観光地ってありますよねぇ。切符売り場と土産物屋、それからコーヒーショップがあって、後は何にもない所。
ちょーっとひなびた観光地、それがゼーグロッテの第一印象だった。チケット一人EUR7と英語の解説ERU1を購入(日本語の解説はEUR4)。一定時間になるとグループになってツアーが開始するというので、外で15分待つことになった。じゃぁ、その間にゼーグロッテのお勉強。
ゼーグロッテの「ゼー」はドイツ語で海・湖。つまり、ゼーグロッテは「グロッテ湖」という意味になる。このヨーロッパ最大の地底湖ゼーグロッテは、1848年から始まった石膏の採掘によって発見された。1848年から1912年まで、採掘された石膏は農業用の肥料として利用されていたそうだ。ところが、1912年に地下水があふれ出すという事故のため、採掘場は閉鎖。1932年に観光用として再びオープンして今日に至る、という歴史があるそうだ。
入り口からまっすぐに450mトンネルを進むと、かつての採掘場跡や教会や労働者が食事などをした所を見学できる。そこから更に階段で地下60mまで降りた所に6200uの湖があるそうだ。
ここまで解説書を読んできて、時間になったので、入り口へ向かう。入り口には、「中の温度が9度なので、EUR0.5で毛布を貸してあげます」という注意書きがあった。私たちは、長袖のTシャツ、セーター、ウィンドブレーカーを持ってきていたので問題ないが、「へーき、へーきさ」と半そでシャツでいきがっていたひげ面のトルコ父さんは、後でさむーい思いをすることになった。
まずは450mの長いトンネルを1列になって進んだ。
足元には2本のレールが走っているので、採掘場だった時はトロッコが走っていたのだろう。
それにしても、薄寒いし、壁は地下水でジメジメと濡れているし、なかなか大変な職場だ。
ここで使役に使われていた馬は、20年間も暗い中で作業するため、皆視力を失ってしまったというエピソードも解説書には書かれていた。
トンネルが終わると、予想外に広々とした所に出る。いくつかの部屋にわかれているのだが、一つには飛行機の模型が置かれていて、1944年にここが地下の飛行機工場として使われていたことを説明された。また、もう一つにはマリア様の肖像が置かれており、教会の空間だったそうだ。
これらを見て周ってから、いよいよ階段を下りていくと、妖しくブルーに揺らめく地底湖とご対面する。1台に20人くらい乗れるボートで、この地底湖を7分ほど遊覧するのだ。
ここまで私たちを率いてくれたアジア系の面立ちのツアーガイドさんは、何気に冗談などを言ってグループをわかせるのが得意だった。1台目の船には彼が同乗して去っていった。くるっと周って帰ってくる時も、船の上から笑い声が響いて、一体どんなオモロイ事を言っているんだろうと楽しみになった。しかし、私たちの時間帯にあまりに多くの人が集まりすぎて、2周目の船にも乗れなかった私たちは、特別にもう1台裏から出してきた船に乗り込むことになった。
ガイドさんは次のグループの人。何もオモロイ事は言わない人だった。解説は面白くなかったが、水はとても美しかった。
所々ライトアップされて、噴水が出ている所もあったりして、観光スポットとして頑張っていこうという気概も見られる。
中でも、岩に囲まれた湖が鏡面となって、周囲の岩を水面に映し出している風景が一番美しかった。
ここの湖は今でもこんこんと水が湧き出しているので、毎晩ポンプでくみ上げ作業を行っているのだそうだ。
今ここで、「急に水が押し寄せてきたらどないすんねん!」という恐怖が、この景色の美しさと妖しさを一層際立たせてる。
遊覧が終了したら、後は来た道を帰るのみ。なぜか皆急ぎ足でトンネルを戻り、外に出てお天道様の顔を拝んで、ハーッとため息をついた。
こんな地味な観光スポット(と私は思うのだが)なのに、大型観光バスでひきも切らずに観光客が押し寄せてきている。教会や華麗な装飾の建物などの人工的な物ばかり見ていると、自然が生み出した不思議な風景を見たくなるのだろうか。確かに不思議で面白いスポットだったが、日本からわざわざヨーロッパに来る人が期待する風景じゃないだろうねぇ。鍾乳洞や地底湖という響きにワクワクする人にはお勧め。
帰りのバスは、来る時に降りた停留所よりも先(メードリングの駅寄り)にある。15分ごとくらいに走っているので、ベンチで休憩しながらバスを待った。帰りの車窓から見る岩山は、あの岩の中に人知れず地底湖があって、今もこんこんと水を湧き出しているに違いないと、自然ロマンスに満ちた想像をすることができた。
結局、ウィーン市内有効のチケットを持っている場合は、ウィーンからメードリングまでEUR1.5、メードリングからのバス代EUR1.5、入場料金EUR7で、合計EUR10で楽しめるスポット。暑い夏の日、地底湖に涼みに行くのは悪くない。
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