夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.08.16 vol.3
フィルムコンサート(ピーター・シンコッティNYジャズライブ、
ウィーン国立歌劇場復興50周年祭)

オーストリア:ウィーン
○8月10日(木)
演目:ジャズライブ
出演者:ピーター・シンコッティ Peter Cincotti
ロケ地:ニューヨーク New York

 今日は午後からウィーンの北方面に散策に出かけ、その足でフィルムコンサートに向かった。

 珍しくジャズだ。フィルムコンサートはほとんどがクラシック音楽、オペラ、オペレッタなので、ここで取り上げられるジャズプレイヤーならば、かなり期待ができるだろうと思っていた。2003年に19歳でデビューしたピーター・シンコッティは、現在22歳のアメリカ人。作曲、ピアノ演奏、アレンジを自分でこなし、初のアルバムで全米チャート好成績を出し、2枚目のアルバムでは、ピアノ弾き語りジャズシンガーとして広く次世代までにも語り継がれるだろう、みたいな解説。ほほー。

 いつもとは違って、彼の生まれ故郷であるNYの街中の道路でライブしている様子が映し出されて、プロモーションビデオを見ているようだった。

 しかし、連日、物凄い迫力の歌唱を聞かされてきた耳には、彼のなでるような声がなんともか細くて物足りない。「もっと腹から声ださんかーい!」という感じになってきてしまう。いや、この歌い方が繊細で、ポップで、新しいジャズ感覚というのだろうか。うーむ、物足りん、物足りんとぶつぶつと繰り返していたが、1曲終わるごとにあっちが帰り、こっちも帰りと人が減っていくのを見て、私だけじゃないのねぇとの思いが募り、ついに4曲目くらいに私たちも立ち上がって帰ってきた。

 というわけで、写真も1枚もないです。あしからず。

○8月11日(金)、8月14日(月)
演目:ガラ・コンサート(ドン・ジョバンニ、アイーダ、ニュルンベルグの指輪、フィデリオなど)
作曲者:ベートーヴェン、リヒャルト・シュトラウス、ワーグナー、ヴェルディなど
演奏場所:ウィーン国立歌劇場
出演者:超有名オペラ歌手続出、超有名指揮者続出(含む小澤氏)、ウィーン・フィルハーモニー

 2日間にわけて上映されたこのガラ・コンサートは、ウィーン国立歌劇場復興50周年記念行事として行われたコンサート。1955年、第二次世界大戦の空襲で破壊されてしまったウィーン国立歌劇場が再建され、そのこけら落としとしてカール・ヴェームがベートーヴェンのオペラ「フィデリオ」Fidelioを振り、その後有名歌手や指揮者が勢ぞろいして華麗なオペラが上演されたそうだ。劇場の中に入れる上流階級の人はもとより、中に入れない一般市民達もコンサート中に劇場を取り囲んで、戦争で失った尊厳の復活という精神的な意味もこめて、ウィーン国立歌劇場を涙で頬を濡らしながら見つめ続けたというエピソードもあるようだ。

 今回は、1955年から50年たった2005年11月に、当時の演目の中からハイライトを選んで行うガラ・コンサートで、今年のフィルムコンサートの数ある演目の中でも絶対に行ったほうがいいと友人から教えてもらっていたコンサートである。

 というのも、一つのオペラでは絶対に見ることができない、ゴージャスな顔ぶれを一度に拝めることができるからだ。

 教えてくれた友人は、2005年のコンサートに実際に行っており、幕間で飲み物など自分で購入するのが通常だが、このコンサートでは盛りだくさんのオードブル、飲み物、お菓子などが無料で振舞われたのも感動だったと教えてくれた。

 今日は無料のごちそうにはありつけないにしても、そんなに有名な人々が出るコンサートなら、といつも以上に楽しみにでかけた。

 まず一発目は、小澤征爾さんの指揮によるベートーヴェンの「レオノーレ」序曲3番。

 晴れがましい祝典の第一曲目に日本人の指揮者が振っていると思うと、こちらまで誇らしくなってくる。

 切れのある曲が終了すると、ここからオペラ歌手の登場だ。まずはズビン・メーター氏の指揮による「ドン・ジョバンニ」。

 今までガラコンサートをテレビなどで見ても、歌唱力や曲の面白さに感嘆することはあっても、「ああ、あのオペラのあの場面ね」とオペラ全体を知っていて聞くという体験はなかった。今回は、8月9日にテアター・アン・デア・ウィーンで「ドン・ジョバンニ」を見てきたばかりだったので、予習はばっちり。どの場面で歌われている曲かがほぼわかった。こうやって、オペラ全体がわかっていて聞くガラ・コンサートは格別に面白い。なぜそんな表情で歌っているのか、どういう場面なのかを頭の中で想像できるから、見ているのはステージで歌っているオペラ歌手なのだが、頭の中はかなりビジュアルになって楽しめる。ガラ・コンサートってこうやって楽しめばいいのねん。

 9日に見に行った時はドンナ・アンナ役の人がコロコロと音程の変わる曲(コロラトゥーラという)を歌うのを聞いて、よくあんなことができるなぁと感心しきりだったが、本日のドンナ・アンナ役のエディタ・グルベローヴァさんという人はもっとすごかった。

 艶のある声で、聴いていて安定感があるし、表情もたっぷり。実はこの方、コロラトゥーラを歌わせたら右に出るものなしと言われるくらいな人で、是非一度は聴いておいた方がいい人だったらしい。今年の9月からのオペラにも出演する予定なのだが、私達のウィーン滞在中に彼女の出番がなくて、大変残念だと思っていたのに、ここで聴けて本当によかった。

 主役のドン・ジョバンニの召使であるレポレッロ役にはフェルッチョ・フルラネットさん。この人は、日本の俳優の高橋秀樹さんに似ていて、常にユーモアのありそうな表情で、歌うと迫力のある声。この人もいい。

 お近づきになったら、面白い話をたくさん聞かせてくれそうな、そんな人柄が顔に出ている人だ。

 そして主役のドン・ジョバンニ役はトーマス・ハンプソンさん。長身であまいマスクは、まつげが長いタレ目。女ったらしのドン・ジョバンニ役に顔からしてはまり役といえる。実際に女ったらしかどうかはさておき、中年女性に絶大なる支持を受けているらしい。納得、納得。エーゲ海クルージングでシャンパン飲んで品のいい冗談を言ったら似合う感じ。


左から、ソイレ・イソコスキ、ミヒャエル・シャーデ、
エディダ・グルベローヴァ、ズビン・メータ(指揮)、フェルッチョ・
フルラネット、トーマス・ハンプソン、イルディコ・ライモンディ(新婚の
村娘ツェルリーナ役)、新婚の夫マゼット役の男性
 それに加えて、ドン・ジョバンニにかつて捨てられたドンナ・エルヴィーラ役にソプラノのソイレ・イソコスキさん、ドンナ・アンナの恋人ドン・オッターヴィオ役にテノールのミヒャエル・シャーデさんなどが絡んで、最後は総勢7名で大合唱。

 そりゃもう、画面から繰り出される迫力で聞いているこちらが後ろにふっとびそうな勢いだった。

 次に女性3重唱でこれも美しい「バラの騎士」Der Rosenkavalierのフィナーレの曲。

 その次が「アイーダ」だった。アイーダも、今日の鑑賞の前にフィルムコンサートで見ていたので、よくわかった。

 指揮者の左側に登場した3人の両端の2人が立ち上がって歌い始めてすぐに、これは主役のアイーダ(今回も体格のガッチリした女性、ヴィオレッタ・ウルマーナさん)とその父親でエチオピア王アモナズロ役(フランツ・グルントヘーバーさん)だということがわかった。

 エジプト軍の総司令官ラダメスが娘と恋仲にあると知った父が、娘のアイーダに次の作戦を聞きだせと迫る場面だ。嫌がる娘に、聞き出せなければ祖国はエジプト軍に焼き尽くされるだろう、死者がお前を指差して、お前のせいで祖国が焼き払われたと言うだろう、お前なんかもう私の娘ではないと迫る場面。

 くー、このお父さん顔が迫力満点な上に声も迫力ある。娘は恋人と父の板ばさみになって苦しそうな様子を絶叫して歌う。心に迫る場面だった。

 しかーし、ここで気になるのが、2人の間にちょこんと座っている卵体型の男性。ってことは、これがエジプト軍総司令官でありアイーダの恋人であるラダメスなのかぁぁぁ。かねがね、そういう体型の人がいるという話は聞いており、顔と首の境目をつけるために髭をはやしているとか、白鳥に乗って登場する王子役では白鳥がつぶれそうだったとか、瀕死で倒れこむ場面では自力で起き上がれずに黒子がついていたとか、色々と面白いエピソードを聞いていた。ま、まさか、この人がその王子様なのでは?

 そして緊迫の父娘の場面が終わると、やおら立ち上がった真ん中の男性は、やっぱりラダメスだった。「勝利の暁には二人で逃げましょう」と誘うアイーダに、「では兵のいないナバタの谷を通ろう」とついついエジプト軍が通る道(それはエチオピア王が知りたかった情報なのだ!)を口に出してしまう。直後に「聞いたぞ!」と現れるエチオピアの王。めちゃくちゃ悔しそうな顔で後悔するラダメス。という場面。

 絶対卵の王子様だ。アップでますます確信。それにしても、この人は軽々と安定して張りのある声で歌う。物凄くいい声なのだ。だから採用されてるんですねぇ。ヨハン・ボータという人だそうだ。

 この迫力のアイーダで、1日目は終了。

 2日目は同じくアイーダだが、今度はラダメス役にプラシド・ドミンゴさん、エジプトの王女アムネリス役にアグネス・バルツァさん。

 特にドミンゴ人気はすごく、まだ登場してきたばかりなのに、オペラ全編が終わったかのような拍手でなかなか始まらない。3大テノーラーの一人として名を馳せたドミンゴさんは日本でも人気だが、ここでも大人気だった。名歌手の落ち着いた歌い方で、誰もがうっとり。彼の出番はそんなに長いわけではなかったのに、終わりも、もうこれでコンサートが終わるかと思うくらいの大拍手で、何度も舞台に出てきては挨拶していた。

 この日は、他にマイスタージンガーを歌った男性歌手が登場し、最後は小澤征爾氏の指揮で、ベートーヴェンのフィデリオで締めくくられた。

 拍手が鳴り響く会場では、今までに出演した歌手、指揮者が全員出てきてご挨拶。それから一人ずつ出てきてご挨拶、最後に全員が出てきて・・・。という、いわゆるカーテンコールが相次いでいたが、このカーテンコールだけで15分間もかかったそうで、全てDVDに収録されているそうだ。

 それにしても、出演した人の顔を実ながら、一人ひとりの歌を思い出すだけで、お腹がいっぱいになるコンサートだ。このフィルムを見た後、このDVDを買おうと思った。

おまけ:
この日から我が家の新しい習慣が始まった。
「フィルムコンサートに赤ワイン&チーズ持込でラッパ飲みである。

ラッパ飲みなんて・・・。と思ったが、
暗くなったら見えないし、ま、いっか。

おいしいお酒飲みながら、一流どころの音楽聴き放題。
ウィーンの夏もいよいよ魅力的になってきました。



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