夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.09.05 Vol.1
ラインツァー・ティアーガルテンLainzer Tiergartenハイキング

オーストリア:ウィーン
 あと1週間でウィーンを去るという時期になった。ウィーン在住の友人モニカが、「最後に一緒に遊べるのは5日しかない、5日に会って面白いことをしよう」と言ってくれた。

 アウトドア派の彼女にとって面白いこと。それはウィーン郊外の広大な公園の丘の上からウィーンの全景を見渡すハイキングをしようという提案だった。ウィーンを去る私たちに、最後に思い出に残る景色を見せてあげようという計らいだ。

 オーストリア人がここまで人情厚い人たちだとは本当に思っていなかった。あまり深く考えたこともなかったが、ヨーロッパの人というと、アジア系はちょっと見下すような、お高いようなイメージを漠然と持っていたが、今までの旅の中で出会ったオーストリア人は、一度知り合いになったら非常に温かく対応してくれる素晴らしい人たちばかりだった。今や、オーストリア人に対して俄然、好印象。人がよければ町も良く見えてくる。最初はパリと比べると洗練されていない田舎としか思えなかったウィーンに、数々の素敵な思い出が塗り重ねられ、忘れられない町の一つとなっていた。

 ウィーンでできた友人がもう一組。ここでバイオリンの勉強をしている日本人学生の女性2名だ。彼女たちも呼んで、私たちがウィーンで知り合った友人を知り合わせちゃおう。モニカもその提案を喜び、5日午後1時にラインツァー・ティアーガルテンの最寄り駅、ヒュッテルドルフHuetteldorf(uウムラウトはueと表記)に5人が集結することになった。

 ラインツァー・ティアーガルテンは王室の狩猟用の森だった所だそうで、広大な土地が塀で囲まれており、内部は起伏のある丘あり、森あり。ウィーン市民にとって、格好のジョギングやハイキングコースを提供している所だ。ヒュッテルドルフから徒歩5分ほどでラインツァー・ティアーガルテンのいくつかある入り口の1つにたどり着く。

 ここでモニカは一つ用事を済ます。森に生息する動物用に食べ残したパンを入れる容器があるのだが、ここに持ってきたパンを入れるのだ。容器のフタを開けてみると、パンがいっぱい。自然を楽しむことが大好きなオーストリア人らしくて、微笑ましかった。

 また、この入り口には「日本人に是非見せたい」という看板がある。

 今日これから向かおうとする丘の上には、日本の天皇皇后両陛下が訪問された記念碑があるという看板だ。

 へー、こんな所にいらしているんですねぇ。とひとしきり感心する日本人をモニカは満足そうに見ていた。

 さて、ここから左手、左手へと道は上り坂。さっきの看板によれば、丘までは2.9km。本格的なトレッキングから見たら腕に生えたうぶ毛のようなハイキングだが、最近運動不足な私たちと、どうやら運動不得意そうなバイオリン学生はへーへーと息を切らしてしまう上り坂だった。あまりに体が熱くなったので、途中でみんなパンツの裾をめくり上げ、さらに行進。

 45分後、目的の丘の頂上に到着。おお、確かにいい眺め。ここからはウィーンの町が一望できる。

 はい、天皇陛下の記念碑の前で記念撮影。



 今日はモニカが新品のピクニックシートを持ってきてくれた。私たちのお馴染みのブルーシートも広げて、休憩することにした。

 ピクニックっていったら、お弁当しか思いつかなかった私たちは、午後1時の集合ということもあって、手ぶらできてしまったのだが、ピクニック慣れしているモニカは、リュックからお菓子やぶどうやジュースを取り出し、皆に振舞ってくれた。

 8月のうちはもう冬かと思う冷たい雨の降る悪天候だったが、9月に入って夏が戻ってきたよう。強い日差しだが、涼しい風で冷やされる。そんな気候を楽しみながら、シートに寝っころがって話が盛り上がる。

 モニカはフライトアテンダントなのだが、ある2つの国に行く便が苦手なんだそうだ。1つの国の人たちは皆が所かまわずタンを吐く。たとえ機内通路にでも。ある日、彼女が客席の背もたれに挿してある嘔吐袋を拝借して、機内で余ったパンを頂戴して持ち帰った時のこと。さぁ、食べようと袋に手をつっこむと、手に「スライミー」な感覚。「ギョエーーーー」。そう、それはタンを嘔吐袋にペッと吐いた客が、ご丁寧にも背もたれのポケットに戻しておいた袋だったのだ。聞いている私たちも、一緒になって、「ギョエーーーー」。ああ、「スライミー」といった時のモニカの顔、今思い出しても笑いがこみ上げてくる。

 そしてもう1つは、国民階級制度が昔からある国。飛行機に乗って旅行している人はもちろん上の階級で、かつ女性差別主義者が多いそうだ。従ってフライトアテンダントなんて、自分の召使だと思っている。物を頼む時は当然命令口調。「プリーズ」なんてのは付けない。「あれを持って来い!」「これを追加しろ!」。食事のサーブが終わってスタッフが一息つける時間も、ひっきりなしにコールボタンが押されて、気が狂いそうになるのだそうだ。いやー、実体験に基づく比較文化の話はおもろい。

 ひとしきりしゃべり尽くしたら、お昼寝。

 ここまでの道のりで疲れた体が休まっていくなぁ。

 本気で30分ほど昼寝して、そろそろ戻ろうかということになった。

 くだりは楽チン。と思いきや、音楽学生たちは膝がガクガクと笑っていると言う。私たちもかなり体が鈍っているが、君達もかなりきているねぇ。

 午後5時半、出発地点の駅に到着。結局、アルゼンチンのパタゴニアで出会ったモニカとは、ウィーンに来てから4回も遊んでもらった。最後の最後まで本当によく付き合ってくれた。今度会うのは一体いつ、そしてどこなんだろう。彼女も仕事で世界をぐるぐるしているので、チャンスはこれからもある。また会う日を楽しみに、これからも連絡を取り合っていこう。

 今日のハイキングは、午後のお散歩には丁度いいコースだ。ウィーン北部にはカーレンベルクという丘があり、ここには直接バスで行ける。レストランなども併設されているし、丘の麓はグリンツィングというホイリゲの並ぶ場所だ。ウィーン東部にある、ここラインツァー・ティアーガルテン内に店はない。店どころかトイレもない(係員に聞くと「森がトイレです」と言われる)。Huetteldorfの駅付近もなーんにもない。駅構内に売店1軒、パン屋2軒、バーが1軒あるくらい。だから観光客としてはカーレンベルクに行くのが順当だろうなぁ。でも、ウィーンの東側からも市街を眺めてみたいという遠景フェチ、人と同じではつまらないという考えの人だったら行ってみてもいいだろう。気持ち良い所であることは確かだ。入場料無料。


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