夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.07.29 vol.2
フェルゼンライトシューレでのコンサート

オーストリア:ザルツブルク

 さーて、今夜のコンサートは午後8時から。場所はフェルゼンライトシューレFelsenreitschuleと書いてある。

 って、どこ?そういえば、チケット探すのに夢中になっていて、場所聞くの忘れた。ホステルのフロントの姉ちゃんに聞いたら、「たぶんこの辺だと思う」と思いっきりアバウトに大きな丸を地図上に描いた。こりゃ、当てにならん。

 ということで、少し早めに宿を出て、町のインフォメーションで聞いて行くことにした。聞いてみたら、フェルゼンライトシューレは何と祝祭劇場Festspilehausと同じ建物の中にあるのだそうだ。やったー、あの中に入ってみたかったんだ!

 行ってみると、祝祭劇場のある場所のある入り口に「Felsenreitschle」と大きく書かれた入り口があって、ぞくぞくと人が集まっている。

 男性はジャケットとネクタイの人が多く、女性もかなり正装している人がいる。家ときたら、夫は短パンにサンダル、私はスカートにビーチサンダルだ。やっぱりビーチサンダルだけはハイヒールにしようと、物陰に隠れて足元だけ正装。これでよしっと。

 チケットを見せて中に入ると、奥に案内された。カール・ベームホール(Karl Bohm Saal)と名づけられたホールがあり、ヨーロッパの議会場のような荘厳な雰囲気だった。

 指揮者カール・ベームの音楽に対する厳しい姿勢と相通ずるものを感じる格式高い雰囲気のホールだった。



 このホールの左手がコンサートホールになっている。我々は後ろの方の席だったので、カール・ベームホールから入るのではなく、階段で上にあがるように指示された。

 この建物の2階には大きなバルコニーがあり、ワインやシャンパンなど、コンサート前に軽く飲み物を楽しめるように、テーブルも置いてある。

 このバルコニーから下を眺めると、隣の祝祭劇場前には、大勢の人が何かを待っているようだった。

 赤い絨毯もしかれて、次々とタクシーで乗り付ける正装の聴衆の中に、有名人でもくるのだろうか、それとも有名な演奏家を一目見ようと待っているのだろうか。

 一体誰がくるのかわからないまま、私たちのコンサートの時間がせまってきたので、会場に入ることにした。

 会場は、座席の部分が急斜面にせりあがっていて、横長の建物だった。座席がせりあがっているので、前に座る人の背もたれが膝の部分より少し上。どんなに座高の高い人が来ようと、自分の視界をさえぎることがないので、これはとても気に入った。


 やがて楽員が入場。今日の演奏会は、ドイツのバーデン・バーデンとフライブルグのSWRシンフォニーオーケストラとフライブルガー・バロックオーケストラと、バイエルン・ラジオコーラスという3組の合同演奏会のようだった。

 真ん中の指揮台から左手にSWRが座り、右手にバロックオーケストラが座るという構成。最初にモーツァルトを演奏し始めたのは、右手のグループだった。だから、こちらがバロックオーケストラだということがわかった。バロックオーケストラが弾いている時、左手のグループはお休み。何とも不思議な光景だった。

 チケットを買う時に見たプログラムで筆頭にモーツァルトの曲名が来ていたので、てっきりモーツァルトの曲ばかりだと思っていたら、何と2曲目からは、バリバリの現代音楽。今度は左手のグループの演奏が始まった。うわわわ。現代音楽っていうのは、演奏するのは面白そうなんだけど、聞くのはかなり苦手である。歌えるような、覚えられるようなメロディーもないし、宇宙物の映画のBGMを映像なしで聞くようなものだ。

 こうして、モーツァルト、現代音楽と順繰りに演奏していくのが今日のスタイルらしかった。

 休憩時間になると、皆カール・ベームホールに繰り出して、飲み物を飲んだりしておしゃべりを楽しんでいる。でもねぇ、いわゆるクラシック音楽のコンサートならこういう正装も似合うけど、現代音楽とはちょっと合わないよねぇ。若手の劇団の芝居を見に来るのにカクテルドレスを着てきてしまったような場違いな雰囲気を感じるのは私だけなんだろうか。

 素敵なドレスを見物しながら、そんなことをふと思った。


 休憩が終了して、再び演奏。聞きやすいモーツァルトの演奏から始まり、最後はコーラスの人たちと現代音楽部隊で、合唱付き現代音楽の演奏が始まった。

 この最後の曲が、今までにも増して、奇妙奇天烈。歌もメロディアスな部分はなく、各人が「ワリャワリャワリャワリャ」とか「ハッハー、ハッハー、ハッハー、ハッハー、」などと、それなりに決められてはいる音程とも叫びともつかない発声を繰り返している。どっかで、こんなの聞いたことあるなぁ。そうだ、インドネシアのバリ島のケチャだ。ケチャも伝統舞踊をベースに現地の舞踏家とドイツ人画家が創作したというから、今夜の現代音楽もあながちケチャと縁がないわけではない。しかし、ケチャは迫力があり、鬼気迫るものがあって面白いが、今夜のは、それを模しただけの、迫力に欠ける実験的な音楽に聞こえた。

 周りの雰囲気は、顔をしかめる人、面白がっている人、「なんじゃ、こりゃー」と固まっている人など様々だった。

 演奏が終わると、「ブラボー」という大声援と「ブー」というブーイングの両方が会場中に響いた。私もどちらかというと「ブー」の方。EUR52も支払って、こういう演奏を聴きたいと思っていたわけではなかったからだ。やれやれ。

 でもまぁ、ザルツブルクの祝祭劇場と同じ建物の中に入れたことは喜ばしい。今日は、この雰囲気を味わえたことでよしとすることにした。

 夜9時の町はまだ宵の口。コンサートを終えて、これから夜が始まるとでもいわんばかりに、人々は元気いっぱいに、カフェやバーに繰り出していった。

 我々?朝5時半に起きてお弁当を作って、はるばるウィーンからやってきた私たちは、もうクタクタ。さっさと宿に明日のコンサートに備えて眠ることにした。



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