夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.07.30 vol.1
モーツァルト・マチネーMozart Matineen

オーストリア:ザルツブルク

 今日は午前11時からコンサート。ザルツブルクの夏の音楽祭で定番の出し物、モーツアルト・マチネーは、モーツァルテウム・オーケストラMozarteum Orchesterによるモーツァルトの曲ばかりのコンサートだ。夏の音楽祭の期間中、5つの異なるプログラムで10回ほど演奏されている。各回でソリストを招いて演奏するようなのだが、今日はバイオリンのソリストとの協演だとパンフレットに書かれていた。

 モーツァルテウム・オーケストラは、モーツァルトの没後50年を記念して1841年にザルツブルクで設立された団体で、奥さんだったコンスタンツェもその設立にかかわったそうだ。音楽大学とモーツァルトに関する研究やモーツァルト関連の音楽祭や美術館の管理を行っている財団と管弦楽団の3つの組織がある。

 名前からも明らかなように、モーツァルトの演奏にも定評があるということで、このオーケストラの演奏会に行くことを決めた。楽しみ、楽しみ。

 今日は、昨日とはうってかわって晴れ。11時からのコンサート会場までぶらぶらと散歩しながら向かうことにした。

 旧市街に入ると、ウォーキングツアーを行っているアメリカ人の団体がいて、通常とは違う細い道に入っていった。時間もあることだし、よし、ついていってみよう。

 説明が聞こえてきて、細い路地は、モーツァルトの時代には、お店の並ぶ賑やかな通りだったということだ。今は、細い路地に古びた仕立て屋がぽつんとあるだけだが、隠れ家のような裏路地は趣があって朝の散歩には面白い。

 ここを抜けるとドームのあるドーム広場に出るのだが、どこかから合唱の声が聞こえる。今日は日曜日なので、ミサの練習をしているのかもしれない。声を頼りに近づいていくと、ドームの裏手にあるある建物の2階から声が聞こえていた。いい声。

 ドーム広場も、昨日とは全く違う所のように美しかった。


 繁華街のゲトレイデガッセは休日のためか、まだ朝早い(といっても9時は過ぎているのだが)せいか、お店は閉まっていた。

 人通りも昨日の午後に比べると、めっきりと減っている。こんな風景の方が、モーツァルトがこの町に住んでいただろう時代を想像しやすい。

 今日の会場は、ザルツァッハ川の向こう側にある。


 ゲトレイデガッセにあるモーツァルトの生家から川岸の道に出て、川を渡って会場に向かった。

 会場はモーツァルテウムMozarteum。モーツァルテウム・オーケストラの本拠地だろう。

 隣にはマリオネットシアター、その隣に州立劇場Landestheaterと3軒続いて劇場が並んでいる所だ。

 会場は800席とあまり大きくなく、部屋のサイズと美しい色調の内装から、貴族のお屋敷の舞踏の間にでもいるような雰囲気だった。


 時間が迫るに従って、席が埋まっていった。ここでも美しい民族衣装を着た人が何人かいて、こちらも見るのが楽しみだった。

 鮮やかな若草色や赤と紺の組合せが多いように思う。写真のようにエプロン系の場合と、一体化したワンピースの場合があり、いずれもとってもラブリー。着ているのは年配の人ばかりというのも、日本の着物の現状とよく似ている。高いからねぇ。

 客席がぎっしりと埋められ、各扉が閉められると、いよいよ楽員の登場。初っ端は交響曲第26番で、「はいはい、私も聞いたことあります」という有名な曲。いやー、それにしてもいい音だなぁ。そうそう、オーストリアに来たからには、これくらいのレベルを毎回聞きたいと思っていたのに、今までなかなかめぐり合えなかったのだ。

 続いてバイオリンソリストの若い女性が登場し、バイオリン協奏曲第3番が始まった。女性なんだけれど、男らしい弾き方というのだろうか。迫力のある演奏で、ぐいぐいと引き込まれていった。それにしても、この音はただ者ではない。家に帰って調べてみると、ソリストのリサ・バティアシュヴィリLisa Batiashviliさんはグルジア生まれ。将来有望な若手として注目されているらしい。それに加えて、彼女が弾いているバイオリンが1706年製のストラディバリウスだったということがわかった。

 おおお、ストラディバリウス聞いちゃったんだー。この楽器は、日本船舶振興会(日本財団)の支部である日本音楽財団が保有しているもので、この財団は持っている名器を音楽家に貸与する事業を行っている。リサ・バティアシュヴィリさんも財団からストラディバリウスを貸与されているのだそうだ。

 会場ではこんなことを知らずに聞いていたわけだが、それでも「すごい、すごい」を繰り返してしまうくらい、私の数少ないクラシックコンサート体験の中でのヒットだった。雰囲気が楽しいとか、よく知っている曲で楽しいというのはよくあるが、音がスゴイっていう経験はなかなかない。

 もっと聞いていたい、もっと、もっと。と思っているうちに彼女の演奏は終了した。会場は大拍手が鳴り響く。何度も何度もステージに出てきてからやっと彼女は去っていった。いやー、本当に良かった。

 休憩はロビーとロビーから出られる中庭で。ロビーはあまり広くないので、すぐに人でいっぱいになってしまう。

 天気が良いので、中庭に出る人も多かった。我々も中庭で、今聞いたばかりの演奏について、語り合った。

 後半は交響曲第21番とカッサシオン ト長調。これも楽しい曲だったが、前半のソリストが忘れられなく、その余韻にひたりながら聴いた。

 コンサートは午後1時頃に終了。会場を出て道を歩いていたら、ビオラの楽員で日本人かなぁと思われる男性が、楽器のケースを背中に背負って自転車に乗って通り過ぎていった。これから、家に帰ってお昼ごはんでも食べるのかなぁ?そんな生活感も垣間見えるザルツブルクでのコンサートだった。



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