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2006.10.11
市内観光そして温泉だ!
ハンガリー:ブダペスト |
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初日の宿探しで、思いの外、深いブダペストを体験してしまった私たちは、2日目の今日はフツーの旅行者に戻って観光することにした。
ブダペストの見所はそんなに多いわけではない。ドナウ川にかかるくさり橋を中心に、ドナウ川東(ペスト)側には教会や繁華街があり、西(ブダ)側の丘の上に宮殿や有名な温泉、地下鉄に乗って北西に少し移動するとそこにも温泉がある。
ブダペストでの滞在は2泊を予定していた。13日にはウィーンからスロヴァキアの首都ブラチスラバにバスで行き、そこから飛行機でブルガリアのソフィアへ飛ぶチケットを予約してある。ってことは、今日のうちに市内見学と温泉にいかなくてはならないのだ。
本当は、到着した日にざっくり観光してしまい、今日は温泉に2つ行きたかったのに、昨日のごたごたで予定が押せ押せになってしまったのだ。
地図を広げて予定をたてた。宿は地下鉄のアストリアAstoriaにあるので、一駅乗ってデアーク広場Deak
Ferenc terに移動。そこから繁華街のヴァーツィ通りVaci u.を通ってくさり橋へ行く。
くさり橋を堪能してブダ側に渡り、王宮の丘へケーブルカーで上がる。
王宮の丘あたりで昼食を取り、午後はペスト側の中心地北東部にあるセーチェニ温泉でゆったりする。
そんな所だろう。
朝9時のヴァーツィ通りは、まだ目が覚めていなかった。朝食を出す店以外は閉まっている静かな通りは、そうはいっても西欧のアパレルチェーンやブランド品を扱う店の看板が並び、目が覚めたら相当に賑やかそうな予感。
この通りにはマクドナルドもあるが、「ヨーロッパで一番お洒落だ」と誰かが言っていた。「一番」という形容詞は眉唾な場合がおおいが、それでも外装はなかなか洒落ていて、見学する価値はあるかもしれない。(結局入っていないけどね)
こうして朝のヴァーツィー通りをゆっくりと南下してみたが、ちょっと早すぎたみたい。次の目的地のくさり橋に行こう。
ヴァーツィーを大分南下してきてしまったので、ヴァーツィーと並行して走るドナウ川沿いの道に出て、くさり橋を探してみると、ずーっと遠くに見える。随分遠くまできてしまった。
ふと見るとくさり橋に向けて路面電車の線路がある。いいねぇ、これに乗って1駅、2駅行けば楽チンじゃないの。と、路面電車を待った。
ブダペストは旅行者に向けて3日間の公共の交通機関乗り放題チケットというのを発売している。値段は2500Ft(=US$11.56、\1352)。1回乗るのに189Ftくらいかかるので、14回乗ればお得という計算だ。1日平均5回。これより少なく乗るとしても、毎回切符を買う煩雑さや、買った切符に刻印しなきゃいけない煩雑さが省けることを思うとお得。ウィーンと違って、ここの地下鉄にはしょっちゅう検閲の人が立っている。3日券共通カードは検閲の人にもわかりやすいので、何のトラブルもなくスーッと抜けられるのも良かった。
というわけで、この路面電車にも気軽に乗れる。3駅乗ったら乗りすぎだったので、1駅戻ったら、写真を撮るには丁度いい場所に下りることができた。
橋に近寄ってペスト側から取った写真がこれ。
この橋を渡った先のブダ側は左手に王宮の丘、丘にそびえる王宮が見え、もっと左手にはゲッレールト温泉を擁するゲッレールトの丘がある。
「ドナウのバラ」「ドナウの真珠」などと表現されるブダペストの美しさは、まさに今私が写真を撮っているこの位置からのブダペストの眺めを指すに違いない。
ガイドブックに書かれている表現を読み、橋を眺め、王宮を眺めて思った。はぁー、全然そう思えない。
ハンガリー舞曲、オスマントルコに占領され、ハプスブルグ家の配下になり、ウィーンのエリザベートの尽力もあって独立したという歴史など、文化、歴史を思えば、様々な時代の波の片鱗を感じ、ロマンチックな思いに浸ることもできるだろうが、昨日出会った宿の主人たちとのやり取りや、日本人宿に集う中欧好きのバックパッカー達などは、そうしたロマンスを吹き飛ばす勢いの現実的な出会いだった。
天気がよくて気持ちいいなぁ、宿が落ち着いてよかったなぁというのが正直な感想だった。
橋を渡ると、そこは王宮の丘のふもと。九十九折の坂道であがることもできるが、片道切符のケーブルカーであがることにした。
このケーブルカーを使っている人は自由旅行者ということになる。大抵はグループツアーで大型バスに乗って丘の上に乗りつけるのが普通だからだ。ケーブルカーを利用している自由旅行者は白人のお年寄りが多かった。
丘の上には王宮の他に、マーチャーシュ教会、漁夫の砦、土産物屋、レストランなどがあり、ここだけで一つの小さな町を形成している。
王宮は国立国会図書館と3つの博物館から成り立っていて、中も見学できるが、我々はどれにも入らず、教会も外からだけ見ることにして、ぶらぶらと丘の上を散策することにした。
ケーブルカーであがった左手に王宮があるが、王宮の敷地の左端まで行った所からのドナウ川の眺めがいい。
↑結局断りきれずに写真も撮ってもらっている私
たち。あはは。 |
ここは、川に向かって桟橋のように突き出した通路の先端なのだが、ここに立ってボーっとしているのは難しい。というのも次から次へと観光客が来て、写真を撮ってくれとか、撮ってあげようかと話しかけられてしまうからだ。狭い所なので仕方ない。ここでゆっくりとしていたかったが、他の人にこの場所を明け渡すことにした。
王宮を背にドナウ川を右手に歩いて行くとマーチャーシュ教会
壮麗なゴシック様式で屋根のモザイク模様がウィーンのシュテファン教会を思い出させる。
王宮の閑散とした様子と比べると、ここの前には各国の観光客がうじゃうじゃと待機している。日本人観光客の団体は少なくとも2組見た。王宮の丘のハイライトは、ここになっているようだ。
この斜め裏にあるのが漁夫の砦。
白いとんがり屋根がいくつかあって、ディズニーランドっぽくもある。砦にのぼって眼下の景色を見たら気持ちいいだろーなーと階段に近寄ると、お金を入れると周るバーが装着されていて、私たちは「見なかったことにしよう」とその場を離れた。
漁夫の砦のあたりからドナウ川に向かって適当に王宮の丘を降りる。
そろそろお昼ごはんだ。とりあえず開いたであろうヴァーツィーに行こうと思ったが、あんな目抜き通りじゃ、くだらない食事も高いに決まっている。むむむと地図を見直すと、ヴァーツィーの先に中央市場があるではないか。そうだ、市場に行こうとまた路面電車に乗り込んだ。共通券フル活用である。
だだっ広い体育館のような市場は2階建て。一回には生鮮食料品や食料土産物屋の店が並び、2階は軽食を出す食べ物屋が回廊式に並んでいる市場だった。
ハンガリー料理といえばパプリカ。パプリカを売っている店は当然多かった。もう一つの名物は実はフォアグラである。私たちも本当は日本人宿に宿泊してフォアグラのステーキを食べるのを密かに楽しみにしていた。今回宿が個室になってしまったので、その夢は断たれてしまったが、市場で鶏肉やには必ずフォアグラの塊を見かけ、残念な気持ちがこみ上げる。市場で見たフォアグラは7980Ft(=US$36.89、\4316)/kgだったので、一人150g食べたら\700くらい。フォアグラのステーキっていったら何千円もするでしょ、やはり安い。
ここの2階で昼食。作りおきの惣菜を選ぶとレンジで温めてくれる。おいしさはまずまずで値段は1品Ft600(=US$2.78)なのだから許せるだろう。
午後からは今回のブダペストで一番楽しみにしていた温泉だ。
地下鉄でセーチェニ温泉の目の前の駅で下車。地上に出てクルリと振り返ると丸いドームのような建物があり、それが温泉。
ここでは最初にFt2200を支払ってプリペイドカードのようなものを受け取る。プリペイドカードを使って改札を通った時から時間が計られる。2時間以内でこの出口を出てくればFt600が返金され、3時間以内だといくら、と使った時間に応じて返金されるシステムになっている。先に多く取られて後から返金というシステムが怖ろしかった。本当にちゃんと返ってくるのだろうか。
ウィーンの郊外にある温泉バーデンでは、何時間入るかは入る前に自分で決められる。2時間と決めたのに3時間入ったら超過料金を支払い、3時間と思って入ったのに2時間で出たら返金される。そう、これが先進国のシステム。双方に信頼関係があるという感じがする。ここでもまた、共産主義的なシステムを感じることになった。
システムは怖ろしいが、施設は近代的だった。中にいるお客さんも外国人、現地人取り混ぜて和気アイアイとしている。改札口を抜けると右手手前が女子更衣室、右手奥が男子更衣室だ。中にはロッカーを支配している若い白衣の女性がいる。
彼女にロッカーを使いたいと申し出るとロッカーまで案内してくれて鍵を渡してくれる。しかし、彼女の仕事はそれだけではない。ロッカーまで案内すると、各ロッカーに小さな黒板がついていて、そこのバッテン印を消してチョークで○と書き直すのだ。当然、終了した時も彼女は○印を×印に書き直すという作業を行っている。そんなことをしているもんだから、彼女はなかなか忙しくて、待っていても鍵をもらえないのだ。仕方ないから勝手に着替えて待っていたら、ようやく鍵を持ってきてくれた。
これもねぇ、普通ロッカーの鍵なんてさしっ放しだから、彼女の役割なんて、案内とか、変なことしないかの監視くらいで暇なはず。鍵を管理しようとするから妙に忙しいことになっているのだ。へーんなの。しかもだ。しかも、案内されたロッカーの扉の番号は59番、もらった鍵に書かれている番号は22番だった。トリッキーすぎる。暗号のようだ。何を警戒しているのだろうか。やっぱりわからないぞ、共産主義。
そんな疑問もありつつ、着替えをすませて夫と落ち合う。手前には屋内の温泉プールが2つ。その奥の屋外に大きなプールが2つある。本当はプールは3つあるのだが、中央の1つは工事中で水が干上がっていた。
屋内の温泉は、ローマ帝国時の公衆浴場をイメージして作られたというだけあって、豪奢な作りではないが、雰囲気がある。
お湯は黄色で臭いはないが、入っていると効果がありそうな感じがした。
10月に入っているので、外に出ると濡れた体が冷えて寒くなるが、プールの温度が思ったよりも熱く、プールに入ればそこは天国。
屋内の温泉と異なり、プールの水はすんでいる。温かくてひたすら気持ちいい。
手前のプールの端には、2箇所のチェスプレー場所があり、おやじたちが子供のように目を輝かせながら、人のプレーに見入っている。
隣のプールは、手前よりもやや温度が低い。こちらには、小さな流れるプールや、ブクブクと泡の吹き出すコーナーなどがあり、遠めからも楽しそうに見える。
私たちも子供に返った気分でグルグルと流れるプールを楽しんだ。気持ちは子供でも体は中年。ぐったりと疲れた。
温度の高い手前のプールに戻って、ゆっくりと時間を過ごす。ずっと入っていると、体がどんどん熱くなってくるので、こちらもやはり温泉効果があると思う。気持ちいいなぁ。
ごろつきっぽい白人兄ちゃんたちが、ナンパに失敗するのを眺めているうちに、のぼせそうになってきたので、あがることにした。
着替えて、出口を通過すると、自動販売機のような機械からガチャガチャとお金がちゃんと返金されてきた。偉い!ここに機械を使うのは偉い。これが人だったら、時間を過ぎているだの何だのと問題になるところだったろう。温泉の外には水とコーラを売る屋台が出ていた。くっ、何故ここでビールが飲めないのか。惜しい。ビール売ったらいい商売になるのになぁ。ハンガリーに来てからというもの、どうも文句が多くなる。
それにしても、青空の下でブダペストの町並みを散策し、最後に温泉で一日を終えたら、この街も捨てたモンじゃないという気持ちになってきた。
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