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2006.10.20
地下宮殿でメドゥーサに会う
トルコ:イスタンブール |
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天気が良ければイスタンブール観光のハイライトの一つ、トプカプ宮殿に行こうと思っていた。宿からぶらぶらと歩いてトプカプ宮殿に到着したものの、どうも曇りがち。
やめた。こんな日は天気が関係ない所に行こう。そう、地下にある貯水池なんてどうだろうか。
というわけでトプカプ宮殿から踵を返して、スルタンアフメット地区の地下宮殿まで徒歩15分。見所がスルタンアフメットに集中しているから、とても便利なのだ。
イスタンブールの旧市街にいくつかあるという地下貯水池の中でも、この地下宮殿と呼ばれる所は4世紀から6世紀に造られたといわれているそうだ。ビザンツからオスマントルコ朝時代にかけて、周辺地域の水源となっていたというわけ。入場料金がTRY10(=US$6.77)ということもあり、バックパッカー達には今一つ人気がない観光スポットなのだが、ガイドブックの妖艶な柱が並ぶ写真、横向きになったメドゥーサの首の彫刻を見て、私は俄然行きたくなった。
だって、メドゥーサといえば、見るものを石に変えてしまうという魔女ゴーゴンではないか。小学生の頃に「魔女ゴーゴン、お前はもう石になっているー!」とか言って遊んだ記憶しかないのだが、そのゴーゴンの彫刻をイスタンブールで見るってのは、面白いじゃないの。
地下宮殿の入り口には「イェレバタン・サルヌジュ」と書かれている。ガイドブック地球の歩き方によれば、「地に、沈んだ」という意味らしい。
ここで入場券を払うと、すぐに目の前に下に降りる階段が続いているので降りていく。
やがて、地下水に足元が沈んでいる柱がたくさん見えてくる。
この柱がまっすぐに並ぶ位置に立ってみると、おおおーっと美しい柱の宮殿が水上に浮かび上がってくるのだった。
この柱のある所から時計回りに進んで行くと、不思議な模様の緑色の柱が見えてくる。
柱の様子だけ見ていると、ギリシャというか西洋世界を感じるのだが、この柱に刻まれている模様は、曼荼羅のようなクネクネとした仏教界から来ている東洋的な感じを出している。
本当のことはわかっちゃいない私だが、東洋と西洋がぶつかりあうイスタンブールならではだなぁと一人感心しているのだった。
そして、最後のハイライトがメドゥーサの首。ここの解説によると「いつどこからこの首の彫刻が運ばれたのかは定かではないが、ローマ時代の建築物に使われていた物を持ってきたのだろうといわれている。何故、一つが逆さま、一つが横向きなのかという理由も不明だが、偶然ではなくこれには理由があるというのが科学者に一般的に受け入れられている解釈になっている」そうだ。
更に解説は続き、「メドゥーサについては2説ある。1つは魔女ゴーゴン3姉妹の一人であったメドゥーサは、他の2姉妹と違って不死ではなかったが、見たものを石に変える魔力を持っていたとされる。その昔、メドゥーサの彫刻や絵画は家の重要な場所に魔よけとして置かれていたというのが一説。
もう一つは、昔メドゥーサという少女がおりました。彼女はその黒い瞳と、長くて黒い髪と、ナイスなプロポーションを誇っておりました。その彼女がゼウスの息子であるペルセウスに恋をしました。ところが同じくペルセウスに恋をしていた女神アテネは、嫉妬のあまり、メドゥーサの美しい黒髪を蛇に変え、彼女を見た者は誰もが石になってしまうように魔法をかけました。蛇の髪を持ち、見る者を石にかえるメドゥーサを見たペルセウスは、彼女の首を切り取り、かつて己を愛した女性の首を敵に見せることで、多くの戦に勝利しました。そこから転じて、ビザンチン文化においては刀の柄にメドゥーサの首を様式化したデザインが用いられるということです。という説」なのだそうだ。
私が子供の頃に聞いていたのは2番目の方だろう。頭の毛が蛇になっている絵を見た。現場の彫刻はかなり大きいので迫力があり、子供の頃抱いた怖ろしきメドゥーサのイメージを損なわない大変満足の行く作品だった。
でも、なーんで横向きと逆さまなのかねぇ。これについては個人的に研究を深めているアメリカ人観光客のおばあちゃまが、こんな説があるのよ、あんな説があるのよというのをちょっと耳をそばだてて聞いていたのだが、現場サイドで「あ、監督さーん、彫刻の頭逆さまに入っちゃったンすけどー」「あー、あー、しょーがねーなー。でももう動かせねーだろ?で、もう一つはどーすんのよ」「横向きだと、丁度逆さのと尺があうんスけどー」「じゃ、横向きってことでやっときなー!」ってな会話でこうなっちゃったんじゃないのかと思うのは、私たち夫婦だけでもあるまい。
ハイライトは本当にこの3つだけ。私は大満足だったが、いかがだろうか?
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