夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.10.25
バイラム中乗り放題!のイスタンは大混雑

トルコ:イスタンブール
 バイラム明けの月、火、水(今回は10月23日、24日、25日)はイスタンブール市内の公共の交通機関は無料で乗り放題ってことになっているらしい。

 日本人宿に宿泊していていいのは、こういう情報がいち早く入ってくること。皆、この機会に、トラムと地下鉄を乗り継いでいかなきゃいけないバスターミナルまででかけてチケットを買って来たとか、バスターミナルの上にあるカルフールに行って来たとか、用もないけどとにかく乗って来たとか口々に嬉しそうに報告しあっていた。

 そんな乗り放題も今日で終わってしまう。私たちもどこかに行ってみなくっちゃ。

 イスタンブールは私たちのいる旧市街、それより北にある新市街、旧市街と新市街の東側に位置する小アジア地域と、ボスポラス海峡によって3つの大陸に区切られている。折角乗り放題なのだから、旧市街から船でアジア側に渡り、アジア側から船で新市街、そこから何らかの手段で宿までもどる3大陸訪問(大げさ!)をやってみようと計画した。

 最寄のトラムのホームはご覧の通り、そんなに混んでいる風でもなかった。トラムの中自体は通常に比べると人が多いなぁという感じだったが、それでも昼間の山手線くらい。



 ところが、トラムで海沿いのエミネミュという駅で降りると、辺りの風景は一変して、人、人、人。

 トラムを降りて船の乗り場に向かう地下道は、年末年始のアメ横かっちゅうくらいの混雑振り。

 更に、船着場では船から下りてきた人々がどどどどーっとこちらに押し寄せてきて、ここも人の波がスゴイ。

 バイラムの時期には都市で働く若者が故郷に戻ったり、家族で国内の有名観光地を旅行したりすると聞いていた。ここで船に乗っているのは、トルコの他の地域から遊山に来たトルコ人観光客なのではないだろうか。私たちと同じように乗り放題なので、とにかく色々行ってみよう!と思って乗っている人たちに違いなかった。

 それを確信したのは、アジア側に移動する船に乗ろうとした時。
(Uskudarウスキュダールと読むのだろうか?uは2つともウムラウトが付いている。ここ行きの船に乗った)

 まず乗船が可能になった途端にワーッと大勢の人が走って船に乗り込み始めたのだ。

 お目当ては2階の手すり脇の席。普通に歩いて入った私たちは、当然中央寄りの席になった。

 でもまぁ景色は見えるからいいや、と思っていたらこれが甘かった。

 後から後から入ってくる人々は、徐々に椅子と椅子の間の欄干にもびっしりと立ち始め、たちまちのうちに座っている者たちの視界に立ちふさがった。

 これねぇ、この行為、おのぼりさんとしか思えないでしょう。

 隣に座っている女子中学生の子たちは私の顔に興味津々らしい。こんなにあっさりした顔は見たことがないんだろーなー。

 で、パッと彼女達を見ると、サっと目をそらす。でも視線をはずすと、またジーっと見てくる。だから又パッと見る。サッとそらされる。面白いから何回も繰り返してしまった。

 欄干に張り付きの子供たちは、通り過ぎる風景の一つ一つに感動して指をさしては大声をあげている。カップルは携帯で自分達の姿を写そうと、必死にポーズをとっている。いいねぇ、正月の気分。

 乗船してから下船まで20分ちょいで、アジア側のUskudarに到着。ガイドブックによると、ここは旧市街と比べると地元の人向けの店が多く、庶民的な雰囲気が漂っているのだそうだ。

 ウスキュダルの港で下船してから、車の通る道を渡って少し右手から奥に入る道を進み、人に道を聞きながら市場を目指した。

 少し歩いただけで、旧市街の観光の目玉スポットとは雰囲気が違うことがわかる。

 まず、流暢な日本語で話しかけてくる怪しげな客引きが一人もいなかった。モスク周りの土産物屋も絨毯やトルコの名前の付いたグッズなどでなく、お菓子のセットなど地元っぽいお土産品が目に付く。洗練されていない、古臭い商店も多い。その分、道を聞こうと入った店では、とても親切に教えてくれたし、素朴な人の温かさが感じられる街だった。

 結局、お目当ての市場に到着したものの、大きな魚市場というわけではなく、果物や野菜の店もある普通に使いやすそうな市場だった。

 市場の奥は住宅地にもなっていて、公園には噴水があり、モスクがある。

 数日振りに晴れ間の戻った公園には、バイラムの祝日をのんびりと楽しむ地元に人々がいて、平和なイスラムの街を見ることができた。


 この公園を噴水を背にして出て、右手に進むと船着場に戻る。

 途中で右手から賑やかな声が響いてきたかと思ったら、先ほどの市場とは違って、魚屋ばかりが集まっているアーケードが2つ並んでいる所が見つかった。
 いわしが一番安くて1kgあたりTRY2(=US$1.35)、鯖はTRY3(=US$2.03)〜5.5(=US$3.72)、その他アジのような魚やもっと高いのも数種類あったが、どの店も全部で5種類くらいの魚を大量に販売している。

 鯖は首を折って、エラを出しているので首の部分が赤く見えている。東京の魚料理が得意な居酒屋で、「首折れ鯖」を売りにしている店があった。あの店で首折れ鯖の刺身は確か\1300じゃなかっただろうか?どこかの地方から空輸されてくる首折れ鯖は、一日に出される数が限定されていて、ご主人が「今日はもう終わっちゃったんですよねぇ」と言われると、隣の席の人までがっかりしてしまうほどの人気メニュー。首折れ鯖は特別な存在だった。1kg500円足らずの大量の首折れ鯖に、そんな東京の鯖の話を聞かせてやりたくなった。

 ところでこの魚屋街で、私は2回ほど「フィリピン人かい?」と言われた。色が浅黒い東洋人顔は、外国人慣れしていないトルコ人にはどこの国の人が認識が難しいらしい。フィリピン人かぁ。私の中でフィリピン人というと、もっと目のぱっちりした可愛らしい顔をイメージしているので、言われて悪い気はしない。これからフィリピン人だと言って通してみようかなぁ。

 午後3時、ウスキュダルを出て今度は新市街のベシクタシュBesiktas(sは下にニョロがついた文字)に船で移動しよう。

 ベシクタシュ行きの乗り場も人がいっぱいだった。

 先ほどと同じように、乗船開始で扉が開かれると、人々は一斉に駆け出すのだった。走って確保するほど素敵な景色でもないと思うんだけど、こういう時の心理は福袋を買うために開店前のデパートに並んでいる人とか、パチンコ店に開店前から並んでいる人の心理に似ているのかもしれない。とにかく、この状況になっちゃったら、できるだけ努力していい物を手に入れようよって、そんな感じ。

 必死に走って席を確保するほどの景色ではないが、晴れたボスポラス海峡は全くもって悪くない。

 ほんの10分ほどで対岸に到着してしまうのだが、それでも船というのは気分が変わるので楽しい。ましてや今日は、ム・リョ・ウ。私たちも含めて、みんな殊更嬉しい船旅なのだ。

 対岸のベシクタシュは、すぐ左手にドルマバフチェ宮殿がある。船から下りると宮殿を目指して左方向に歩き始めた。

 さすが新市街。海沿いにはカフェがパラソルを並べ売り逃しなしの構えだ。少しでも足を止めると「お茶でも飲んでいかれませんか?」と声がかかる。たった10分海を越えただけで、随分違うものだ。

 と、そんなカフェのある一角の路上で、トルコの民族楽器を使ったストリート・パフォーマーたちが演奏していた。

 その中の一人は、昨日のバイラムのお茶会にも来ていたトルコ人の女の子じゃないか。演奏が終わるのを待って「やぁ、やぁ」と挨拶した。街中で知り合った外国人と再会すると、その町に馴染んできた気がする。彼女との再会でも、そんな気分を味合わせてもらった。

 やがて左手には高くて長い塀がずーっと連なってきた。な、なんだこれは?刑務所か?と思うこの塀の中が宮殿なのだった。

 ドルマバフチェ宮殿は、トプカプ宮殿の後に建てられた新宮殿。こちらも観光しようとは思っていたが、今日はもう時間が遅いだろう。


 やがて壮麗な門が見えてくる。実はこちらは入り口ではなく、観光客の入り口はもっと先の方にある。

 トルマバフチェ宮殿だけを目指してくる場合、最寄のトラム駅から観光客用の入り口が近くにあるので、この門を外側から見ずに宮殿に入ってしまう。宮殿の中からもこの門を見ることはできるし、写真で見比べると表側も外側も同じデザインのように見える。


宮殿内から見た門
 違いは、外側から見る門は北側から眺めているので、陽の光で模様が透けて見えるということだろうか。

 透ける模様をつけている辺りや、門の上の方の装飾が東洋の雰囲気でありながら、柱の辺りがギリシャのようで、門は傾きかけた太陽を背に、面白さを浮かび上がらせていた。ドルマバフチェ宮殿を訪れた場合、宮殿を出て右手方向に歩いて行くと、この門を外側から見ることができる。衛兵もいるが人は少ないので、衛兵の写真をじっくり撮影できるという特典もある。

 宮殿に到着してチケット販売窓口で確認すると、今の時間入場すると入れる場所が限られてしまうようだ。で、後日また出直すことにして、宮殿右手のカフェで休憩。

 海辺のカフェなので、チャイの値段は通常のTRY0.5の倍以上する、TRY1.25(=US$0.84)。イスタンブールのお台場って所になるのだろうか。
 ちょっとした湾になっている所で左手に宮殿が見え、右手には、ん?何だあのバルーンみたいなのは?気になる。

 お茶を終えて歩いて行くと、ますますバルーンが近くに見えてきた。会場を設営している人に聞いてみると、今度の日曜日がトルコの共和国記念日なので、土曜日の夜8時からコンサートが行われる、その為の舞台装置なのだそうだ。ほぉほぉ、街を歩いていると色々な情報がキャッチできて面白いねぇ。次のイベントは28日の土曜日に決定だ。

 このイベント会場から程近くにトラムの駅がある。これに乗れば宿まで1本で帰れるので、最後の無料乗車を楽しもうとトラムに乗り込んだ。

 新市街からガラタ橋を渡って旧市街に入る。ガラタ橋が見えてきた時、夕日が金角湾に落ちる景色をトラムで通り過ぎてしまうのが急に惜しくなった。降りよう、ここで降りて少し歩こう。と大急ぎで下車した。さっき乗った駅は始発だったので座れた。しかし、ここで降りてしまうと、これから先のトラムは殺人的混み具合で、座れるどころか乗れるかどうかも知れない。そんな状況を横目で見ながらも、この夕刻は見逃せないなぁとトラムを降りる方を選んだのだった。

 橋は、上にトラムが走っていて、歩道では釣り人が糸を垂れる光景があり、その下にはレストランやカフェがずらりと並ぶ2階建て構造になっていた。橋の途中で上下をつなぐ階段や左右に渡れる廊下があるので、色々と違う視点で橋を渡っていけるのが面白い。

 1階のレストランやカフェのエリアは、観光客向けの洒落た感じの店が多く、歩いているだけで楽しい雰囲気だ。

 ただし、レストランはシーフードが多く、恐らくお値段は高いのではないだろうか。

 カフェはテーブル席の店もあるが、大きなクッションを置いたカフェなどもあり、水タバコをやりながらくつろぐ観光客の姿が絵になる。って、写真を撮ってみたら、中央の女性達がじっとこちらを見ていて、その視線が妙に虚ろだったことに今気づいた。も、もしかして、何か別のキモチよくなることしちゃってたんでしょうか?


 こうして橋をブラブラと楽しんで、対岸の旧市街に到着したのは午後5時半。相変わらず人の数が多いエミノニュ駅からトラムに乗ることになった。

 トルコ人はぎゅう詰め電車に慣れている人々ではない。

 奥の方にはまだまだ人が乗れそうなのに、もう乗れませんとばかりにトラムは出発してしまう。

 3台ほど見送ってやっと扉の目の前にたどりつくことができた。それでも乗り込むのに一苦労。降りる人が降りてから乗る、というルールができていないので、乗る人と降りる人が一斉に交錯する。当然怒号が起きる。

 乗り込んだ人は、今度降りる時に同じ恐怖を味わいたくないので、奥に詰めないで入り口付近に固まる。で、入ろうとする人に対して、「もう無理、無理」と大声を浴びせると共に入ろうとする人を外に押し出す。結局、トラムは奥が空いたまま出発する、ホームには余計に人が残される、こういう悪循環になっているのだ。とはいえ、無料乗車期間が終われば、トラムはいつもの通り普通の混み具合になる。3日間だけの大騒ぎなのである。

 無言でぎゅうぎゅうと電車の奥まで詰め込まれ、大勢いるのにシーンとした日本の通勤電車の不気味さよりは人間らしいと言えるかもしれない。

 それにしても、今日はよく乗った、乗った。乗り放題万歳の一日だった。

 次回のお楽しみは28日のコンサートだ。一体誰のコンサートなのか?どんな音楽なんだろうか。案外イベント続きのイスタンブールの日々なのだ。


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