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2006.10.28
トルコ共和国記念祭でトルコのスターを見た!
トルコ:イスタンブール |
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今夜は、いよいよトルコ共和国記念日の前夜祭コンサートの日。一体どんなコンサートなのか、誰が出るのか、どんな曲が聴けるのか。全く何もわからないまま、今日が来てしまった。
わかっているのは、ドルマバフチェ宮殿近くの駐車場特設会場で夜8時ということだけ。行く?もちろん行く、行く。だって無料のイベントだしね。
というわけで、私たち夫婦は宿の管理人さんのSちゃんを誘って夜のイスタンブールに繰り出すことにした。
本当にやっているのかしら?と、やや不安もありながら会場に到着したのは午後7時半。
例のバルーンが見えていた駐車場にはバラバラと人が集まり始めていて、海の向こうからサーチライトが夜空を照らしていた。
昼間白かったバルーンには、様々な映像が映し出されていて、今年がどうやら共和国になって83周年記念であることがわかった。
まだ空いている状態だったので、どんどんとステージに向かって前の方に行くと、前から5列目くらいに行き着くことができた。一番前には柵があり、その数メートル前は海。海の向こうにステージがある。
午後8時、キャーっという歓声とともにステージに明かりが点り、一人の男性にスポットライトが当てられた。
え?あんなオッサンがスターなのか?と思ったら、MCの登場だった。
「今日はみんな集まってくれてどーもありがとう!」イエーイ!(観衆)
「共和国記念を皆で祝おうじゃないか!」イエーイ!(観衆)
「この中でカラキョイから来た人は?」イエーイ!(観衆一部)
などとプロらしく観衆を熱く乗せていく。いいねぇ、いいねぇ。盛り上がってきたねぇ。それから、前の方にいる人たちにトルコ国旗が配られ、軍隊風の曲がかかり、会場は大合唱に包まれた。なんじゃ?この曲は。軍歌調の曲なので、今日のスターのヒット曲じゃない。共和国記念の曲なのかもしれない。それにしてもトルコ人の盛り上がりはスゴイ。旗を振って、全員フルコーラスで大声で歌って、既にコンサートが始まっているかのような盛り上がりだった。
これがひとしきり終わったものの、スターはあらわれない。ステージではノリノリの曲がかかっているものの、先ほどの興奮はどこへやら、観衆は再び冷めていった。で10分くらいすると、またMCのオッサンがさっきとまるで同じことを繰り返す。驚いたことに2回目も皆は軍歌を熱唱。・・・が、スターは現れない。
で、3回目。まさかとは思ったが再び同じことが繰り返された時、さすがのトルコ人も今度は盛り上がりにかける反応になった。あらあら?スターは本当に来るのか?とかなり疑問がわいてきた午後9時。今度は本当にスターの登場だった。
周囲のカップルで英語がわかるトルコ人に聞いた所、今日のスターはケナン・ドゥーラという男性歌手でかなり人気者らしい。彼は7人ぐらいの女子ダンサーをバックに紫の照明で踊りながら歌い始めた。
周囲には彼の大ファンの女の子の集団が右手に、斜め後ろにはこれまた大ファンの男の子の集団がいて、もう最初から全部歌いっぱなし。おおお、これは大人気だ。
しかし、それにしても曲調が・・・。ふ、古い。古臭いのだ。日本の70年代の歌謡曲風でもある。何だか懐かしいような、ちょっともう恥ずかしいような。そうかぁ、トルコの現代音楽は今こういう曲調で推移してるんだぁ。この物凄いノリが2006年トルコなんだってのが、妙におかしくって私たちは大笑いしながらその場を楽しんでた。
で、途中から前に立っている男性に対して、その右にいる金髪のトルコ人女性がキビシーイ視線で凝視する場面が何回が目撃されていた。ん、これは痴漢だ、痴漢にあっているな。で、コンサート最中、とうとう金髪が男に向かって怒鳴り始めた。「あんたねぇ、触ってんじゃないわよー!」って感じで。彼女はどうやら親戚一同で来ていたようで、周囲にいたいとこやらおばさんやら姪っ子などに、ギャーギャーと訴え、結果、年配のおばちゃんが金髪と場所を入れ替わることで問題を解決したようだった。
驚いたのは注意された男だ。何を言われても「エヘラー、エヘラー」と気色悪い笑顔でかわし、何も心に堪えていないどころか、その場を離れることなく、平然とコンサートでイエーイ!と盛り上がっているのだった。何という図太い神経だ。「スゴイねぇ、ショーコちゃん」と連れのショーコちゃんを振り返ってみると、「実はですねぇ、私もさっきから後ろのオッサンにやられっぱなしなんですが・・・」というではないか。
なにー?ちょっと、ちょっと。場所を何気に移動しよう。と混雑の中男から離れて動いてみた。
で、再びコンサート盛り上がりー!とショーコちゃんが後ろで何か怒っている。で、さっき避けたオッサンがショーコちゃんに左手をつかまれて、右手にはもらった国旗を手にして何かをぶつぶつ言っている。
どーした?どーした?と私と夫で聞いてみると、避けたつもりのオッサンは再びショーコちゃんの後ろに立ち、股間を押し付けてきたばかりか、あろうことか、あのショーコちゃんの豊かな胸を後ろからグワァシっとつかんだのそうだ。
これにはさすがのショーコちゃんもブチきれ、男の右手をつかんで「あんた、この手で今変なことしたでしょう!」とトルコ語で叫んだのだそうだ。ところが、その男ときたら、右手をつかまれているという明白な証拠がありながら、「いや国旗があたったんだよ、国旗が」と左手の国旗を振って周囲に言い訳をしている。このぉぉぉーーーー、右手なんだよ、右手!っていうか、あまりの非道ぶりに、夫も立ち上がり、シベリアンハスキー視線を発揮。視線でオラオラーっと男を数メートル向こうに追いやった。目の前の痴漢、そして知り合いも痴漢。トルコのイベントは痴漢との戦いもあるのねー。
後でこの話を宿で興奮交じりに話していたら、「で、岡田さんは大丈夫だったんですか?」とつっこまれ、あれ?そういえば、アタシったら誰にも触られていないわ、ってことに気づいた。いやー、痴漢もちゃんと選んでるってことなのねー、あはは。
やがて花火があがってインターバルとなった。
トルコの花火はなかなか華やかで、色も形も様々だった。
中でもピンク色でハート型になるしかけ花火が可愛らしい。もしかして日本製だったりして?
さて、インターバル明けの一曲目は、今までの古臭い曲調とは全く異なり、ダンサブルで新しい感覚の曲が披露された。お、これはいけている。歌も上手い。
芸の幅の広い実力のある人なんだなぁ。
しかーし。今までとてもノリノリだった観衆は、この曲にはやや冷ややかだった。で、後半の2曲目から、また、ちょっと古臭い曲調に戻ると、観衆はにわかに熱くなりだしたのだった。
歌謡っていうのは商品だからねぇ。世界の流れがどうなっていようと、売れる自分の国のマーケットに合わせて歌わなきゃならないっていう辛さがあるねぇ。実力のある人気歌手に何故か少し同情の気分が沸いてきたところで、そろそろ帰ろうかっていう気分になってきた。
軍歌も聴いた、アタチュルクの古い映像も見た、観衆の盛り上がりも、人気スターも、花火も見た。おまけに痴漢事件まで起こった。
83年目のトルコ共和国記念に、私たちもすっかり参加させていただいた夜だった。
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