夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.11.04
ターキッシュナイトショーのヤシャ・ババYasar Baba

トルコ:ギョレメ
 昨日の午後から天気が悪くなってきた。今日は朝から曇り。

 2日に夜行バスでギョレメに到着してすぐに1日ツアーに参加、昨日は朝天気が良かったので、そのまま1日中ギョレメ周辺をトレッキングして回った。今朝、窓から天気が悪いのを見て、正直ホッとした二人だった。今日はお休みー!天気が悪い日は、日記を書いたりして体を休めよう。

 とはいえ、何もしないとつまらないので夜のショーに行ってみることにした。

 トルコにはスフィズムというイスラム神秘主義の一派があり、このスフィズムの宗教儀式で踊られる旋舞と呼ばれるセマを一度見てみたいと思っていた。

 ギョレメはスフィズムの発祥地であるコンヤという街に近い。イスタンブールで見るよりもギョレメで見た方が、より質が高く安いと聞き、セマ見物をイスタンブールからここまで持ち越してきた。またトルコ発祥のベリーダンスもそういえば見ていないなぁ。

 ということで、セマとベリーダンスが見られるショーがあったら行ってみたいと思っていたのだった。宿の主人のアレックスにセマとベリーダンスを一緒に見られるショーのアレンジをお願いすることにした。アレックスはよっしゃとはりきって、友人に電話をし始めた。ところが彼のリサーチによると、セマはセマのショー、ベリーダンスはベリーダンスのショーしかない、ということだった。セマのショーは本物のスフィズムの方たちがこの宗教に対する理解を深めてもらうために行っているショーで、45分でEUR20だということだった。一方のベリーダンスは食べ放題飲み放題でTRY50(=US$33.78)。そうかぁ、食事は宿で自炊できるから、いらないんだけどなぁとアレックスに言うと、いや食事付きだけだと言った。

 彼のオファーで気に入ったものがないので、街に出て探すことになった。いくつか旅行代理店をあたった中で、初日にツアーを頼んだアンドロメダ・ツアーで、セマ・トルコの民族舞踊と音楽・ベリーダンスが一緒に見られるターキッシュナイトというショーがあると聞いた。飲み放題だけならTRY40(=US$27.02)、食べ放題と飲み放題ならTRY50(=US$33.78)。

 飲み放題のに行きたいんだけど、どうしようかなぁと悩んでいたら、それならお客様だけ特別に、飲み放題のショーTRY35(=US$23.65)でどうでしょうかと言ってくる。それならいいやと、この旅行代理店に決めようとした。すると、今はオフシーズンなので団体客の要請があればショーを行うし、なければ行わないという状況。午後4時には今日ショーがあるかどうかわかるので、午後4時に出直してきてくれという。

 午後4時に出直すと、予定していたレストランは今夜ショーがない。しかし、別のレストランならショーが行われる。しかし、そのレストランは送迎を出していないので、ショー代金TRY35に送迎二人でTYR10必要だという話になった。つまり送迎付きで飲み放題のショーが一人TRY40という価格になったということだ。

 トルコに入ってから、すっくりと納得のいかない話は多い。今回のショーの件も、私たちが話を決めようとすると途中から別の人が入ってきて、別のレストランにして送迎代金が上乗せされてきたりする。本当にそうなのかもしれないが、途中で介入してきた奴が自分の送迎代金を稼ぎたいが故に、別のレストランにしてしまった可能性もある。なにか曖昧で、そして微妙に金額が上がる。行くのをやめる程金額が上がるわけではないという所が、しゃくだ。ヤラレテイル感というか、負けてしまったような気持ちにさせられるのは、そのせいだ。

 まぁ、そんなことをグチグチと思いながらも、一応今夜のショーに行くことにした。宿に戻ると、アレックスがショーの件はどうなったかと聞いてきた。あ、忘れてた。アレックスに行くかどうかの返事を保留したままだった。アンドロメダツアーでこれこれこういうツアーがあったので、そちらに行くことにしたと言うと、アレックスは明らかにムッとした表情で、なぜ自分からツアーを買わないのかと文句を言い始めた。

 だーかーらー。君はセマとベリーダンスのショーがミックスになったのはないと言ったでしょ?君は食事なしのショーはないと言ったでしょ?一つ一つ解明していくと、ムッとした顔のままだが納得してくれた。今の彼の怒りは「なぜ自分はミックスの食事なしのショーを探せなかったのか」という自分に対する怒りなのか、うまく客を取った旅行代理店に対する怒りなのかはわからないが、明らかに不満の矛先は私たちからそれたようだった。よかった、よかった。

 昼間の間に色々な作業を済ませようと思っていたのに、ショーのチケット手配で意外に手間取って作業は進まなかった。こんな事はよくある。

 夜8時に旅行代理店を訪れ、ショーの行われるレストランに連れて行ってもらった。場所はウチヒサルの裏側にあるヤシャババYasar Babaというショーレストランだった。



 レストランの入り口を入るとなだらかなスロープで地下へ下りていく。カッパドキアらしく、ここは地下にある洞窟レストランなのだった。




 レストランに入ると、いきなり左右に長いダンスフロアーになっていて、フロアーの左右とフロアーの奥が客席になっている。

 天井からは各国の旗と中央にミラーボールが下がり、最近見た風景の中では一番華やいだ場所に思えた。最近、こういうショー関係に行っていなかったもんで。

 所々の席には、既に団体客が入っていて、食事が始まっていた。楕円形の銀皿6種類くらいにオードブルが盛られて、パンにはさんで食べたりしている。私たちの席は飲み物だけなのだが、それでも各種のナッツやフルーツ盛り合わせの皿が置いてあり、豪華、豪華。

 出し物の一発目が宗教儀式のセマだそうで、それが終わるまではアルコールはご遠慮くださいと言われた。ああ、だから皆ソフトドリンクを飲んでいるのか。イスラム圏だからアルコールがないのかと思っていた。

 午後8時40分、演奏者がフロアーに現れ演奏が始まった。やがてセマのダンサー3人が登場して、クルクル、クルクルと周り始めた。セマはイスタンブールでも偶然に見たことがあるのだが、こうしてショーで見るのも同じで、とにかくずーーーーーっと周っている。だけ。

 儀式なので、写真も撮ってはいけないと言われていたが、やがてブルーの照明が通常の明るい照明に変わり、司会者が「フォト、ターイム!」と叫んで数分の撮影タイムが与えられた。



 本物のスフィズムの方たちが行っている音楽会は、スフィズムの理解を深めるために写真撮影も許可していると聞いた。それが、このバリバリにショー丸出しで行われるセマでは、宗教儀式だから写真を撮るなという。写真を撮るなということで、宗教儀式という意味合いを醸し出すショーの演出の一部としか思えない。うそ臭いなぁ。

 ま、とにかくセマを見ることができた。次からは、トルコの様々な地方の民族舞踊や伝統衣装を身にまとった花嫁と花婿が登場する模擬結婚式ショーと楽しいショーが続いた。もちろん、セマが終了した瞬間から、フロアーには複数のボーイが忙しく立ち回り、ビール、ウィスキー、ラク(トルコ名産の蒸留酒)、赤ワイン、白ワイン、ジュースを配り始めた。

 もう、それは物凄い勢いでやってきて、我々のテーブルにも、たちまちビールグラスと赤ワインと白ワインのカラフェが並び、「王侯貴族の宴会かい?」ってくらい。隣のステージよりの団体は明らかにモスリムだと思われたが、中には酒をあおる人もいて、こうしたモスリムの実態が見られるのも私たちには面白く思われた。

 私たちはそんなに酒のみってわけでもないので、30分もアルコールだけを飲み続けたら、もう満足。

 そこで私が荷物番として席に残り、夫が写真撮影のため、もっとステージ近くの席に移動した。それは食事ができる席の間に設けられたテーブルのない席で、ステージは目の前。

 じゃぁ、私も。ということで、もう酒とおつまみは放って私もそちらに荷物を持って移動した。

 模擬結婚式のショーは、花嫁にプロポーズする役割を一般からも参加を募り、その中から一人(もともと花婿の衣装で登場している男性)が選ばれて、皆で祝いのダンスを踊る、という一般参加型のショーだった。ところが、若い男性ばかりで参加しているトルコ人集団がいて、我も我もとプロポーズするのが会場側の予想外の展開。さらに本物の花婿が選ばれても、一般トルコ人が「いや、俺を選ぶべきだぁーーー」と悪ふざけ。もっともこうしたイタズラ観光客に会場側も慣れている様子で、軽くいなしてダンスに持ち込んでいた。

 トルコ人のノリノリぶりはラテン系。今まで旅行して見てきた中では、中南米やスペイン人のノリに近い。遊ぶときは徹底して羽目をはずす。そんな国民性がうかがわれた。それをやや冷ややかな目で見ているのは、うちの夫と、隣の席にいるドイツ人の年配の集団。はしゃぎまくるトルコ人と冷静なグループの対比を見ているのも結構面白かった。

 花嫁と花婿を囲んでのダンスに客席の人も参加して、みんなで輪になりグルグルとまわりながら、あれあれ?皆会場を出て行ってしまった。

 追跡した夫の報告によると、レストランの外にキャンプファイヤーみたいな大きな焚き火が作られ、その周りでひとしきり踊ってから会場に戻ってきたようだ。私は荷物番していたので、見ていないが、戻ってきた人たちの上気した顔を見て、かなり踊りまくってきたのだろうなぁと思われた。

 この後は出し物はなく、いきなりミラーボールが周ってディスコタイム。こういうショーの途中で、観客が勝手に踊るディスコタイムがはさまるショーなんて始めて。変わった構成だなぁ。

 20分ほどのディスコタイムの後、、再び民族舞踊のショー。今度は男性2人が小さな盾と剣を持って戦うという、民族舞踊というよりは殺陣のショー。

 これはなかなか気合が入っていて、素晴らしかった。照明をわざと暗くして剣と剣がぶつかり合う時に出る火花が見えるのも、ショーを盛り上げてうれた。やるときゃ、やるね、トルコ。

 次のトルコの弦楽器一本と打楽器4種類による演奏もレベルは高かった。

 弦楽器が入っているものの、ほとんどドラムセッションといってもいいくらい、メロディーよりもリズムが主体で、リズムだけでここまで楽しめるのは、やはり演奏者の腕によるものだと思う。

 この民族舞踊は、女性の衣装が大変面白いのが一つ。

 上に来ているベストが黒地に花柄の田舎風で、南米のエクアドルの行商のおばちゃんが履いているような派手な毛糸の靴下。

 この2つのアイテムの田舎風テイストに対して、腰に巻いているのはきらきらしたアラビアンナイトという感じの布。

 不思議な組合せだった。

 もう一つの面白ポイントは、この後、女性だけと男性だけになったラインダンスを行うのだが、どちらも物凄く早く下半身だけを動かすダンス。こんなに早く動く足は、あまり見たことがない。

 アイルランドのダンスみたいな雰囲気でもある。

 こうして午後10時半ちかくになった時、会場が暗くなり、若いトルコ人男性グループが異様な盛り上がりを見せ始めた。ということは、いよいよベリーダンスが始まるらしい。

 すると突然、私たちが座っている目の前のステージ上の天井がぱっくり割れて、そこからネオンに包まれた円柱形の入れ物がするすると下りてきた。

 中には女性がいるのが透けて見える。

おおお、何とエッチな感じの登場の仕方だ。会場は「うっぉー、ふぉぉーー」とわけのわからない興奮の坩堝と化していた。

 ベリーダンサー姉さんは、器用に腰と胸をを振りながら会場をぐるーっと練り歩いた。

 ほほー、これがベリーダンスなのか。

 そういえば昔、新宿にあるトルコ料理店でベリーダンスを見たことがあったが、あの時のダンサー姉さんは、もっと恰幅がよろしくて、お腹もブルブル、ブルブルとしていた。

 麻布で年一回行われるお祭りに行った時、広場で各国の料理店ブースが出ているのだが、そこでもベリーダンサーを見たことがある。そこも、結構年配の女性がダンサーで、ベリーダンスというのはセクシーとは無縁の、もっと何か神秘の崇高な、よくわからないが、とにかく男性がキャーキャー喜んじゃいけない物を秘めているダンスなのだと、勝手に想像してしまっていた。

 ここで見る妖艶なベリーダンスのノリは、もっと欲望に直結したものだった。それ故か、ベリーダンサーの側にはがっちりとセキュリティーがいて、決して彼女に触れることはできないようになっていた。

 そーだよねー。あんな格好で、あんなダンスするんだから、ベリーダンスってのは、そもそも男性の欲望をかきたてるダンスだったに違いない。トルコで見るベリーダンスは、とてもわかりやすいエンターテーメントだった。東京で見るエンターテーメントは難しい理屈をつけて、本当はどういうものだったかを押し隠してしまう時がある。

 ベリーダンスはあまりバリエーションがないのか、腰と胸を振りながら歩いてしまうと、あとはにわかベリーダンス教室となった。さきほど観光客のダンスを冷ややかに見ていた夫だが、ベリーダンス教室に誘われると、「こういう時は行かないとねぇ」などとつぶやきながら嬉しそうに出て行った。うん、うん、うちの夫も大分開けてきたようだ。

 各国の選りすぐり男性たちは、腰にキラキラとコインの光った飾り付き布をまとわされて、ベリーダンス教室の開始。

 はいー、最初に腰を横に振ってー。

 はいー、今度はひざまずいて腰を振ってー。

 はいー、最後はあおむけになって腰を振ってー。

 つまり、いかなる体勢でも腰を振ることができる、それがベリーダンスということらしかった。

 こうして最後にベリーダンスを見て、もう一つの民族舞踊でショーは終了。その後は、大音響のアラビック音楽とともにミラーボールが周り始め、観光客たちは踊り始めた。

 ターキッシュナイトはまだまだ続きそう。

 もう帰りたいなぁと思っていたら、ここまで送ってくれたドライバーが「さぁ、帰りましょう」と迎えに来てくれた。彼も私たちがもっと踊りたいなどと言い出さないことを願っているに違いない。ということで、車に乗ってギョレメまで帰った。

 ギョレメ村を8時に出て、戻ってきたのが11時半。他の国でも色々なショーを見てみたが、トルコの物価から考えるとこのショーのお値段は高くもなく、安くもなくといった所。食事の内容を見ていたが、ショーにありがちなチープな料理というわけでもなく、ちゃんとしていた。どこかでトルコ料理をちゃんと食べておこうと思うなら、ここで食事付きにするのは悪くないと思う。


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