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2006.11.11
アレッポ一日散策
シリア:アレッポ |
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アレッポは首都ダマスカスに続く第二の都市だそうだ。確かに多くの商店が並んで賑わってはいるものの、いわゆるヨーロッパの先進国のレベルとは全く異なり、昔ながらの商店が多い。
今日はこの町を一日散策してアレッポという町を十分に楽しんだ。
アレッポの見所は町全体が見渡せる丘の上に立つヒッタイト人の神殿跡のアレッポ城、その足元にあるスーク(屋根でおおわれた迷路のようなマーケット)、ヨーロッパの隊商が宿泊したというキャラバンサライ、19世紀末にトルコ人の大虐殺から逃れてきたアルメニア人達が多く住むというキリスト教地区。
こうしてガイドブックを読んでみると、砂岩一色、アラブ一色に見えるこの町も様々な歴史の波に晒されてきた痕跡があるのだということがわかる。見所の数や広さから見て、一日で歩いて周れそうだったので、午前中はアレッポ城とスーク、午後からアルメニア人地区を歩くことにした。
アレッポ城に行く途中に、早くもヨーロッパの隊商の宿だったキャラバンサライが見つかった。
キャラバンサライはトルコのカッパドキアでも1つ訪れたが、まず門が立派。
この門をくぐると回廊式の建物が周りを取り囲み、真ん中にモスクがあるのが一般的な形態らしい。
ここのキャラバンサライは今は別の用途に使われているらしく、回廊式の2階の1室から会議でもしているのか、賑やかな話し声が聞こえていた。
このキャラバンサライはガイドブックとしても特に見所としての説明はなく、現在も普通の建物のように扱われている。
結構立派な門もあるのに、文化財としてどうにかしようという気がないというシリアの態度というか、アレッポの態度がこの街全体を象徴しているともいえる。やるきなーい、肩に力の入っていない街だ。
かと思うと、なんでもない家の窓の外扉の飾りが素敵なアラビック模様だったりする。
あまり観光に力を入れず、普通に人が暮らしている街という感じがした。
このキャラバンサライの左手の道を先に進むと、右斜め前方にアレッポ城が見えてきた。アレッポ城の目の前の道路を右折すると左手に大きな階段が見え、そこから城に入るらしかった。
城の入場料金はSP150(約US$3)。安い!
が現地の人は何とSP15と激安。
シリアの男の人がよく頭に巻いている白と黒の布を頭に巻いたアラブ人風の男が、何も支払わずに入り口を通ろうとしたら、係員に止められてSP150を支払わされていた。アラブ系の外国人のようだった。だめだめ、顔が同じだからって、無料では入れないのよーん。
階段を上がると少し屋内の部分があったが、すぐに外に出てしまって、そこはもう丘の上の世界だった。
石畳の階段の両脇には建物が並び、丘の上自体が一つの町を形成しているかのように見える。
修復中で中に入れない建物がほとんどだし、所々まっさらに修復してある所もある。
この坂を上りきってしまうと、あとはもう建物とは言えない、城跡が続いていた。
この辺りに来ると、丘の頂上になる。こうして見てみると、とても広い面積の頂上の丘であることがわかった。
丘の周囲には散策路が巡らされていて、丘の上から360度アレッポの町の風景を楽しむことができるようになっていた。
中には全く柵など設けられていない所もあり、ここもかなり自己責任の世界だった。
柵のない石の上に座り、脚をブラブラさせていた白人青年に近づくと、青年はサッとこちらを振り返った。「後ろから押したりしないから大丈夫だってばー」というと「是非、そう願うね」と言われた。奔放に旅をしているような白人バックパッカーこそ、危険に対するアンテナは常に伸ばしているんだなぁと妙な所で感心した。
アレッポ城の上からの眺めは、ある意味見事だった。色がないのだ。
色とりどりの看板やネオンが発展の象徴だった時代を経て、今は都市計画の時代。
結局何もせずに無色を保ってきたこの街が、今は都市計画された統一感のある街に見えるのが皮肉だ。
丘の半分くらいは工事現場のように修復作業が進められているようで、所々には修復されたローマ劇場や監視塔のような建物が復元されていた。
でも、あまりに整備されているとつまらないなぁ。前半のちょっと投げやりなくらいの遺跡がアレッポの街には似合っていた。
アレッポ城の丘の上は意外にも広く、入り口でチケットを買って中を見て散策していたら、出る頃には1時間半もたっていた。そうそう、ここの見所の一つは、つつましくデートするシリア人カップルが見られることもある。へー、デートするんだぁというのも新しい発見だった。
城から出てやや右手に歩いて行くと、左手にスークへの入り口がある。特に印はないのだが、ずーっと先まで店が並ぶトンネルのようになっているのですぐにわかる。
初めのうちは服飾関連が多かった。既製服のみならず、反物も多く売られていて、自分の服を作る女性も多いんだなぁ。真剣に品定めしている黒尽くめの女性をたくさんみかけた。
しばらく歩くと、土産物系の店や貴金属の店が並び、続いてスパイスや食品の店という風に、庶民の生活に密着した素材の商店に変わっていった。
スークとは、つまりワンフロアーの百貨店のようなものだ。今までアレッポの街中で女性を見かけることは非常に少なかったが、スークに入ったら女性がいっぱい。昨日までは、中東の女性は外に出ることを禁じられているのかと思い込んでいたが、そうでもないらしい。
食材のエリアではオリーブや乾物が美しく並べられていたり、内臓も生々しい羊が吊り下げられた肉やが何軒もあった。(後にシリアでオリーブを買ってみたが、苦くておいしくない)
スークの外もまだマーケットの余韻は続いており、羊の頭をバーナーで焼いている男の横で、産業用ミシンで靴を縫っている男がいる。
戦後直後の日本を実際に見たわけではないが、頭の中の戦後の日本の映像とタブって見えた。
ここまでで午前中の散策は終了。既に行きつけともなりつつある安食堂で昼食を摂り、午後の散策を続けることにした。
アルメニア人地区、つまりキリスト教徒の地区なのであるが、昨日の金曜日に来てみたら、他のイスラム教徒の地区と同じように店が閉まって閑散としていた。
今日は通常営業。休み明けだったこともあってか、とても賑わいのあるショッピングゾーンになっていた。この辺りのお店は、午前中に見たスークの中に入っている既製服店やイスラム教徒の地区にある服飾店に置いてある服よりは、私たちの世界に近い洋服がたくさん売られていた。
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アルメニア人地区で時々見か
けたのが、この出窓。レンガ
造りの家の壁から突然木造の
出窓が突き出しているのは
変わっていた。
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お客さんはアルメニア人かと思いきや、黒尽くめの女性が大半。なーんだ、結局この人たちも、黒いコートの下では私たちと同じような服を着たいと思っているのね、こっちの方が洒落ていると思っているのね!
路上では「今だけ○○円均一!」みたいなことを叫んでいる男性の側で、イスラムの女性が洋服をひっくり返している。言葉や宗教や風習は違うんだけど、バーゲンに群がるっていう性質は世界共通なんだなぁ。
そうそう、女性のランジェリーを扱う店もかなり多く見かけた。これがまた、なかなかセクシー路線の物が多い。えええ、こんなパンツはいていらっしゃるのー?こんなネグリジェで夜登場しちゃうのー?っていうのが飾られているショーウィンドウを、真剣なまなざしで見つめている黒い衣装の女性達。
彼女達にとっては、このセクシーランジェリーは「おお、笑える!」という類ではなく、「買ってみようかしら?」という選択肢の範疇らしい。何ということだ!私は彼女達を見つめながら、アラブの家庭ってのは、どんなセクシーなアラビアンナイトを送っていらっしゃるのだろうと想像をたくましくしてしまうのだった。
いやいや、意外に面白かったアレッポ散策。
さて、ここからは実は昨日の話になるのだが・・・。
この街の名土産物にオリーブ石鹸というのがある。石鹸なら消耗品だし、普段お土産物は買わない私たちも、オリーブ石鹸は買ってみることにした。
オリーブ石鹸はコーヒー豆を売っている店で一緒に取り扱っていることが多い。宿の近くで、日本人のお客さんがたくさんいるという店があったので、私たちもそこで買った。
1kgでSP180〜420(=US$3.3〜7.71)まである。違いはオリーブの含有量だそうで、なるほど一番高級品を割ってみてもらったら、中はまっグリーンで香りも高かった。せっかくだから1kgでSP300の石鹸を1つ買ったらSP80(=US$1.47)。折角だからと入れた気合が崩れるほど安い。1kg買って日本に送るんだという旅行者にも出会った。これはなかなかいいお土産になりそうだ。ちょっとおとなしめの感じのいいお兄ちゃんと記念撮影。
トルコではコーヒー探しに苦労していた夫は、シリアに入って簡単にコーヒー豆が見つかるので嬉しくてしょうがない。
ここがかつてフランスによる統治下にあったことがその理由なのだろうか。コーヒーは豆で買って、その場で挽いてもらえるという本格ぶり。オリーブ石鹸と共にコーヒー豆も頂くことにした。
豆は1kgでSP160〜400(=US$2.94〜7.34)だが、中くらいのミックス500gでSP110(=US$2.02)にして購入。
シリアのコーヒーの入れ方は、ベトナムコーヒーに似ていて、パウダーくらいに細かく挽いた粉を小さな手付きの鍋で煮出して、粉を沈めて呑むらしい。
店のコーヒーミルの設定のままでは、紙フィルターのドリップ方式で飲むには細かすぎる。メモリをもっと荒いものにして何度か試験で挽いてもらってから、本番に挽いてもらうことにした。
因みに、シリア人は通常カルダモン入りのコーヒーを飲むようだ。カルダモンも一緒にミルで挽いているために、カルダモンなしにしてもらった私たちのコーヒーも、ほのかにカルダモンの香りがする。たまーーーーに嗅ぐと、カルダモンは異国のスパイスの香りで好きだが、コーヒー飲むたびにカルダモン臭ってのは、だんだん鼻についてくる。
しかし、私のパクチー経験によれば、これも最初のうちだけで、何度かこれを繰り返すと、やがて恋しいくらいに好きになる・・・・はず。とにかく今はまだちょっと辛い、カルダモンコーヒー。
この後に訪れるハマという街の宿で、夫がこのコーヒーを入れていると、宿で働いている従業員が感動して夫を見つめていたそうだ。感動のポイントは、プラスチックのロートに紙のフィルターを使うというコーヒーの入れ方。「いいなぁ、それがあれば自分でおいしいコーヒーが飲めるんだぁ。それいいなぁ」とうらやましがられること数回。シリアでこのプラスチックのロートを販売したら、儲かるんじゃないかなぁ。誰かやりませんか?
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