夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.11.14-16
日本人個人旅行者はなぜハマに向かうのか?

シリア:ハマ
 シリア国内で三番目に大きな町、ホムスから車で1時間半くらい北上した所にある小さな町がハマ。

 シリアを観光するルートではトルコから下るにせよ、ヨルダンから北上してくるにせよ、通るルートは一本道。この一本道の中でどこに宿泊するのかということになると、日本人個人旅行者はホムスではなくハマを選ぶ。

 情報ノートによると、なにせハマにあるリヤドホテルがいい、物価が安くて市場もあるし生活しやすい。のんびりとした水車の風景に心が洗われる。などなど、ハマを推奨する情報が各地の情報ノートに掲載されている。そんなにいいのか、ハマ?

 周辺の見所や今後のルートを考えると、クラッシュ・ド・シュバリエ(「天空の城ラピュタ」のモデルと言われている丘の上の城)にせよ、パルミラ遺跡にせよ、ホムスから出発することになるので、ホムスの方が便利なのではないかと思われる。そこを敢えてハマというのだから、いいに違いない。そんな流れでハマに到着した。

 ギョレメからの強行軍で体力を失い、アレッポで中東の食べ物に胃腸がビックリして下痢続き。ハマに到着した時には「もう、だめです。寝かせてください」という状態になっていた私は、13日は1日中寝ていた。

 あけて14日からハマをぼちぼちと歩き始めた。12日のうちにとりあえず情報収集しようと町の観光案内所には行っておいた。

 観光案内所の中はガラーンとして、掃除の若いモスリムの女性しかいなかった。かなり出っ歯で、虫歯を治療したのか前歯が金属に縁取られているのだが、その金属から緑色の緑青みたいのが出てしまっている。目の周りは真っ黒にアイラインが引かれているのだが、掃除中にこすってしまったのか、黒いラインがぼやけてややおぞましい状態になっていた。このアンナと名乗る女性は、突然のアジア人の出現にかなり動揺していて、アラビア語で「今、人を呼びますから、どうぞここでおかけになってお待ちください」みたいなことを必死に訴えている。5分くらいしても誰もこないようなので、出て行こうとすると「いや、いま来ますから」と必死に私たちを押し留めようとした。

 しまいには、「お茶はどうですか」と、これまた薄汚れたガラスのコップにぬるーいお茶をついで出してくれる。私たちは何かアンナの人柄に魅かれ始めていて、お茶を飲んで待つことにした。結局、2杯お茶を飲んでも誰もあらわれない。アンナも徐々に諦めの表情になってきたので、これが潮時と、「ボクラ(明日)」と言って立ち去ることにした。

 「ごめんね、ごめんね」と金属縁の歯を出しながら、アンナはすまなそうにしていた。見所や地図という情報は全く手に入らなかったが、ハマに住む人はいい感じの人が多いのかもしれないなぁという、そういう情報が得られたのだった。アンナに写真を一緒に撮って欲しいと頼んだが、「ラ、ラ、ラ(ノー、ノー、ノー)」と非常に困った顔で否定されたので、写真はない。

 ガイドブックによれば、ハマは本当に小さな町だ。見所は町の各所に見られる水車。

 水車は3箇所くらいに分散されているので、1つずつ周ってみた。

 水車はあることはあるのだが、一つとして回っていない。ゆえに足元の水もなんだか濁っていて、時にはどぶ川めいた臭いを放っていた。

 ふーむ、これがハマ名物の水車かぁ。あまり期待もしていなかったが、回っていないってのにはがっかりだった。時期が悪かったのだろうか。

 街中には水道橋のような建造物もあるが、これも途中で終わっていて今は使われていないようだ。

 ハマも最近は急激に発展して、水車や水道橋による供給では間に合わなくなっているのかもしれない。

 いずれにせよ、ハマの水車にあまり多くの期待は寄せない方がいい。


 もう一つの見所は、丘の上にある城塞跡。ここは公園になっていて、公園の一部が大きくえぐられた穴になっていて、穴の中にわずかに遺跡が残っていた。

 しかし、この大きな穴は地域住民の格好のゴミ箱になっているようで、穴の斜面には目を覆いたくなるほど多くのペットボトルが散乱していた。

 丘の上からは眼下に水車と水道橋、川も見えて、ハマらしい風景が楽しめると思う。

 公園内は樹木の中に遊歩道が設置され、所々にブランコや滑り台や休憩できるテーブルとベンチが設えてあるが、時々テーブルが崩壊している場合もあり、やるきなーい感じが漂っていた。

 じゃぁ、なぜ日本人はハマ滞在が好きなのか?

 見所だけを考えると、決してここはいいとは言えない。しかし、ここにあるリヤドホテルという安宿がいい。キッチンが広いし、英語がよくわかって、ロンリープラネットや地球の歩き方にも個人名で紹介されているアブドゥーラさんという男性のホスピタリティーが素晴らしい。トルコから来るにせよ、ヨルダンから来るにせよ、中東の安宿の人々と戦ってきた旅行者にとって、先進国のホステル並みのホスピタリティーに出会えるだけで、かなり心が癒される。これがハマの魅力になっているのだろうと思われる。

 リヤドホテルの近くには市場もあり、市場の周りには安い食堂(私はお腹を壊したので1度しか行かなかったが)や食材の店が並んでいる。

 市場の人たちも、あまり観光客ずれしていないので、とても親切で人懐っこい。

 ハマの魅力ってのはこの辺りなんだなぁ、きっと。数日滞在して、下痢と風邪を治しながら、市場で買い物してご飯を作って食べる。


 そんな休養の日々にとって、都会の商人と戦う苦痛のないハマは、とてもリラックスできる所だった。宿には日本人旅行者のみならず、ロンリープラネットを頼りに各国からののバックパッカーが集まっていて、のんびりと滞在していた。彼らもきっと同じ理由からハマを選んだのだろう。

 こうしてハマ滞在をしてみて、晴れて私もハマ滞在をお勧めする一人となった。ハマ、いいですよー、見所ないですけど。


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