夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.11.15
クラック・デ・シュバリエ(カラート・アル・ハッサン)

シリア:ハマ
 11世紀後半、トルコから中東にかけて勢力を持っていたトルコ系セルジューク帝国に対して、キリスト教の聖地であるエルサレムを取り戻そうとするヨーロッパの十字軍勢力が侵入してきて、拠点となる城を建てた。

 クラック・デ・シュバリエはそうした十字軍が建てた城の一つだそうだ。

 シリアの東側にはレバノン共和国があり、シリアの南にはヨルダンがあり、ヨルダンの東にはイスラエルがある。歴史の教科書だけを読んでいると全くピンとこないセルジューク帝国と十字軍のぶつかり合いの話も、ここシリアにいると、「ほほー、すぐ近所の話じゃーん」とスッと頭の中に入ってくる。

 エルサレムから比較的近い場所に残っている十字軍の城は、後に日本のアニメーション「天空の城ラピュタ」のモデルにされたとも聞いている。ラピュタはまだ見ていないが、宮崎氏の作品は好きなので今後見る可能性もある。見ときましょう、見ときましょう。

 ハマの宿から徒歩20分ほど離れたバスターミナルからミニバスでまずハマの南にあるシリア第三の都市ホムスのバスターミナルへ向かう。

 ミニバスというのは、トヨタハイエースみたいな車なのだが、乗り合い個人タクシーみたいなもんで、乗客が一杯になったら出発するってやつだ。

 しかし、チケットはちゃんと総合チケット売り場で購入することになっているので、全く勝手気ままにやっているというわけでもないらしい。ホムスまでのチケットはSP18(=US$0.33)。約30分くらい乗るのだがとても安い交通費だ。

 バスで隣になった兄ちゃんは「ハマの大学に通っていて、ちょっと英語ができるんだ」と話しかけてきた。

 よくよく聞いてみると、これから大学入試の試験があるので、正確には大学生ではない。大学に入ったら一生懸命勉強して、警察官になるのが夢なんだって。この国は警察官になるのが、一つのエリートコースなんだろうなぁ。それにしてもじゃにーず系の甘いマスクで、とても可愛いお兄ちゃんだった。ついでに、クラック・デ・シュバリエまでの行き方も教えてもらえてよかった、よかった。

 ホムスだと言われて降りた所は、ホムスのバスターミナルの前の幹線道路だった。大型バスとミニバスの両方が発着しているのだが、人に聞きながらクラック・デ・シュバリエ行きを探すと、またチケットブースでチケットを購入するように言われたので購入。(SP30=US$0.55)

 バスの中で待つように言われたが、これがなかなか出発しない。

 バスが満席でギュウギュウになったのが1時間後。やっとクラック・デ・シュバリエに向けてバスは移動を始めてホッとした。

 山間の道を走りながら時々小さな町で人を降ろして、乗車して35分後にクラック・デ・シュバリエが丘の上にある村が見えてきた。

 最後は急な坂道をぐぐぐーっと上って、乗車43分後に到着。最後に降りたのは私たちだけだった。

 入場料金はSP150(=US$2.77)で、安いことは安いのだがバス代金と比較すると随分高いように感じられてしまう。

 中に入ると、城壁の中が建物のようになっていて、階段などで徐々に上に上がっていくと、城壁の中に出た。

 丘の淵を巡るように城壁が建てられており、城壁の上はぐるりと通路になって途中まで歩いて行けた。

 所々に物見の塔と思われる円柱形の建物があり、そこの上にもあがっていくことができる。

 これまた柵も何もなく、ええ?こんな所行ってもいいんですかい?という場所が何箇所もある。

 城壁自体はそんなに高い建物ではないのだが、そもそも丘の頂上に建てられているので、ここから下の村、その先の丘まで、ぐるりと見渡せて、なるほど敵情監視にはもってこいの城だった。



 このグルリと取り囲んだ城壁の中に、城というより城塞と呼ぶにふさわしい堅牢な建物があり、この内部も見学ができるようになっていた。

 見学路なんてもんは書いていないので、勝手にどこから入れるのか探っていくことになる。

 まず城壁からどうやって降りられるのか。下に降りる階段探し。

 下に降りたら降りたで、どのトンネルを行けば、城塞の入り口にたどり着けるのか。

 ほんの少しだが迷路のような楽しさも味わえる。十字軍の作った遺跡で迷路を楽しめるなんて、これまた贅沢な話じゃないですか。













 城の上には、礼拝堂、アーチ天井の廊下などが並ぶ棟があり、そこから1段上がった所の先に、コマンダールームと呼ばれる塔があった。

 クラック・デ・シュバリエの中で一番高い所に位置するこの塔の上からの眺めが一番いいのだろう。

 ここでお昼ご飯を食べて、ゆっくりと過ごした。


 アーチ天井の廊下を見ると、ここがアラブ社会ではなく、キリスト教のヨーロッパ社会の建物だと感じることができるが、その他の部分からは、この城がどんな文化背景によるものか、素人目にはよくわからなかった。

 しかし、適当な朽ち果て方をしていて、周りが広々と見渡せるのがとても気持ちのいい所。城の目の前にはレストランの看板も見かけたし、城から坂を下りていくと村の中に入るので、そこで何か食べるものを買えるかもしれないが、ここは一つ、コマンダールームで十字軍の司令官になったつもりでお弁当を食べるのがいいのではないだろうか。

 さて、時刻は午後1時を回ったばかりなのだが、いつまでホムス行きがあるのか皆目わからないので、もう帰ろうということになった。

 城を出ると物売りがいたが、バスはここに来るからと親切に教えてくれた。それでも不安だった私たちは、坂を下りてちょっと村の中に入ってみた。男たちがたむろしている所があったので、ホムス行きのバスについて聞いてみると、運悪く、そこはタクシー運転手のたまり場だったらしい。

 バスなど当分来ない、今日はもうない、などとノタマウ彼らの意見を聞くわけにはいかないので、上に戻って待とうかと思ったら、丁度バスが通りかかりホムスに行くというので乗り込んだ。来る時と同じ値段の一人SP30だった。

 こうして無事にホムスに到着。ホムスとハマの間は頻繁にバスが出ているので、ハマから来る時と同じくあまり待つこともなく帰ることができた。ハマ到着は午後3時だった。

 ホムスとクラック・デ・シュバリエの間がちょっとバスが少ないので待つ可能性はあるが、気長に待っていれば便はあるようだ。ハマからホムスへ、そしてクラック・デ・シュバリエへと、城だけでなくミニバスの事情やミニバスに乗るシリア人との触れあいも含めて、なかなか面白いワンデーツアーだった。


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