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2006.12.14
シュノーケリングツアー
エジプト:ハルガダ |
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今日はいよいよシュノーケリングツアー。紅海沿岸のダハブに到着したのが12月3日だったから、実に10日以上もたってからようやく紅海の美しさを見られるということになる。
シリア、ヨルダンと寒さとわけのわからん菌にやられて風邪を引いてお腹を壊していたのが一つ。思ったよりもダハブの海が寒くてシュノーケリングツアーに参加する気力がわかなかったのが一つ。
ここハルガダもダハブと比べてさして気温が高いわけではないのだが、サーラ・ダイバーズに出会って、ダイビング経験が豊富な智恵さん(サーラ・ダイバーズの経営者)に話を聞き、ウェットスーツも貸してくれるということになったので、ようやく重い腰を上げてシュノーケリングツアーに参加することにしたのだった。因みに費用は一人US$15。エジプトの通貨で支払う場合は当日のレートで金額を割り出してくれる。この費用には、港と宿の送迎、クルーザー、昼食と船内での飲み物、シュノーケリングギア、ウェットスーツ、シュノーケリングガイド費用が含まれる。エジプトの物価を考えても
13日にサーラ・ダイバーズの2階に宿泊場所を移し、14日の朝8時に1階のオフィスに集合。昨日、偶然ここを通りかかった日本人の女性旅行者2名も参加することになっていて、私たちがオフィスに降りていくと既に彼女達も来ていた。
まずはウェットスーツのサイズ合わせ。ダイバーズショップなので裏手の倉庫には豊富なサイズバリエーションでウェットスーツがある。スタッフに選んでもらって試着。私は2度目、夫は初めてのウェットスーツである。
シュノーケリングなのだが、ウェットスーツを着ただけでダイバーの仲間入りをするようなウキウキする気分が広がっていった。
8時半過ぎに、車に荷物を積み込んでダイバーズショップを出発。港までは15分くらいだった。
多くの似たサイズのクルーザーが係留されており、1階がキャビン、2階がデッキになっている。
様々な所から集まった客がぞくぞくと船に乗り込んでくる。総勢20名以上はいるようだ。
サーラ・ダイバーズは基本的にダイビングショップなので、ダイバーさんのツアーに参加することになる。今まで私たちが経験したのは、シュノーケリングをする人ばかりのツアーで、ダイバーのツアーというのは初体験。そういう意味でも、今回のツアーは興味深かった。因みに、他のホテルなどでシュノーケリングツアーを申し込むと、シュノーケリングをする人だけのツアーに参加することになる。
違いは、無人島への上陸の有無だろう。シュノーケリングだけのツアーの場合、昼食時間から午後にかけて無人島へ上陸すると聞いている。無人島のビーチで泳いだり寛いだりする時間を取ってあるのだそうだ。
ダイバーはビーチで泳ぐことには興味がない。時間があれば美しい珊瑚礁を見ていたいのだ。というわけで、私たちの参加したツアーは海に出っぱなし。午前と午後に1つずつポイントを訪れ、昼食も海上の船の中で食べる。だから、船に慣れていない人は途中で乗り物酔い止めの薬が必要になったり、昼食時に食欲がわかなかったりするのが辛そうだった。幸い私たち二人は何ともなかったので、今まで知らなかったダイバーの世界を垣間見られて面白かった。
船は9時過ぎに出航。
船がたくさん係留されている港にもかかわらず、港から既に美しい海だったが、沖に出るに従って、海の透明度は益々上がっていくようだった。
だんだんと深く、濃い藍色になる海面が、途中からエメラルドグリーンに変わり、また紺色に変わっていく。船の上から見ていると同じように見える海面だが、海底までの深さは、めまぐるしく変わっていることがわかる。
気持ちの良い風を受けて1時間も航海すると、巨大な珊瑚礁の縁が見えてきて、ここで船はエンジンを止めた。ここが最初のスポットだ。一人のスタッフが錨の付いた綱を持ってドボンと海に入り、錨を沈めるのに適当な場所を探している。
澄んだ水の上から青々とした珊瑚礁が見えて、海の中にもかかわらず草原のような風景に見えるのだった。
機材の準備が大変なダイバーに先立って、身軽なシュノーケラーの私たちは海に一番乗り。
サーラ・ダイバーズの専属ダイバーが私たちの案内役になり、私たち日本人4人の海上遊泳を行うことになった。
海の中から準備するダイバーを観察していたが、体験ダイビングの人などは緊張で顔がこわばっていたり、ベテランダイバーはあっはっはと大声で笑いあったり、人それぞれの表情が見られて面白い。
シュノーケラーが4人海に入った所で、遊泳ツアーの開始だ。
目の前が珊瑚礁なので、数メートル泳いで珊瑚礁の淵に到着した途端、色とりどりの魚に巡り会える。
珊瑚礁までたどり着くと、この先はバラバラにならないように、皆で手をつないで泳いで行きましょうという指示があり、皆で手をつなぎあって泳いでいくことになった。
珊瑚礁を右手に見ながら、反時計回りに珊瑚礁の淵を回って行くようだった。こうして手をつながれると、ガイドの遊泳に従って泳ぐので、観光客が勝手に珊瑚礁の中に踏み入ってしまう危険性がない。ハルガダのシュノーケリングガイドはちゃんと自然保護の認識をしていると感じられた。
中米のベリーズにも珊瑚礁があってシュノーケリングしたが、こんな風に遊泳者を上手に管理しないので、皆勝手に珊瑚礁に入ってしまい、その上に立って珊瑚礁を損傷しまくっていた。というか、ガイド助手としてついてきている現地の子供自身が珊瑚の上に平気で立っていた。自分達の生活の基盤となる珊瑚礁に対する認識と教育のない所だった。このままでは珊瑚礁はじきに破壊されて、観光資源としての魅力も薄れていってしまうだろう。ベリーズは、自分達の首を絞めるような行為に早く気づかないと手遅れになるよなーと、ハルガダの海でベリーズのシュノーケリングガイドのことを思い出した。
それはさておき、久しぶりのシュノーケリング、しかも紅海でのシュノーケリングは素晴らしい。これまでシュノーケリングをした中でオーストラリアのケアンズのバリアリーフで行ったシュノーケリングの次、2番目に素晴らしいと感じた。
といってもベリーズのシュノーケリングも2番目に素晴らしいと思えるので2番目は2つあるってことになる。
ウェットスーツの威力は絶大で、海の中では少しも寒さを感じなかった。
45分間の遊泳散歩を終えて船に戻ってきたのが11時半過ぎ。次から次へと魚があわられるので、たった45分しか遊泳していないとは思えない充実ぶりだった。どこの国でもそうなのだが、ガイドは素人では見つけられない生き物をいち早く見つけて教えてくれる。ここでも、珊瑚礁に紛れて見えにくい魚やうつぼなど、ガイドが水中で教えてくれたので、自分で勝手に泳ぐよりも多くの生き物を見ることができた。
午前中のイベントを終え、全員が船に戻ってウェットスーツを脱いだ所で昼食。
1階のキャビンにはビュッフェがセッティングされていた。キャビンの奥に仕切られた小さな小部屋があるのだが、実はそこがキッチン。こんな狭い場所、しかも船の中でよくこれだけの品数を調理したもんだと驚きつつも、もりもりと食べた。もう2人の日本人女性たちは、シュノーケリングで水を飲んでしまったり、船酔い気味で食欲があまりない。私たちの旺盛な食欲に目を丸くしていた。
もっと気温が高い時期だったら、お昼ご飯を食べてから、ドブンと目の前の海に入って涼んだりもするのだろうが、ウェットスーツなしで水に入るには勇気のいる水温。
それよりは日向でお昼寝の方が人気があった。
ダイビングはシュノーケリングよりも体力や気力を消耗するスポーツに違いない。私たちよりもぐったりと疲れている人が多いような気がした。
12時40分にもなると船は移動を始め、午後1時になるとダイバーたちはサッと立ち上がってウェットスーツを身に着け始めた。どうやら午後のポイントに到着したらしい。
昼休みに「ダイバーがいなくてシュノーケリングばかりのガイドなんて初めてだ」と言っていた私たちのガイドは、シュノーケリングではちょっと不服だったらしい。朝は一番乗りに海に飛び込ませたくせに、午後は「僕はちょっと体験ダイビング希望者の方を面倒みるから、君たちはあっちの珊瑚礁の周りを適当に泳いでもいいよ」なんて言っちゃって、自分はどうやらダイビングをするらしかった。
ダイバーたちが脱いだウェットスーツを壁のフックにかけて水を下に落としていた一方で、私と夫はウェットスーツを丸めておいておいたので、水気が全然取れていない。この濡れて冷えたウェットスーツを手に取ってむむむと考えてみたが、午後は海に入らずにデッキでゆったりとすることにした。もう二人の日本人女性たちも同じくまったりとするらしい。
ダイバーの中にも、午後は入らずにデッキで寛ぐ人が何人かいたが、多くはいそいそと海中に消えていった。
私たちはロシア人の女性が体験ダイビングに挑戦する様子をずーっと眺めていた。彼女はどうやら耳抜きがどうしてもできないようだ。少し潜っては、耳を指差しながら「痛い、痛い」と言って水面にあがってくる。結局、断念。よっぽど悔しかったのか、その後はずっと憮然としてブルーになっていた。
私も一度体験ダイビングをしたことがあるが、耳抜きできないと厳しいよねぇ。などと他の日本人女性と話をしていたら、実は何回も体験ダイビングはやったことがあるという一人の女性が、うずうずしてきてしまった。「私もやってこよっかなー」というつぶやきを繰り返した後、「行ってきます」とすっくと立ち上がって体験ダイビングへと出かけていった。こんなに突然できるのか?機材はあるのか?と思ったが、余分な機材はあるようで、私たちのガイドと二人で何度か水面で練習したら、そのままスイーッと海中に消えていった。おおお、やるなぁ。ダイバーと一緒のツアーだからスムーズにできたのかもしれない。
午後のダイビングも40分くらいの時間だっただろうか。私たちは船の上で昼寝をしたり、お茶を飲んだりして、それはそれで優雅な午後を過ごした。
午後3時前からダイバーたちがわらわらと船上に戻ってきて、着替え。それから各自持っているダイビングブックへの書き込みが始まった。へー、ダイバーってそんなことしているんだ。小冊子には、潜った日の日付、潜った時間、地名、水温を書き込むようになっていた。見せてくれたドイツ人の老夫婦は、近年になってダイビングのライセンスを取り、暇を見つけては世界中の海に潜りにいっているということで、見せてもらった小冊子ももう5冊目になると得意気に語った。
そうそう、得意気といえば、ダイバーたちはシュノーケリングしかしない私たちに対して、常に得意気というか上級者的な態度を取るのが面白かった。このドイツ人ご夫婦もそうだったし、全く英語の通じないロシア人のおっちゃんは、私たちに今日撮影した海中のビデオ映像を次々に見せてくれた。私たちが「ほほー」という度に得意満面の笑みを浮かべて、私たちの元を離れる。しばらくすると又違う場面のビデオをセットしてみせてくれるってなことで、5本くらいビデオ映像を見せてくれた。私たちから「もっと見せてくれ」とせがんだわけでもないのに。
確かに、映像は素晴らしかった。うつぼが穴から顔を出して「ギェー」っと吠えてくる画面や、私たちが上からは見つけることができなかったナポレオンフィッシュの悠々と泳ぐ姿もばっちりと映像にあった。ダイビングならではの醍醐味だ。
おつきの女性添乗員はおやじの撮影などでも忙しい。
でもチップもはずんでくれそうだからねぇ。それともロシア人は
ケチンボなのか?ここら辺の本音を聞くことはできなかった。 |
ロシア人のおっちゃんを含むグループは金持ちらしかった。どう見てもあんなに腹の出た体系のウェットスーツを既製服で買えるとは思えん。おそらく特注だろう。だって、腹も手足の長さもぴったりなのだ。
そして海中で使えるビデオやカメラなどを持っていて、そうした機材はおつきの若い添乗員女性に申し付けて管理させている。ダイビングという特異な世界に生息する特異な人々に出会えることができたのは今回のツアーの貴重な体験の一つ。私としてはかなりこれも面白かった。
午後4時に港に戻る。サーラ・ダイバーズからは迎えの車が来ていて、何の時間のロスもなく、そのまま宿に戻ってくることができた。
ああ、シュノーケリングって本当に楽しいなぁ。特に紅海のように美しくて荒れていない海でのシュノーケリングは素晴らしい。シュノーケリングツアーの帰りの車の中で、既に次のシュノーケリングポイントはどこなんだろうと思いを巡らせてしまうのであった。
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