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2007.01.24 Vol.2
バハレイヤ村内の温泉
エジプト:バハレイヤ |
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バハレイヤを訪ねる楽しみは、砂漠ツアーの他にもう一つあった。
それは、温泉。
カイロで同じ宿、スルタンホテルに宿泊していたタクヤさんが、バハレイヤの温泉の魅力を熱く語ってくれて、思わず行きたくなったのだった。
タクヤさんいわく、温泉はバハレイヤ村の至る所にあって、全て露天風呂。着替える所もないからホテルの近くの温泉まで水着で行ってそのまま帰ってくることになる。温度が熱めで、とにかく気持ちよくって、バハレイヤ滞在中は他のどこにも行かず温泉ばかりに浸かって、満足したので砂漠も行かずに帰ってきたのだそうだ。
砂漠も行かずに満足するほどの温泉・・・。何と魅力的なんだろう。
私の目が空をサマヨイ、バハレイヤのまだ見ぬ温泉に憧れの空想を膨らませているのを見たタクヤさんは、慌てて付け加えた。
「で、でもね。温泉っていっても、この村特有のものなんだ。つまり、一般的に女性は入らないし、体は湯船の中で洗うので、お湯に浸かっていると目の前をおっさんの洗い流した石鹸やなんかが流れていくんだ。僕も向こうで知り合った日本人のバックパッカーの女性と一緒に入っていたら、僕らの周りだけ人が近寄らずに空間ができていたからねぇ。色々と不都合はあるんだけど、それさえ目をつぶれば、とってもいいよ」。
「おっさんの洗い流した石鹸」で、膨らんだ期待はパチンと音を立てて消えたのだが、それでも「おっさんがいない時間に入ればいいのか・・・」などと再び期待は膨らんできた。
バハレイヤでは砂漠に1泊、村に1泊して、3日目の早い時間にカイロに戻ってこようと思っていた。砂漠のツアーが2日目のお昼頃に終わるはずなので、午後からは温泉を楽しんで丁度いい。そういう目論見だった。
しかし、2日目のツアー後ゆっくりとツアー主催者の家で昼食を食べ、2日目の夜に宿泊するホテルまで車で送り届けてもらったら、午後3時半という時間。あらら。
とりあえず、ホテルからメインロードまでの雰囲気、メインロードに何があるのか、夕食はどこで取るのかなどを探索するために、荷物を置いてすぐに行動を開始した。
ホテルからメインロードまでは、徒歩で15分ほど。ホテルを出てすぐの所に一つ、5分程歩いた所にもう一つと、メインロードに行くまでに2つも温泉がみつかった。しかし、温泉ってこれだったのかぁ。
ツアー2日目の今日の最後の見学場所が温泉だった。それと全く同じ型の温泉をタクヤさんが指していようとは、ツアーの最中は全く思っていなかったのだが、ここまで来て温泉の正体が明らかになった。確かに入りにくい。しかし、昨日の夜も風呂に入っていないし、丁度、通りがかった時に新しくお湯がパイプからどーどーと出ていて、それは魅力的だった。
というわけで、メインロードに行くまでもなくホテルに引き返し、水着に着替えてシャツと短パンとビーサンにタオルをひっかけて温泉に向かった。あいにくホテルに近い方の温泉は、もうお湯が出ておらず、温泉番と称するおっさんが水の出る近くでドロドロの足を洗ってしまっているので、入る気がしない。遠い方の温泉に向かうことにした。
通りがかった時に誰も人がいなかったのだが、午後4時10分に行ってみると、既に先客が来ていた。
お湯は鍵型の丸い方からドードーと流れ込み、台形の底辺からどんどんと流れ出している。つまりかけ流しの湯なのだ。
パイプからの勢いがあまりに強いために白濁して見えるが、無色透明で鉄分の匂いのする湯だった。温度は43度くらいだろう。そーっと入らないとあっちっちという感じだ。
真昼間のしかも路上で、地元青年ばかりいる中、さすがに水着で入る勇気は私にはなかったので、着てきたTシャツと短パンのままズボーッと入った。
水位は腰の高さくらいまであって、思ったよりも深かった。コンクリートの壁によりかかろうかと思ったら、壁は鉄分で茶色になっていて洋服に付いてしまいそうだったので、中腰で肩までつかる形になった。
それにしても、確かに気持ちがいい。こんなに高い温度の温泉というのは外国ではなかなかないものなので、タクヤさんが夢中になったのもよくわかる。
10分も浸かっていると茹蛸のように真っ赤になり、これ以上入っているのが無理な状態になったので、湯船から上がって縁石で涼んだ。
水着で入れたらもっと気持ちがいいだろう、いや裸で入れたらもっと気持ちがいいんだろうねぇ。
涼んでいると濡れた衣服が体に張り付くのが不愉快ではあるが、気化熱で涼しくなるのが早い。涼しくなったらまた浸かって、熱くなったら出てと何度か繰り返した。
やはり地元の女性は誰も入ってこない。敬虔なモスリム社会なので男女が同じ浴槽に入るなんて考えられないんだろう。時々通りかかる女性は、私のことを目を丸くして見つめていたが、一緒に入っている男の子たちは案外カラッとしていて、シャンプー使うか?石鹸使うか?などと気軽に話しかけてくれた。こっちも色気っていう年齢でもないので、気軽に受け答えできたのがよかった。これが20代のうら若き乙女だったら、青年もあらぬ事を考えてしまうかもしれないからね。
こうして湯を楽しんでいたら、本格的に体を洗う人も登場して、だんだんと人が多くなってきた。
同じホテルに宿泊することになったインシュンさんも散歩している途中で通りがかり、興味深げに足を止めておしゃべりしはじめた。この時、インシュンさんは羨ましかったに違いない。後でホテルに戻ると、「韓国人の別の人からTシャツと短パンを借りたので私も温泉に入ってくる」と意気揚々と出かけていった。韓国の人も温泉好きなんだ。
最後に打たせ湯を楽しもうとパイプの下に入ってみたが、勢いが強すぎてめまいを起こしそうになり、あまり上手くいかなかった。
で、すっかり熱くなった体、というか衣類をタオルでふいて、水をしたたらせながらホテルまで歩いて戻ったのだった。
バハレイヤ村と近郊には他にも温泉の選択肢がある。
村の中では、1軒だけある高級ホテルに観光客向けのスパがあると聞いている。立ち寄り湯をやっているのか宿泊者に限っているかどうか定かではない。
またロンプラによると郊外のベストな温泉はBir Ghabaだそうだが4WDでしか行けないと書かれている。
もう少し時間があれば、これらの温泉についても考えられたのだが、いずれにしても一番安くて楽しめる温泉に入れたので、満足。
バハレイヤ村に戻ってきてやったことといえば、これだけ。
翌日は朝9時半にモハメッドさんが迎えに来てくれる予定になっていたので、もう何もできなかった。
翌日朝9時25分にホテルの前の温泉にいってみると、ドードーとパイプからお湯が出ていた。手をあててみるとかなり熱くて、このままでは入れそうになかった。このお湯が止まってしばらくして冷めてから入るとしたら、10時半か11時くらいだろうか、そのくらいがねらい目なのかもしれない。
あの雄大な砂漠ツアーに来て温泉があるってのはいい。お得な気分のバハレイヤだった。
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