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2007.02.09
ボーマス・オブ・ケニアで見る民族舞踊

ケニア:ナイロビ

 各国のフォークロア・ミュージックに興味がある私たちは、ガイドブックのナイロビの項目にあるボーマス・オブ・ケニアに注目していた。

 国が運営する文化村のような所で、各民族の代表的な家屋の屋外展示と共に、中央のホールで伝統的な歌と踊りのショーが見られるのだそうだ。

 偶然にもケニアの音楽に深く傾倒している俵さん(「People 出会った人(ケニア:ナイロビ)」を参照ください)という日本人に会うこともでき、ケニアの伝統音楽への興味が高まった。俵さんは、ボーマス・オブ・ケニアが新たに採用するミュージシャンに学歴というハードルを設定したことにいたく立腹していた。「本当に技術のあるプレーヤーに学歴なんか関係ない。実際、ハイレベルのプレーヤーは学校を出ていないことも多い。それなのに学歴なんて項目を試験に設定したらレベルが落ちるではないか」と。村々を自分の足で周った人だからこそ言える、説得力のある意見だった。

 私たちは恐る恐る、それではボーマスに行ってもろくな演奏が楽しめないのかと俵さんに聞いてみた。ボーマスのレベルは最近落ちつつあるが、それでも素人が聞いたら十分に楽しめるレベルなので問題はないということだった。じゃぁ、行きましょう。

 宿泊しているプラネット・サファリのスタッフに聞いたら、ボーマス・オブ・ケニアに行く市バスがヒルトンホテルの裏手から出ているという。30分くらいで行けるというので、午後2時半からの演奏に間に合うように午後1時頃にバス停に向かった。

 Citi hoppaと書かれた黄色と黄緑の軽快なバス。このバスがたまっている辺りで、「ボーマス・オブ・ケニア」に行きたいと運転手をつかまえて聞くと、ボーマスに行くバスの番号を教えてくれた。

 バスに揺られること30分。運転手は停留所から道路を渡って右手にまっすぐに続く道を歩いていけばボーマスに到着すると教えてくれた。

 5分もすると右手にそれらしい門が見えてきて、ボーマス・オブ・ケニアに到着。思ったよりも迷わずに到着できた。

 バス代金はKSH30(=US$0.43、換算レートは2007年2月5日のUS$1= KSH70.58を使用)。安い!



 この門から入ってからもずーっと道が続き、途中、左手には学校のような建物も見えてきた。正しいのか?と思っていたら看板を発見。この門の中には色々な国の施設が入っていて、ボーマス・オブ・ケニアはその一つに過ぎないようだった。

 伝統的なケニアの家を巨大化したようなホールがあり、そこでチケットを購入するらしいのだが、係の人が昼食かなにかでいないようだ。チケットは民族芸能の鑑賞と、屋外に展示されている各部族の家の見学の共通チケットだそうだ。他の係の人が、チケットの購入は後でいいから、ショーが始まる前に家の展示を見てきたらどうかと勧める。

 時刻は午後1時48分。ショーまでは40分近くあるので、それもいいアイディアだと家の展示を見て周ることにした。途中にはチケットを拝見するブースもないし監視する人もいない。なんだかのんびりとした所だった。

最初はTAITA族の村。藁葺きのような屋根が円錐形にかかっていて、壁は板を縦に並べて円柱状になっている。

 主人の家、第一夫人の家、第二夫人の家、第一夫人の子供の家、第二夫人の子供の家などと、細かく説明がふられていた。

 お次はMIJIKENDA族の家。こちらは上から下までが屋根で覆われている、屋根だけの家みたい。

 ふーん、部族によって違うのねん。

 と仔細に見ていたが、小道は果てしなく続き、この調子で見ているとショーまでに帰れなくなりそう。MASAI族、KURIA族、LUO族、KISII族、KALENJIN族、KAMBA族、KIKUYU族、EMBU族。10個の部族の家々をザーッとみたら、丁度午後2時20分。おっと、戻らなくては。部族の家はホールから始まって円を描いてホールに戻るように小道が設計されているので、見終わるとホールの近くまで戻ってくることになっていた。よかった。

 入場チケットは家屋の鑑賞代金も含めて1人KSH600(=US$8.5)だった。入り口には本日の演目が出ていた。

 インターミッションをはさんで5曲ずつ、10曲が披露されるようだ。へー、結構、曲目が多い。早速チケットを買ってホールに入ると、体育館のように広いホールにお客さんは数人しか座っておらず、がらーんと寂しい感じだった。あちゃー、国営じゃないとやっていけないなぁ、これは。


 午後2時半きっかりに「レディース アンド ジェントルメン」と英語でアナウンスが入り、ショーが開始。

 広いステージに5人のゴマ(太鼓)プレーヤーが出てきて、音は賑やかなんだけど、絵としては寂しい感じだなぁと思っていたら、すぐに歌を歌いながらダンサーが登場。ステージはにわかに賑やかな雰囲気になっていった。

 ダンサーは男性女性合わせて10人くらいが出てきて、腰を振り体をくねらせて踊る。

 ブラジルで見たサンバの原点がここにある。どことなく振り付けの端々に見たことがあるようなステップや手の動きが見られるのだ。

 もちろんサンバとは全く違うダンスなんだけれど、アフリカから世界各国に流れていった黒人のリズム感が各地で形を変えて今に息づいている。その原点の踊りを見ていると思うと、とても面白い。

 一曲が終わると、プレーヤーも演奏しながらステージを去っていく。そういうショーの構成だった。



 前半の終わりの方では、ネオンバンドを使った演奏が出てきた。私としては、南米のアルゼンチンタンゴのイメージが強い楽器だ。ヨーロッパの他の地域の伝統音楽の演奏にも使われているのを見たことがある。いずれにせよオリジナルは西洋音楽だろう。

 見ると踊りも西洋のダンスのような組み方をしている。

 これは明らかに西洋の影響を取り入れた舞踊だった。しかし、この男女で組んで踊るダンスが激しい。男女で組んだまま屈伸して、屈伸したままで足を前に突き出したりして、アクロバットタンゴも顔負けの体力勝負のダンスになっている。

 西洋のダンスがアフリカに持ち込まれるとここまで激しくなってしまうところに、アフリカ人の身体能力の高さってもんが表されているんだなぁと感心してしまった。伝統舞踊とはいえ、これは西洋社会の文化とのフュージョンでもあり面白いバージョンだった。

 前半の最後は踊りなしで、楽器演奏だけ。左端は大きなマラカスのような形の表面に粒々がついていて、揺らすとジャラジャラと音のする楽器、中央で立っている男性が持っているのはテレビで波の音の効果音を出すときのような楽器、中央右の男性は、足元に置いたスチールの板をバチで叩き、左端の男性が太鼓。ほとんど単音程の打楽器と歌だけなのだが、歌がアンサンブルになっていてのどかなメロディーの明るい和音が楽しい演奏だった。先日行ったマサイ・マラ国立保護区のサバンナみたいな曲だ。

この頃になって高校生の団体が1組、2組、3組ぐらいどやどやと入って来た。どうやら自国の伝統文化に触れる課外学習らしい。

 世界共通の高校生の例に漏れず、「別に来たくてここにいるわけじゃない」的な態度で、ぐったりしたり、あくびをしたり、隣とおしゃべりしたり、ステージにはあまり興味がなさそうだった。

 他にも観光客がちらほらと増えてきている。私たちのようにバスに乗って来ている人はまれで、たいていは隣に黒人の案内人をつけている。私たちもここにはツアーでしか来られないのかと思っていた。ところがツアーの内容を聞くと、ナイロビの市内観光との組合せしかなく、ここだけに来ようとすると自分達だけのためのアレンジメントになり割高になりそうだったので、自力で来ることにしたのだった。

 15分くらいの休憩をはさんで、後半戦の開始。

 ダンサー達も歌を歌いながら踊る。女性の甲高い声が特徴で、長く伸ばす音は少なくおしゃべりするような歌い方は、生活に密着した歌、何か作業をしながら歌い継がれてきた歌という感じがする。

 それにしても、この踊り。女性の衣装のお尻の所にしっぽのように白いベルトの端が垂れているのだが、これがクルクルと周るように腰を動かすダンスなのだ。この動きは・・・。そうだ。これはトムソンガゼルだ。トムソンガゼルは鹿に似た草食動物で集団で草を食んでいるのだが、常に監視役の数匹は、風上に立って尻尾をクルクルと回しながら辺りを見回している。あの尻尾の動きにそっくりだった。最後には、ステージの奥に立っていた黄色い衣装の二人が残り、この二人が後ろを向いて尻尾をくるくる、くるくる、くるくる・・・。この動きに高校生以外のお客さんには大うけして拍手大喝采になったのだった。

 次はこの格好からイスラム教徒の部族の踊りだろうと思われる。これも男性、女性が歌うというか叫びながら踊るパターンで、特に男性が槍を上向きに持ったまま両肩を前後にガクガクガクーっとすばやく動かす動きがユニークだった。

 ハワイアンダンスのような動きもあった。ハワイアンダンスはゆっくりとしたウェーブを腰で描くパターンと、すばやく動くパターンがあると思うが、ここではすばやい動きだけのダンス。とにかく上半身と下半身が別物のようによく動く。

 そしてマサイ族。あの特有のジャンプを組み入れたダンスだが、女性が頭のテッペンから突き抜けるような甲高い声で歌い、男性は喉を奇妙な具合に鳴らした発声方法で呼応するという歌も変わっている。

 ヘアースタイル、発声方法、ダンスの動き。どれをとっても他とは一段と違っている。こうしてケニアの伝統舞踊を一覧してみると、マサイ族がマサイ族をブランドとして売り出したい気持ちもわかる。だって、変わってるもんねー。

 マサイの後にもう一組の演奏があり、いよいよ最後はアクロバティックショー。シマウマ模様の屈強な男性ばかりがワーッとステージに広がり、とたんにステージの斜め奥から走り出して空中で回転して走り去る。そんなのが左から右から真ん中からと縦横無尽に走り、皆片手を挙げて「はいー、どーもー、アクロバティック・ティームでーす!」みたいなジェスチャーで挨拶する。

 今までケニアの村を訪ねて、伝承の民族舞踊を見せてもらっていたような鄙びた雰囲気だったのに、突然にしてラスベガスかリドのショーステージを見に来たような感じになった。ここに来て、今まで眠れる獅子だった高校生は俄然ぱっきりと目を覚まして大興奮だ。

 バランスを取った大技が決まる度に「ヒューヒュー」と指笛も飛び出し、今までとは大違いの反応。まぁ、日本の高校生だって津軽三味線や沖縄民謡を見せられるよりもアクロバティックを見たほうがよっぽども面白がるだろう。

 最後にはリンボーダンスも登場した。南国のリゾートアイランドに行くと、ホテルのショーで食事や飲み物を楽しみながらこうしたファイアーショーを楽しむというのはよくあるパターンだが、何も飲み食いなしに素面でまじまじとこんなショーを見ているというシチュエーションが珍しい。

 アクロバットは、皆、体が大きいので見ていて迫力がある。民族舞踊ではないけれど、ケニア人のリズム感や運動能力の高さを終結した見世物で、いやー面白かった。

 こうして1時間半以上に及ぶショータイムは、午後4時11分に終了した。

 他の大陸と比べて決してひけを取らない民族舞踊を持っているケニア。首都で国を代表する民族舞踊を披露する場所としては、ここはあまり良い施設ではないのが本当にもったいない。歌声が大きすぎてマイクの音が割れてしまったり、日中のショーなので天窓から入る太陽の光が強すぎてステージが見えにくかったり、英語の案内の音声がエコーがかかりすぎて聞き取りづらい。少しの工夫でもっとずっと良く見えるのになぁ。

 それにしても、今日のエンターテーメントは往復のバス代金とあわせてもUS$10。コストパフォーマンスが高い、いいイベントだった。


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