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2005.09.16
アレナル火山国立公園〜アレナル・オブセルバトリー・ロッジ(1) |
コスタリカ:アレナル火山国立公園 |
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宿泊している宿の加瀬さんが言う。「アレナル火山国立公園とトルトゥゲーロ、全部ご自分で行かれるというのなら、それもいいでしょう。しかし、アレナルのオブセルバトリー・ロッジだけはお金をかけて宿泊する価値のある所です」。
我々の旅行スタイルを知っていて、尚も勧めるというからには、よほど魅力的な所なのだろう。この旅始まって以来、始めて1泊US$100を超えるホテルに宿泊してみることにした。
アレナル火山国立公園の麓の村、フォルトゥーナに1泊した翌日の2005年9月16日(金)の午後2時半、チャーターしておいた車でフォルトゥーナからオブセルバトリー・ロッジに向かった。(移動は「移動の記録」を参照)
レセプションの建物。
どの建物もロッジ風である。 |
到着時はとても晴れていたので、ロッジからのアレナル火山が頂上までよく見えた。車を降りた右手のレセプションでチェックインの手続きを行う。ロッジの全体地図をもらって見ると、宿泊施設は、ロッジの敷地内に5棟から10棟くらいずつ、色々な場所に点在している。我々の部屋は15番だった。11番から16番はレセプションから徒歩5分くらいのところにあった。途中には、10mくらいのつり橋があったり、プールや温水ジャグジーもある。レセプションからこうした施設や部屋のあるロッジへは、舗装された歩道が通っていて、夜になると、夜活動する虫たちを脅かさないように、足元だけを照らす、控えめのオレンジの照明が点灯される。それ以外の部分は、よく手入れされた樹木や草花が豊富に植えられた庭園で、この部分でもハミングバードやモルフォ蝶や、色美しい鳥をたくさん見ることができる。宿泊して、レストランにご飯を食べに行く。それだけで、自然を満喫できるようになっている宿なのだ。
敷地が広いので、ロッジ内にもトレッキングコースが4つほどある。
●その1
11番〜16番の棟の裏に広がる森林を歩く徒歩30分ほどのコース
●その2
30番からアレナル火山に向かう徒歩40分ほどのコース
●その3
11番〜16番の棟の奥にあるゲートから入って右手の森林内を散策し、滝を見る徒歩40分ほどのコース
●その4
11番〜16番の棟の奥にあるゲートから入って、限りなく進んでCerro Chatoという湖まで行くコース(これは雨のため、途中で挫折。何キロあって徒歩でどのくらいかかるかわからなかった)
これらは、敷地内なので全て無料でできるアクティビティーである。また、隣接するアレナル湖(ダムとして機能している人工湖)では、カヌーを貸し出してくれたり、釣り船を出してくれるサービスもある。このあたりは有料かどうかは、定かでない。
毎日、朝8時25分にはレセプション発で、隣のアレナル火山国立公園へのトレッキング、モーニング・ウォークが開催されている。ガイド料金、国立公園までの送迎は無料、一人US$6の公園入園料のみが必要なツアーである。
これ以外には、タバコンリゾートへのツアー、もっと北にあるカーニョ・ネグロ国立公園へのツアー、隣のモンテベルデ国立公園への移動などを手配してくれるようだ。これらは、有料だろう。
こうした説明をレセプションで受けてから、部屋に向かった。迷子になりそうなくらい広い。後で、サン・ホセで同じ宿に宿泊している女性から聞いたのだが、彼女は夜1人で到着し、レセプションから自分の部屋に行く途中で遭難しそうになったというのだ。「プールとジャグジーの横で野宿しなきゃいけないかと思ったわ。そういえば、レセプションでしつこくパスポート番号を聞かれたのも、きっとホテル内で遭難する人がいるからに違いないと思うと、涙が出そうになってきたの。ようやくレセプションを見つけて、今度は車で部屋まで送ってもらったのよ。もう、部屋に着くまで涙目だったわ。」と語っていた。
確かに、土地勘なくあのロッジに夜到着すると、部屋まで行くのが少し大変かもしれない。しかし、車で行くほどではない。彼女も、「昼間見たら、何てことない所だったとわかったんだけどね。」と言っていた。まぁ、そんな感じの広さである。
部屋は11、12、14、15、16番が横並びになっている所。13番がないのが、西洋っぽい。部屋に一歩入ると、大きなベッドが手前を枕にして2つドーンとおかれている。そしてベッドの足元は、全面大きな窓。その窓から、これでもかーという程のアレナル火山の大きな姿が目に飛び込んできた。
部屋の窓からの眺めである。トレッキングの途中の眺めではない。
夜になってもこのくらいの雲だったら、山頂から左側に向けて燃えながら落ちていく岩が
溶岩のように筋になって見えるということだった。 |
しばし、大きなベッドに寝転んで、アレナル火山を満喫した。
時刻は午後3時過ぎ。この時期の天候は雨季なので、午後からは雲行きが怪しくなってくる。1つだけあるレストランは、朝7時から8時半、昼11時から2時半(?ちょっと定かでない)、夜は午後6時から8時半までがディナータイム、その後はバータイムとなっている。ディナーのオープンまで3時間あるので、短めのトレッキングを1つしてからジャグジーにでもつかろうということになった。
自分たちの部屋の裏手から出るトレッキングコースは、説明地図によると「easy」となっている。サンダルで行っちゃえ。部屋を出て振り返ってみても、アレナル火山は堂々と見える。
裏手の森林の1ヵ所にトレッキング入口の立て札があり、細い道が続いている。どうやら下っていくようだ。
コスタリカに来て、数々の国立公園などのトレッキング風景を写真に撮ってみたが、この森林を歩くという気持ちよさを写真で表現するのは、とても難しい。森林に入ると、空気がちょっと湿って、でも、ひんやりとしている。木や草から発する緑の匂いが、うわーっと体を包み込み、蛙や虫や鳥が賑やかに音を立てている。森っていうのは、案外騒がしいんだなぁと、この時始めてわかった。肌に、鼻に、目に、耳に。体のいたる所に森を感じながら歩くことになる。これが多くの人を魅了しているトレッキングかぁ、と感じながら歩いていった。
コスタリカで始めてのトレッキングは、ガイドもなく、何をどう見たらよいかもわからなかったが、森を感じることはできた。
まるで油絵で描いたかのように濃淡の緑で彩られた幹をもつ木や、色鮮やかな赤い実をつけた植物などを目にしながら、歩いていくと、いつしか道は上り坂になり、入ったところから数十メートル離れたところにポッと出てきて終わった。ゆっくり見れば30分くらいかかるだろうが、トレッキング慣れしていない我々は15分で歩いてしまった。トレッキングはゴールを目指すのが目的ではない、ということに、まだ気づいていない我々だった。
さて、そうはいってもちょっと汗もかいた。ここら辺でジャグジーにつかってみよう。ジャグジーやプールを利用するには、レセプションで専用のタオルを受け取る必要がある(無料)。再度レセプションに行って、部屋番号を言ってからタオルを受け取り、今度は別のルートで部屋まで戻った。レセプションの左手に降りていくと、つり橋があるのだ。
「大人5人まで」と注意書きが書かれたつり橋を、恐る恐る渡る。数メートルくらいの高さだが、揺れるとちょっと怖い。後でジャグジーで出会った70代のアメリカ人カップル2組にこのつり橋で鉢合わせした時、先方は渡るのを待ってくれるかと思いきや、大きな体で4人ともどやどやと渡ってくる。最後に渡ってきた元気なじいさんは、手すりを持って「ほら、ほら」と揺らしたりしてくる。思えば、ジャグジーで会った時から少年のようにはしゃいでいた。奥さんの足をひっぱって、水の中に沈めようとして怒られたりして、なんて元気なジジイだと思っていたが、ここでもやっぱりお茶目ぶりを発揮していた。
つり橋を渡ると、程なく右手にプールとジャグジーが見えてくる。プールの水は冷たいが、ジャグジーは温かい。部屋に戻って水着に着替え、ジャグジーに戻ることにした。プールやジャグジーのあたりから、部屋までは色とりどりの花が見られる。これも素晴らしかった。翌日の朝は、これらに集まる蝶やハチドリをたくさん見ることもできた。
ジャグジーはプールの脇にあり、クローバー型の丸くなった部分から、それぞれ泡がでるようになっている。屋根がかかっているし、水温も温かいので全天候型である。
こんなのが家にあったらいいよねぇ。プールもあって、横にバーもあったら、お客さんが来た時に気の利いたパーティーができるじゃない?ってお前は何様なんだという会話で楽しめるところである。
一方のプールは、通路からだんだん深くなっていくタイプで、一番先端は、1.9mと書いてあり、私などは足が届かない。その一番深くなった先端のその先は森になっていて、浅い方から泳いでいくと、森に向かって泳いでいくような快感がたまらない。
ジャグジーでつかって暑くなるとプールで泳ぐ。そしてまたジャグジーで体を温める。そんなことを繰り返しながら、ディナータイムまでの時間をゆっくりと過ごした。この時期、プールの水温はかなり冷たく感じられる。泳いでいたのは、私達と子供だけだったけどね。
午後4時半を過ぎると、子供と私達で占領していたこの場所に、アメリカ人カップル、子供の親とおばあちゃん、そして元気でやんちゃなアメリカ人年寄りカップルが2組入ってきて、ジャグジーは大賑わいとなった。みんな今日のアクティビティーを終えて、夕食前のくつろぎタイムらしい。
こうして集まった面々と言葉を交わしてみると、普段、我々が宿泊している所で出会うのとは違う人種の旅行者が来ていることがわかる。一生懸命に働いて、たまの休暇には贅沢をしたい人とか、もう人生で充分働いたから、ゆっくりと贅沢にすごしている老人とか、ビジネスでコスタリカまで来たので、ついでに家族サービスでここに宿泊しているとか。
あそこのホテルが良かった、ここが良かったという情報が、一泊US$200以上級である。我々は、このホテルは宿泊したが、他はいつも通りのコストパフォーマンス追求型に戻るつもりなので、そうした情報を聞いても宿泊するつもりはなかったけれど、面白いので「ああ、あのホテルは国立公園内にあるので、便利ですからねぇ。」などと、さも泊まるかのように話を合わせていた。こういう時のためにも、高級ホテルの名前と場所くらいは、「ちぇっく」しておくもんだと思った。
このホテルは、こうして宿泊客が交われる所があるのがいい。我々が中級以上のホテルをあまり好まない理由の一つに、他の宿泊客と交流できないからというのがあった。折角旅行に来たのだから、色々な人と会って話をしてみたいじゃないですか。でも、中級以上のホテルでは、共同キッチンもないし、朝食でレストランで会っても朝っぱらからじゃぁテンションあがってないし、なかなか難しいのだ。こうやって、風呂につかりながらなら、話もしやすい。これ、いいなぁと思った。
さて、夕食の時間も近づいた。気づくとまた我々だけになっていた。そろそろ部屋に戻って着替えて、夕食にしよう。
レストランは西洋人好みの暗さで、ロマンチックにほの暗い。これは溶岩がよく見えるようにという配慮もあるのだろうと思う。あいにく滞在中の夜は、ほとんど曇っていたので溶岩が見えなかったが、晴れていたら溶岩を眺めながらレストランで食事ができるだろう。
こうしてオブセルバトリー・ロッジを初日から満喫して、眠りについた。
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