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2005.09.24 Vol.1
モンテベルデ〜サンタ・エレーナ自然保護区でトレッキング |
コスタリカ:モンテベルデ |
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モンテベルデ2日めは、ホテルに朝6時に迎えが来て、午前中いっぱいサンタ・エレーナ自然保護区でガイド付きトレッキングを楽しむツアーだ。
ホテルの並びに、朝4時半から開いているパン屋さんがあって、そこで朝食。約束の6時に迎えのシャトルバスが来た。昨日の雨はやんで、晴れてはいないが、降りそうでもないという天気。シャトルバスで向かいに合わせになった白人男性が、日本語で挨拶してきたことから盛り上がり、サンタ・エレーナ自然保護区までの30分はあっという間だった。
7時過ぎにサンタ・エレーナ自然保護区に到着。一般にはモンテベルデ自然保護区が有名だが、サンタ・エレーナ自然保護区は、モンテベルデ自然保護区と隣接していて、モンテベルデよりも更に標高が高いところにある。団体が訪れるモンテベルデに比べて、個人で訪れるには静かなサンタ・エレーナがお勧めだと、宿の主人に言われて、こちらにした。
門を入ると、土産物屋と簡単な食堂がある待合所があり、カウンターで受付を済ますと、ガイド付きツアー出発まで、ここで待つように言われた。同じシャトルバスで来たスペイン人はスペイン語のガイド、我々は英語のガイドツアーに参加し、イギリス人のマイクは一人で散策するからとさっさと行ってしまった。このサンタ・エレーナ自然保護区とモンテベルデ自然保護区は国立公園ではなく、民間団体が管理している。もらったチケットの裏には、「この森林で起きたことについては、当方は責任をもちません」みたいなことが書いてあったのが、民間っぽいねぇと思った。
しばらくすると、元気一杯のスペイン人のOLさん5人組が、長靴をカッポ、カッポといわせて、奥の方から出てきた。どうやら、長靴をレンタルしたらしい。我々も、おろしたてのトレッキングシューズが汚れちゃかなわないからと、長靴をレンタルすることにした。一人C100(約US$0.21)。これはねぇ、結果から言うと正解。
ガイドさんによると思うけど、我々のガイドさんは、「じゃ、ここから中に入っていきましょう」と道なき道を木々をわけいって行く時があったし、ひとしきりトレッキングして保護区外周の作業道のような道から戻ったのだが、その道はそれこそグッチャグチャだった。長靴を履いていなかった人は靴が汚れるだけでなく、深めのぬかるみでは靴の中に泥が入らないように気をつけなくっちゃならないし、歩くのが大変そうだった。
長靴を履いて、ズボンを長靴の中に入れると、ややダブついたパンツの夫は、ニッカボッカの現場のおっさんに早変り。あははは。私は乗馬ズボンっぽいけどね。何言ってんだ、俺の方が乗馬ぽいね、とか言っていたけれど、後から写真をみるといい勝負である。アホ夫婦丸出しである。
長靴も用意できて、そろそろ出かけようかと英語のガイドが声をかけてきた。グループは、我々とアメリカ西海岸から一人で参加している年配の女性と東海岸から来ている女の子2人の親子4人の家族というメンバーだった。
ガイドさんから、保護区内には様々なコースがあり、今日はこんなコースにしようと思うがどうだろうか?という提案があった。どうだろうかって言われても、何だかよくわからないし、お任せしますってのが、東海岸家族と私たち。西海岸の女性は、野鳥には一家言あるらしく、「そのコースでは、こんな野鳥は見えるのか?」などと突っ込んだ議論もあったが、結局ガイドさんのお勧めのコースになった。
モンテベルデ、サンタ・エレーナ界隈の森林は、熱帯雲霧林という名称で知られるとおり、雲の高さに位置する熱帯林で、森の中はたっぷりと水をふくんでいる。我々が歩いている中でも、雨は昨晩のうちに止んでいるはずなのに、あちこちで水が滴りおちていた。こうした水分が、木にシダ類やコケのような細かい植物をつけ、他にはいない生物や鳥が集まってくるらしい。
トレッキングコースは、写真のように道ができているので、とても歩きやすいが、雨期は所々ぬかるんでいるので、靴が汚れるのは覚悟した方がいいだろう。
朝の森は、鳥たちが忙しくさえずり、賑やかなことこの上ない。ガイドさんは、あちこちにとまっている鳥を指差しては、解説を加えてくれる。遠めな上に、くもっているので、双眼鏡がないと、かすかにオレンジ色や黄色が見える程度なのだが、ガイドさんが数百ページはあるだろう鳥類図鑑から、さっと該当する鳥を探し出して見せてくれるので、だいぶ理解できた。これらの鳥は写真に撮ることができなくって、お見せできないのが残念だが、様々な種類の鳥をみることができた。
よく見るのは、ナナフシというのだろうか、木の枝のような虫。これは、ガイドさんに言われなければ自分で探すのはとても難しいだろうと思われた。ナナフシは、息を吹きかけると、「いや、私、枝ですから。虫じゃありませんから」とでも言うように体を反りかえって硬直しているのが面白かった。中には、細い足が数本なくなっているナナフシもいて、彼らもそれなりに大サバイバルの中を生きていることを物語っていた。
写真中段左は、ぜんまいやわらびと同じ種類だろう、モンキーテール(猿のシッポ)と呼ばれる植物で、巻いているところは直径15cmくらいもあり、本当にシッポのように見える。また、中段右は花に見えるが葉が変形したものだそうだ。下段右は、ランブータンの一種だそうで、東南アジアにあるものとは種類は異なるという解説だった。こうして、色の美しい昆虫や珍しい花々を見せてもらいながら、トレッキングは進んでいった。
こうしてコースを歩いていたら、突然吠え猿の鳴き声がした。ガイドさんが真似して吠えると、呼応して吠えながら近寄ってきている。ガイドさんが、「ここを登ってもっと近づきますか?」と聞いてきた。指差す先は、コースからはずれた山の中。これは面白そうだ、と東海岸親子と我々は分け入っていくことにした。西海岸の女性は、そのあまりに過酷な山道(泥道)を見て「私はここで鳥を観察しているわ」と残ることになった。
足元はずるずるとぬかるみ、顔の高さにある葉っぱをくぐりぬけ、枝を押しやって山を登る。数分で、猿一家がいる木の下に到達した。
ガイドさんは、木の下に双眼鏡を据えつけ、一人ずつのぞかせてくれた。お父さん、お母さん、子供というまさに猿一家がそこにいた。チンパンジーというようりは、ゴリラ系で、やや獰猛な感じに見えた。精巧な双眼鏡で、一匹ずつの表情まではっきりと見える。ガイドさんは、双眼鏡を通して写真を撮ってくれたが、これは失敗でよく写っていなかった。
こうして猿一家の朝食風景を堪能してから、またすべりやすい山を降りて、コースに戻った。
森には、つぶすと鮮やかな色の汁が出てくる実や、裏側に傷をつけると徐々に色が変色するので、メッセージもかける葉などがあり、万が一の救急メッセージを残すこともできる、とガイドさんは教えてくれた。また、この葉は頭痛の時に額にはると熱をとってくれるとか、これは胃腸に効く葉だというのも教えてもらった。ガイドさんは、木、鳥、動物、虫、植物など、この森に関するあらゆる知識を持っているようだ。「先日、別の国立公園に行った時にね・・・」などの話もあり、本当に自然が好きで、もっと知りたいと常に思っているんだなぁと感心。
好きなことを見つけて自分の仕事にする、ということができている人は、そんなに多くないと思うが、このガイドさんは、この仕事がかなり気に入っているようだ。活き活きと説明してくれる姿を見ているのが、楽しい。
じゃぁ、そろそろ戻ろうかという時間になってきた。山の中を下ってきたので、帰りはかなり上りになった。しかも、作業道のような未舗装の道は、轍も深く、かなり歩きにくい。ここで、借りた長靴が威力を発揮した。どんなにぬかるんでいても、しっかりと入っていける。借りといて本当によかった。
なぜ、整備された森の中でなく、こんな歩きにくい道をいくのだろうと、いぶかしげに思ったが、途中に色とりどりの鳥が間近に見える草むらがあったり、きれいな昆虫がいたり、ここも又ポイントが多いコースだったのだった。
こうして、ずるずるの道を歩いて、11時にスタートした待合所まで戻ってきた。出発からたっぷり3時間半のトレッキングだったが、途中で立ち止まって色々見たり、話を聞いたりしていたので、そんなに疲れた感じはなかった。季節にもよるだろうが、総合的な印象としては、この時期のサンタ・エレーナの森林では昆虫と鳥がよく見られるのだなぁと思った。小動物などもでるらしい。森は、訪れる度に、違う発見があるので、サンタ・エレーナに滞在して、何日かここに通う人もいるということだ。もっと晴れ渡った日に来て、展望台からの眺めを見るという楽しみを残して、自然保護区を立ち去った。
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