夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.01.29 
ブエノス・アイレスの日曜日の過し方
アルゼンチン:ブエノス・アイレス
 ブエノス・アイレスの日曜日といえばドレーゴ広場でのノミの市でしょう。と何人かの人に言われた。骨董の趣味があるわけでもなく、これ以上荷物を増やせない我々は何かを購入することもできず、ノミの市といわれても今一つ食指が動かないのが正直な気持ちだったが、路上でのタンゴパフォーマンスが見られると聞いて、とたんに行く気になった。

 宿からドレーゴ広場までは10ブロックもなく、徒歩で行ける距離である。近づくにつれて、通りには露店で自分の絵画作品を売ったり、ちょっと変わった染物の洋服を売る店などが見られるようになった。

 ある通りでは、トンネルのようにテントをかけて両脇でアクセサリーを売っているような所もあり、全く買える状況ではないものの、ひやかしながら歩くのはそれなりに楽しかった。

 これから静止パフォーマンスってんですか、あのじっと動かないパフォーマンスをする人が顔を真っ黒に塗って支度中だったり、これから店を組み立てようとする中、他の人よりも早く稼ごうとい、ちびっ子ピアソラ候補はアコーディオンででたらめ弾きをして、道行く人の微笑を買っていた。

 日曜日の曇り空のもと、ちょっと楽しい石畳を歩いて15分くらいでドレーゴ広場に到着。話の通り、古びた陶器や銀食器や古書などを並べた店が広場中に露店を出していた。その一角に人だかりができているので行ってみると、そこがタンゴショーの開催場所だった。大勢の観光客に見守られる中、赤い衣装の女性と黒い衣装の男性がサラサラとタンゴを踊っていた。

 周囲は9割方外国人だろうか。皆カメラを構えていいショットを国に持ち帰ろうと必死でシャッターを切っていた。一番安い価格で本場のタンゴに触れられるのが、ここのタンゴショーだろう。大道芸とはいっても、その技術には確かなレベルが感じられた。短い間だったが、本当に目の前でタンゴを見せてもらい、一同感激ひとしおの空気が漂っていた。そして、フィニッシュの決めポーズ。

 見よ、この哀愁の表情と美しい背中!タンゴは女の背中と男の眉間だといわんばかりのポーズだった。私自身はどちらかというと眉間の皺の方は自信がある。


 ドレーゴ広場をグルッと見て周ってもまだ昼前だった。ここから少し離れた所だが、別の観光スポットがあるのついでに行ってみることにした。向う先はカミニートという小さな路地。かつては栄えた港町であり、ブラジルの人気サッカーチーム、ボガ・ジュニアーズの本拠地でもあるボガ地区は、あまり豊かとはいえない人々が集まって暮らしている地域でもある。このボガ地区出身の芸術家が、自分の絵画などで得た収入を投じて、カミニートの街をキャンバスに家々や店をカラフルに塗り変えて装飾していった街並みが、いまでは観光スポットになっているそうなのだ。

 ドレーゴ広場近くの観光案内所で、周辺の地図とカミニートまでの行き方を聞くと、「歩いて20分から30分くらいで行けますよ」と場所を教えてくれた。で、歩き始めたのだが、やっぱりそんな時間では到着しそうにないので、途中からバスに乗ろうと思った。しかし、最初のバスでつり銭がないからと乗車拒否をくらい、結局タクシーで行くことになった。

 ボガ地区は治安が悪いとも言われている。先ほどのバスの例もあり、そんな雰囲気は感じられるものの、タクシーの車窓から見るくらいではわからない。しかし、道中に見所もあまりないので、ここはバスなどで行くのがいいだろうと思った。因みに、このカミニートというのを、食いしん坊の我々はどうしても「蟹ミート」と言ってしまうのがちょっと悲しい。

 さて、タクシーで降ろしてもらった所が、もうカミニートだった。CAMINITOと書かれた看板を掲げた建物の両脇にカラフルな建物が並んだ通りが続いているので、すぐにわかった。

 写真はあいにくの曇り空だったので、あまり美しく見えないが、実際はおもちゃ箱をひっくり返したような所だ。

 ここを右に行くと左手にカラフルな家々が並んでいる。カラフルなだけでなく、壁が立体的にジグザグと出たり入ったりしているので、使われている素材がチープでも、面白い感じに見えるのだと思う。


 ここを抜けた一角や、最初の看板から左の道に進んだ通りはレストランや土産物屋が多いので、もっと派手派手に装飾されていた。

 歩いて周っても10分とかからないこの小さな区域には、大型観光バスが少なくとも5台は乗りつけられており、そこからザックザックと観光客が降りてきていた。胸に「VIP」というシールを貼った観光客達は、いかにもたくさんのお金を落としていってくれそうな頼もしさを感じ、「蟹ミート」などと言って喜んでいる私たちとは大違いだった。

 タンゴショーを見ながら昼食が摂れるレストランもたくさんあったが、VIPに混じってツーリスティックな昼食をしたい気分でもなかったので、我々は早々にバスに乗ってドレーゴ付近に戻ることにした。

 ドレーゴ付近で昼食を済ませて、またブラブラとしていたら、太い三味線の音が聞こえてきた。

 宿の隣の部屋の徹さんに違いない。音の方に近づいていくと、午後から晴れて強くなった日差しの下で、一心不乱に三味線を弾く日本人男性の姿があった(徹さんについては「出会った人、アルゼンチン/ブエノス・アイレス」を参照)。

 いやー、この暑いのに頑張るなーと感心しながら、しばらく見物してから宿に戻った。

 何というか、フワーッとした、何の気合もいらない観光であった。それだけに、ブエノス・アイレスの住民にでもなったような、気楽な気分でブラブラできる。それがこのコースのいい所だ。こだわりのある人にとっては、絵画を見たり、骨董品で掘り出し物を探したりと、色々と味のあるディープなコースになるかもしれない。